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生きること、学ぶこと


藤井聡太はなぜAIメソッドを使わないのか?


〜批判的思考を強めることがAIに対抗できる〜



伊藤匠との叡王戦で藤井聡太がAIメソッドを使わなかったことに興味がある。

ChatGPTが新境地を開拓する可能性は低い。そして、それが私たちを内省して現状に疑問を投げかけるようになるとは考えにくい、さらに現状に挑戦したりする可能性は低い。

それは、新規性や関連性は、大規模な言語モデルが採掘するような、過去に頻繁に出現したフレーズから生まれるものではないから。新規性と関連性は、どのようなメカニズムが作用しているかを理解することから生まれる。理由を深く理解することによってのみ、これまで考えられなかったつながりを築くことができる。

そこで、欧米の高等教育機関は批判的思考のスキルを開発することでAI に耐える学生の育成を図ることを目指している。

例えば、芸術と科学においてユニークな啓示的な比喩を生み出したり、新しい理論を開発したりすることは、特定の象徴的または概念的な組み合わせを開拓することを意味する。

これはイノベーションに不可欠であり、AI では簡単には達成できない。また、好奇心が批判的思考を刺激するため、この取り組みには不可欠である。生徒たちに再び好奇心を持たせることこそが重要である。「なぜなら、関連する新しさと真の理解の可能性は、私たちが好奇心を持って世界を見て、なぜ?と探求するときにのみ現れるから。」

さて、藤井聡太がなぜ方法を変えたのかの推論であるが、彼は、AIを活用して、基礎を学び、最新の開発にも遅れないようにすることの両方で、将棋のメカニズムを効果的に深く理解してきた。終盤の読みの正確さは、この鍛錬から生まれている。

一方、将棋の前半に必要なのは構想力であり、これをAIに頼っていては面白くない。ダイナミズムを味わうことができない。むしろAIに対立する考えが必要ですらある。藤井はそのことをずっと考えてきた。その場を探してきた。藤井と同様にAIで学んできた伊藤との叡王戦であった。

学習に言い換えると、これまでの知識から最大限の創造的価値を引き出すことを可能にするメタスキルは批判的思考が重要になる。当然のことながら、これには慎重さが伴う必要がある。勇気が必要である。

人間は、いつも決められたルートに従うことには耐えられないので、違うルートを試してみる。たとえそれが失敗でも、新しいことに挑戦する。それが人間の生き方だから。

ますます目が離せない藤井の将棋である。


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