ボールの回転数による練習向上、Jのアナリストになりたければ筑波大へ行け、ファンを増やすデータ分析、日本でのeSportsの未来 〜SAJ2019メモ(4)
#SAJ2019 での個人的な講義メモです。自分が気になったところ、解釈して記述しているので、講演者の考えとズレているかもしれませんのでご了承ください。
データのフィードバック活用に積極的な投手が活躍する?それとも活躍する投手ほど積極的になるのか?
タイトル:テクノロジーの活用はアマチュア野球選手の能力向上にどう生きるのか?
北里大学 永見智行 氏、元慶応大野球部助監督 林卓史 氏、筑波大学大学院 八木快氏、データスタジアム株式会社 金沢 慧氏
・コントロールに難があったある投手。本人からフォームを変えたらコントロールが良くなった感覚があるとのこと。しかし、投球がストライクゾーンを通る割合はじつは減っていた。打者のボール球へのスイングが増えている。
→コントロールが悪い投手に、単にコントロールをよくしろ、低めに投げろ、では解決につながっていなかっただろう。ノビが良くなったことで問題が解決した。
・データをフィードバックした時にピンとこない選手とピンとくる選手がいる。ピンとくる選手のほうがエースや経験豊富な人が多いイメージ
・試合経験の多い投手は、投げて抑えたor打たれたのフィードバックが多い→投球の中で探索(試す)行動が進む。練習だと捕球や音、スピードガンなどだけなので、成功か失敗のフィードバックが得られない→そのため、フォームの良し悪しに注意がいきがち
・運動の学習の焦点の合わせ方をInternal Focus(自分の身体運動、体の動かし方)External Focus(運動の効果や結果)の2つで考えた時、Internalの練習に馴染みすぎるとExternalの考え方に馴染めない? 回転数などを計測してデータを取れば、練習であっても「打たれやすい球かどうか」に近い経験ができる。
グラフィックレコーディングがあった。自分の注目点と違うの面白い。
<個人的感想>フォームという「過程」より球質などの「アウトプット」にこだわる意識を持つことが、最終的な抑えるかどうかという「結果」につながる、ということかと思った。林氏の著書は目次を見ただけでも面白そうである。
サッカーのアナリストは代表選手の練習相手も努めないといけないしアキレス腱を切ることもある
タイトル:日本サッカーにおけるアナリストのこれからを考える
元サウサンプトン他 コーチ 高野剛 氏、日本代表テクニカルスタッフ、アシスタントコーチ他 和田一郎 氏、データスタジアム 久永啓 氏
・リアルタイムでの分析とフィードバックがルール上も可能になった(FIFAのルール改正で 無線通信でのコメント、静止画の配信が可能に)。相手チームの前試合の分析ではなく、自チームのリアルタイム分析が必要になる
・これまでアナリストに求められてきたことは、第一に映像編集ができることで、あとはサッカーがわかって、無理が効いてときには練習に参加できるなど、データ活用はできたらいい、ぐらいの認識だった。
・どうやったらアナリストになれる? J1の18クラブ中、分析スタッフは16クラブ19名、そのうち11名が筑波大学出身
<個人的感想>日本代表の裏話などはオフレコのため割愛。練習相手もしなきゃいけない話は、分析だけやって食っていけるほどの価値を認められるには大変という感想とともに、プレーできないけど分析能力ある人の可能性を狭めると感じた
始めて来場する人は、コアなファンに連れてきてもらうべし。誘う理由を作ってあげるべし。
タイトル:データ分析でファンを増やす秘訣とは?
・ユニフォームを少ない来場回数で買う人が意外に多い。初回ユニフォームセットでチケット半額とかできるか?
・観戦回数が多いファンにペアチケットを渡したら、男性が女性を誘うケースが多かった(狙い通り)。年間チケットを持っている方に、他の人を誘ってもらおうと無料チケットを配ったら、年間チケットを持っている人の来場率が増えた。
・3回来場してもらうと、ほぼ定着するのでそこまでどうつなげるか
・(オイシックスの話)広告で引きの強い商品はトマトとかだが、実際に買って気に入ってファンになる商品は小松菜、しめじとか。でも小松菜を広告にしてもお客さんは増えない
・(オイシックスの話)せっかくの初回セットでカレーを作られると、素材の良さを感じてもらえない。「ゆでて何もつけずにお試しください」などの案内を入れると、良さを感じてリピーターになる。
こちらもグラフィックレコーディングあり。
<個人的感想>チケッティングはそんなに興味のある分野ではないが、デジタルマーケティングどうあるべきという点では面白そうである。とりあえずJリーグアプリを入れてみよう
日本でeSportsは定着するのか? それともここでもガラパゴス化?
タイトル:eSports最前線
KPMGコンサルティング Hyun Baro氏
・集まってチーム戦の応援をする点ではスポーツに近い。エコシステムはスポーツ産業と近く、一つの企業でできるわけではない。違うのは、ゲームIPを提供するパブリッシャーの存在。1Millionドルを超える賞金総額の大会が10以上ある。
・ゲームのジャンルは日本で売れているものと違う「RTS/MOBA」チームによる戦略系のゲーム「FPS」銃を使ったシューティング。個人戦ではなくチームでプレーをする、戦略をつくるゲームが多い
・観戦はアマゾンのtwitchなどのオンライン配信。国によってはテレビでやっているところも。韓国には24時間eスポーツのチャンネルもある。
・オフライン観戦は専用のアリーナが中国やアメリカに。バーやレトロゲームがある会場や、ドイツではトレーラーを使った移動式の会場、台湾にはeスポーツのホテルもある。
・中国では有名企業がスポンサーに付いたり、インタビュー動画に製品が出たり。NBAレブロン・ジェームスとeスポーツ選手UZIが広告で並ぶ
日本で広まっていない理由:
・日本は伝統的にハードウェアありきのゲーム業界があり、チームよりも個人で遊ぶようなゲームが多い。
・法的に景品の最高額制限があるため、大会賞金を出すにはスポンサーがいないといけない。
・ゲームに対するネガティブなイメージ:汗をかかない、ゲームが職業としてどうなのか
・ジャンルが世界のeSportsとは違う。
・最近の動向:FIFAやプロ野球がeSportsがトーナメントを開催。アジア大会や国体でも競技化。東京都も予算を組んでいる
・ヘルスケア:eSportsを老人施設向けコンテンツとして活用(レースゲームや太鼓の達人)
・韓国の産業発展例:オンラインゲーム広がる→PC-VAN→実況付きゲーム中継番組→大人数のイベント→しかし2010年頃に八百長事件があって大きな打撃を受ける。ガバナンスが支える必要がある
・不祥事の顕在化に関するリスクは、リアルスポーツでもeSportsでも同じ。またリアルのスポーツ界も、eSportsの選手や業界とどう接していいのか戸惑っている。信用に値するという情報を提供していかないといけない
・eSports実況キャスターの苦労:覚えることが多い。ゲームの内容、多数のキャラクターやアイテム他、プレーする選手の情報、選手とキャラクターの相性など。ゲームを理解するために100時間は自分でプレイするようにしている。なのでタイトルが増えると大変。
<個人的感想>茨城国体のeSports種目はぷよぷよとウイニングイレブンとグランツーリスモらしいが、この分野でも日本はガラパゴス化して市場拡大の障壁にならないかが心配。もう少しウォッチしたい。
今回のSAJ2019のメモは以上です。
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