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金曜日の夜



時計が21時半を指す。
もうこの辺にしておこう。

仕事を積み残したまま、会社を後にした。
夫が寂しがっているだろうな。

足早に帰宅すると、夫はハワイのYouTubeを観ていた。
常夏のハワイを、ゆっくり散歩するだけの穏やかな映像。

夫は風景がすきだ。
美しい風景。
旅が好き、というよりは、風景を観ることが何より好きらしい。

鮮やかな青。
あんな街で時間を忘れて過ごせたら。


ひとときそんな夢を見る。


お鍋にお湯を沸かす。
生協で買った冷凍のラーメンを茹でる。
沸騰後2分でできるご馳走。
なんて優秀なの。

今日の失敗を夫に聞いてもらいながら、ラーメンを食べる。ついでにヨーグルトも。


ソファでニュースを見ながら夫とダラダラタイム。
いつも夫が先に寝る。
夫を見送って、私はお風呂。


暖かい湯船に、とぷん、と疲れた身体を浸す。
あたたかさが身体に満ちていく。
浮力が疲れを忘れさせてくれる。

ゆっくり湯船に浸かることだけで、
もう十分幸せなのだと思い出す。
目を閉じてうとうと。

ドラッグストアでちょっといいシャンプーを買うのが好きだ。
基本的にあれこれ試すタイプだけれど、
最近は、エイトザタラソシリーズにハマっている。
これに替えてから、本当によく髪を褒めてもらうようになった。
客観的に変わるって、すごいことだ。
お陰で何回もリピートしてしまった。

いつもより念入りに身体を洗う。
除毛や、角質の手入れなんかも、金曜日の夜の仕事。

1週間の疲れや汚れをしっかり落とす。
そんな時間が愛おしい。


お風呂から上がって、髪を拭く。
肩にタオルをかけたまま、棚からシェーバーの替え芯を取り出す。
日用品の予備があるかを確認して、
ないものは買い物リストに書き付ける。

日常のメンテナンスをするこの時間が好きだ。
なくなっていく消耗品から、毎日を確かに生きたという時間を感じる瞬間。


日が変わっても、穏やかな気持ちでいられる休前日の贅沢。

訪れる週末に胸を躍らせながら眠りにつく。


暖かい布団。
今日も、今週も幸せでした。



ロン204.

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