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モチベーションを高める理論 Part1

今回は心理学の動機づけの分野についてです!
先にお伝えします。わかりずらかったら、つまり、まで飛んでください!

動機づけとは、簡単に言うとモチベーションです。
しかし、心理学における動機づけとは

行動が生起し、維持され、方向づけられるプロセス全般(鹿毛, 2012)

と定義されます。

過去の研究より動機づけを高める方法として、7つの理論が主に提唱されました。

体育・スポーツ分野で実証的研究が多く行われている 7つの理論
1)達成動機づけ(期待×価値理論)
2)原因帰属理論
3)社会的学習論(自己効力感理論)
4)達成目標理論
5)目標設定理論
6)自己決定理論
7)他者志向的動機

今回では、達成動機づけ理論についてお話しします!

Atkinson(1964)によると達成動機とは、価値のある目標に対し、卓越した水準で成し遂げようとする動機と定義され、達成動機づけ理論は期待と価値によって行動が規定されるという考え方に基づきます。

動機づけの強さを決めるのは、次の式になります。

成功達成傾向=成功達成動機×主観的成功確率×成功の誘因価
失敗回避傾向=失敗回避動機×主観的失敗確率×失敗の誘因価

成功達成動機…成功したときに誇りを体験できる能力
主観的成功確率…課題の困難度
成功の誘因価…成功時に感じられる誇りの感情

同様に

失敗回避動機…目標が達成できなかったときに恥を感じる能力
主観的失敗確率…課題の困難度
失敗の誘因価…失敗時に感じられる恥の感情

成功達成傾向と失敗回避傾向の相対的な強さによって動機づけの強さが決定します。また、課題の困難さと達成した時の感情も相反する働きをします。難しい問題へのチャレンジで成功した場合、大きな誇り・自信を生み、簡単な問題を解決したとしても、小さな自信しか生みません。

つまり、

ある程度達成できそうという自分の中での可能性と、その目標が自分にとってどれほどに価値があるのか、具体的に想像できることが重要ということなんです!

しかし、

課題の困難度が高く主観的成功確率が低い場合,成功したときの誇りの感情(価値)は高くなる。同時に,主観的成功確率が低い場合,失敗したときには恥などの不快な感情が大きくなる。(奈須, 1995)

と示しています。この理論から、成功率が低い課題を設定すると成功した時の期待が大きくなりすぎ、失敗した時の恥などの感情も「やっぱりだめなんだ」と感じてしまいやすい傾向が出てきます。成功達成傾向と失敗達成傾向のバランスは必要であり、成功の主観的確率が 50%のときに、動機づけが最も強くなると考えられています。(奈須, 1995)

さらに指導者が言えることは、Winterbottom(1958)によると、達成動機の高い子供は何でも自分でやるように言われ、低い子供は「~してはいけない」と言われることが多かったという結果も出ています。


具体的に、どういった目標設定方法がいいかというと…

バスケにおいて、「遠くからシュートを決めたい」とします。

まず、今の自分においてできるかできないかの半分の確率で入るシュート距離で練習します。
➡不安定から確率が高まり、「その距離では確実に入る」に近くなっていきます。

シュート距離を伸ばし、50/50で決まる距離で練習します。

これが、この理論において成功した時の誇り・モチベーションを最大限感じつつ、成功確率が高い一番の課題設定方法です。

                          

まとめ

・ある課題が自分にとって価値があるのかと、できる可能性を理解する
・主観的成功確率が 50%程度の課題を設定すること一番良い
・こどもにはポジティブに何でも挑戦するよう促すこと


参考文献
・Atkinson, J. W.(1964)An introduction to motivation. D. van Nostrand   Co.Ltd.
 ・奈須正裕(1995)達成動機づけ理論. 宮本美沙子・奈須正裕(編).達成動機の理論と展開-続・達成動機 の心理学-.金子書房:41-71.
・鹿毛雅治(編)(2012a)モティベーションをまなぶ 12の理論, 金剛出版.
・Winterbottom, M. R. 1958 The relation of need for achievement to learning
experiences in independence and mastery. In J. W. Atkinson (Ed.), Motives in fantasy, action and society. Princeton: Van Nostrand. Pp. 453-478.


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