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第五十一話 幻想的光景

突然、目の前の草原に霧が立ち込める_。
 
先程まで月明かりに照らされ視界もはっきりしていたが、もう殆ど見えない。
幻想的な光景。

まるで舞台を観ているようだ。
 
すると霧の中、何かの動物らしき影が映る。
何だろう?
 
何かは判らないが、小さな小動物のようだ。
その後、すぐ後ろに続いて、少し大きめのものが続く。
続けて来るなんて、ありうるのか?些か不審に思う。
 
そして、更に霧は濃くなる。
 
今度は跳ねる動物、動きの遅い地を這う生き物、そして飛ぶ物まで出てきた。

これは尋常じゃない事が起こっている。
暫くよく分らないままに、それを見ていると、後ろに動物達が続々と続く。
濃い霧なので、はっきりと確認出来ないのだけど、シルエットのように霧の中に影が見えるのだ。
 
一瞬、僕は浅野さん達を起こそうとも考えるが、何かこの静けさ、そしてこの光景は「壊してはならない」そんな感じがして、そのまま一人、この光景を黙って見てる事にした。
 
その生き物達の行列は更に続く。
 
今度は大型動物も続けて現れる。
見た事のないようなシルエットの大きな動物が歩いている。いや、それどころか既に絶滅したはずのその姿まで。暫くそんな行列が続くと、見慣れた動物達物が見える。象、サイ、牛だろうか、そんな大型動物が。その背中には鳥が止まったり、そこから飛んだり。
 
僕はその光景を見て、自らの目を疑う。
夢を見てるのだろうか?
酒は飲んでないし、勿論ドラッグをやっているわけでもない。そして本当の夢でもない。一体何なのだろうか?この目の前の景色は…。
 
最初はチョロチョロと小さな生き物達でしたが、今や沢山の動物達で溢れ返っている。
これは僕の個人的な感覚なのだけど、何かみんな楽しそう。穏やかに歩いている様に見える。
 
その行列はどれくらいの時間、続いたのでしょうか。
随分と色々な生き物が歩いてきた。ここのジャングルには居るはずのない者達。

そして少しずつその行列も少なくなってくる頃、僕は更に驚くべきものを見る。
 
そのシルエットの中に猿、そして人間の姿が映る!
 
「人間も!??どうして??」
僕は身を乗り出してその姿を見る。
 
確かにあれは人間だ。
しかも男女二人で。
 
人間の後暫くすると、徐々にその数は減っていく。
最後にまた小さな動物達の姿が目立つようになり、数匹?遅れて続く者の姿がある。
怪我をしているのだろうか?
 
遅れて続く最後尾のものが、行列の後を追って消えていく。どうやら、行列はここまでの様だ。
それと同時に霧も晴れてくる。
最後尾の後を追うように_。

あっという間に、元のジャングルの光景に戻る。 
 
一体、何だったのだろう?この景色は。
夢のようでいて、現実に目の前で起こった不思議な光景に、それをどう理解して良いのか分からなかった。
 
この世の景色とは思えない幻想的光景に、僕は暫く呆然とする。

余りに凄い光景だったので、僕はベットの上に戻りその景色を思い出しながら、ボーっとする。
 
森にはいつもの様に、沢山の動物達の声が鳴り響き、沢山の虫達の演奏がこだまする。
 
何度考えても理解しようとしても理解出来ないその光景が、頭の中をグルグル回る。
そしてそのまま僕も深い眠りに落ちていく_。

何とも不思議な体験でした。

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