ドリブルで1対1の時、リラックスすることで相手がスローに感じるとか。 〜SAJ2019メモ(1)

#SAJ2019 (スポーツ・アナリティクス・ジャパン)での個人的な講義メモです。自分が気になったところ、解釈して記述しているので、講演者の考えとズレているかもしれませんのでご了承ください。

######

タイトル:1対1の駆け引きに勝つための「認知・知覚」
ドリブルデザイナー 岡部将和 氏認知神経科学研究者 柏野牧夫 氏

・チームスポーツにおいて、GPSにより選手の移動等のデータ分析は進んでいるが、1対1の局面については個人の才能・センスという観点で語られることが多い

・変化球は目と脳がつくる。例えば、まっすぐ動いているものも、視野の端に行くと曲がって見える

・キーワードは潜在脳機能(無自覚的処理)。アスリート本人に聞いてもわからない、正しく表現できないので、ウェアラブルなど機器を用いて解析し、フィードバックする。
・眼から入った情報のすべてが意識に上って知覚、認知されるわけではない。スポーツの場合、意識と体を動かすのは別。認知を経ずに体を動かしていることもある。

・試合中は感覚で動いていい。しかし再現性を上げていくためには、練習でなぜそれができたのか認知に落とし込む必要がある。

・五感について一つを研ぎ澄ませると、他の機能をシャットアウトしているイメージがある。嗅覚とか味覚とかプレーに関係ない感覚について。試合に集中すると芝生の匂いが感じられない。逆に口の中をケガをして血の味がすると他の感覚の邪魔をされてしまう感じがする。
→意図的に注意を絞ることもあるが、本能的に血が出たらそっちに気が取られるのは当然のこと。味覚をシャットアウトするというより、視覚も含めて取捨選択をしている。知覚についてどの感覚から来ているかは自分では正しくわからない。例えば近づいてくる相手選手との距離を感じるのは、視覚ではなく聴覚(音の聞き分け)だったり。

・野球で打者が投手全体をぼんやり見たほうが投球がゆっくり見えるという話を聞いて、ディフェンスに対して全体を間接視野で見るようにしている。ピルロと対峙したときは、60センチぐらいの距離なのに一度も目が合わなかった。
→試合中であってもかなりリラックスした状態を作れていると思う。視野を大きく捉えたほうがゆっくり見える。あと、一点に注意をすると他のことが処理できなくなったり、体全体が緊張するなどもある。

・リラックスとは、脱力することも大事なのか
→ピッチングで言えば、リリース時にはマックスの力だが、その直前まではかなりリラックスしている。リラックスしていないと最後に強い力が出せない

・ドリブルでも一旦力を抜いてゆっくりにして、急にスピードを上げることもある。しかしプロレベルでも力が入りっぱなしの選手が多い。

・力が入っているかどうかは写真に撮ってもわからない。音を使って意識させることなどを試している。

・子供への指導で引き出しを増やすには、イメージをさせないといけない。亀田和毅選手は上半身を動かすのではなくて、股関節を内旋させることで体をずらしているそうだ。子供には説明しても難しいので、「下が熱い鉄板だと思ってください」みたいに伝える。
・計測等を通して神経系などこれ以上伸ばすことが難しいと出てしまうかもしれない。でもそれを知っていれば、事前段階の読みを磨いた方が本人が成長する、みたいな指導ができる。それがなければ、コーチの指導に合う選手は伸びる、そうじゃない選手は脱落するということもある

######

講演では、実際に見る集中箇所を変えることによって速度の感覚が変わることを実感するような画像もあった。
ドリブルデザイナーというドリブルに特化したコーチをしている方がいるというのは聞いたことがあったが、あらためてサイトを見たらすごく奥が深そう。

柏野氏が統括?しているSports Brain Science Projectも、全部目を通したいぐらい魅力的なコンテンツだった。hitoeも使ってる。

世の中には知的好奇心をくすぐる話がまだまだ沢山転がっている。

※SAJ2019のメモはまだ続きます。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?