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第三十九話 ジュラシックパーク

僕らはティオマン島で、島暮らしの日々を満喫する。

朝から目の前の桟橋の先端まで行って魚釣り。
夕飯の一品を増やす為に。

糸に錘、そして針と簡単な仕掛け。
先端に米粒をつけ、食べに来る魚を強引に引っ掛ける。

この釣り方、アジアではよく見掛ける方法ですが、この時は初めて(今ではだいぶ慣れました)。
なかなか釣れませんでした。
魚の姿はハッキリと見えるし、潜って銛で突いた方が早いのでは??そんなもどかしい釣りでした。

ところで浜辺には何か沢山の引きずったような跡が残っている。そしてその近くには必ず、大きな穴が空いていました。

僕はこの島に着いた時から「これ」が気になっていたのですが、なかなかその正体が分らない。
足跡と何かを引きずったような跡。
そしてその近くの穴。

気になって仕方ない。
しかしある日、僕はその正体を知る事となったのです。
 
モンキーベイ。
そこに辿り着くまで、ひたすらジャングルトレッキング。
草むらをかき分け、蚊を避け、進む。
すると今度は、背丈の二倍ほどある草むらへと変わる。木の棒でかき分け、更に前へと進む。
その先は少し開けた場所となり、鬱蒼と茂るジャングル広がっている。
 
その時、真後ろでガサガサと音がする!
 
「なんだろう?!」
僕は咄嗟に振り向き、少しその場を離れる。前を進む浅野さんも振り返る。
すると姿を現したのは、大きな大きな大トカゲ。
体長は尻尾までを含め、2mくらいあるだろうか?
 
「え…恐竜?!!」
「デッカ!!!」
僕らは有り得ない光景を目の当たりにして驚く。
 
しかも一匹でなく、三匹もいる。
歩き方はワニのように、ノシノシとゆっくり、そして力強く。
首の太さは胴体と同じくらい。
脚もトカゲのそれとは違い、とても太い。
ウチ一匹はオスなのか、一回り以上もデカい。
ゆうに2.5mはあるのではなかろうか?
僕より遥かにデカい。

正に、恐竜を見ているよう。
ジュラシックパークに迷い込んだかのように、突然、目の前で3匹の個体に遭遇したのでした。

そうです。実は、こいつらの尻尾と足跡が浜辺に残されていたのです。
たぶん早朝の早い時間帯、涼しい時間は浜辺を歩き、昼間は木陰にいるのでしょう。

しかし、僕らが遭遇したそのトカゲ達はとにかく大きい。
目もトカゲというか、恐竜みたいだ。
僕らの事を認識したようで、3匹とも立ち止まり、こちらを見ている。

武器は無い。
こんな所で襲われたら、僕らなどひとたまりもない。
とにかく音を立てず、動かず、その場で静かに観察する。

すると、ヤツらは僕らを見て「ん?見掛けないヤツらだな」程度にしか思わなかったのか、全く気にせず関心持たず、そのままノシノシと獣道を横切り、海の方向、草むらへと入っていく。

これがこのトカゲ、マレーオオトカゲとの始めてのコンタクトでした。

こんなに緊張したのは初めてというか、こんな恐竜みたいな大きな大きな生き物に至近距離で遭った事なんて無い。
良かった、何事も無くて。
あんなデカいのがこっちに来たらパニックだ。

そんなオオトカゲとのファーストコンタクトもありつつ、ジャングルを歩く。
森にはリスがいつものように姿を見せる。
綺麗な鳥も多い。熱帯雨林の森とは、なんて自然の力に満ち溢れているのでしょう。
 
そこを越えた先にやっとモンキーベイが見えてきました。
 
 しかし、そこでまず出迎えてくれたのは、トラ猫の一家。お母さん猫とチビ猫達が三匹。ここでどうやって暮らしているのでしょうか?しかも慣れているみたいで、近寄ってきて、「ごはん」と言う。
 
仕方なし。僕はここで食べようと持ってきたご飯を少し分けて上げる。
 
 すると今度は森の奥から、このビーチの名前のとおり、猿の集団の登場でした。

浜辺に横たわる枯れ木に集まる猿の集団。

見慣れぬ僕らに、訝しげな表情をしている。
ここは自分たちのテリトリーだと言わんばかりに、そのウチの一匹が近づいてきて威嚇してくる!

それに間髪入れず、威嚇し返す僕!

「止めて下さいよ!相手は沢山いるんだから!」
と、海まで逃げ、かなりビビる浅野さん。
 
いや、猿ごときに負けるわけにはいきません。
 
 しかし折角のビーチでいがみ合っててもつまらない。
ここは人として、心に余裕がある事を見せつける為、僕は手持ちのフルーツをバラバラにし、手懐ける作戦に出た。

最初はかなり警戒して離れていたのですが、どんどん慣れてきて、遂には手から受け取るまでになる。

ここでは動物との距離がすごく近い。猿って動物園でしか見た事なかったけど、結構毛が固くてザラザラしてるんだなあ。
何か僕の洋服をガサガサする猿。これは毛づくろい??
どうやら、これで距離が一気に縮まったみたいです。
いつの間にか、サルの集団の中で溶け込み、小猿達とも遊び、膝の上で寛ぐまでになっていました。

南国の風、椰子の木の林、白い砂浜、波の音、そして猿の群れ、猫の家族、そして僕ら。

他には何も無いけど、ただただ、それだけで満足。
 
 しかしここのビーチ、砂浜も海の色も綺麗なのですが、海に入っても魚が少ない。コーラルも見当たらない。ポイント的にはあまり良くないようでした。
 
 海の生き物をもっと見たいと思った僕らは翌日、コーラルアイランドという島へボートで向う事にしました。

今度こそ海の生き物達と出会えるでしょう。

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