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第十七話 夜の一戦

 赤や黄色の怪しい豆電球の照明に光るアイスクリーム店。ビルマ人カップルも沢山居る。
ここはデートスポットなのかな?

僕はとりあえず、一番人気のメニューをオーダーする。

すると出てきたのは、器の中にアイスクリームやらゼリー?寒天?トコロテン?みたいなやつの緑や黄色、ピンクなど色取り取りのものたちがチャンプルする物。

「やばいね、これは…」
恐い物見たさ、味わいたさで早速試食する。

しかしこれが結構美味い。
合成着色料で舌が変色するも、味はなかなか。

この日、僕は三杯のアイスを食べる。
結構いけました。
 
 さて、そこから、ホテルに戻ると、レセプションにはアウンさんに、イラン人のビジネスマン、インド人、フランス人のイチャついてるカップルが居る。

アウンさんとイラン人、僕の三人は共通語の日本語で会話。インド人は怪訝そうな顔をしている(こいつら何語で会話してるんだ??)。
フランス人カップルには周囲は見えていない。

 しばらくここでよく分らないテレビを見ている。現地のお笑いをやっていたのだが、突然日本の軍人の格好をした役の人が出てくる。

「馬鹿野郎!(日本語で!)」
拳で殴る。現地役の人が倒れる。
皆、笑う。
しかし僕一人だけは笑えない…。

まさか、こんなところで古い日本の姿見と出会うとは。
 
 夜も更け、部屋に戻る。
すると例のフランス人カップルが隣の部屋で、一戦始めてしまったのです。

というのも、このホテル、ベニヤ一枚の壁の上、2mくらいまで壁はあるが、その上は全部屋金網のみ(暑いので)。
声もまる聞こえなのです。揺れる僕の部屋の壁。
激しく響く声。

「いや、それはちょっと…。」
隣の部屋としては困ります。ホントに。
眠れない僕。

 何とかしてもらわないと、まずい。
直接言うのもなんだし、ホテルのレセプションに言いに部屋を出る。すると!

なんとそのフランス人カップルの部屋の前に人だかりが!
従業員から客から、テーブルの上に椅子を乗せてみたりしながら、覗こうと試みてる。呆然とそれを見る僕に、一人が気がつく。
すると笑顔で、「お前の番は、俺の後だからな」と笑顔。
「駄目だ、これは…。」

結局夜の12時近くから始まり、明け方3時くらいまで激しく僕の部屋の壁は揺れ続けていました。
 
 翌朝、いつもよいだいぶ遅く起きてきた僕。
すると昨日のアイスクリーム店に連れて行ってもらった(しかも覗きメンバー)彼の顔色が悪いのです。

「どうしたの?」
と僕。

「いや、お前は大丈夫なのか??俺は昨日のアイスで当たって。。」
同じ物を食べたはずなのに。

天罰だったのかもしれません笑

僕の寝不足を作ってくれたそのフランス人カップルはというと、その朝、ホテルを出て空港へと向かったのでした。

良かった、良かった。
 
 さて、そんなラングーンは丁度、「雨季」の到来となったのでした。
タイでは経験した事がないくらいの雨。

本当に「バケツとひっくり返したような」雨でした。

あっという間に、街歩く人の膝まで冠水。
レストランに食事に来ていたのですが、そこから帰れなくなる僕。
慢性的な電力不足で停電も起こる。

こんなどうにもならない事が日々、起こりました。

 そんな街中を歩けば、細菌感染でもしないかと心配していた僕は、水が引くまでいつもどこかに待機していました。このゆるやかな時間の流れがアジアなのか。
穏やかに時を過ごす人達に紛れ、僕はそう感じていました。
 
 そして、次は北部、中国方面にある第二の都市マンダレーへと向かったのでした。

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