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部分集合が生成する部分群〈龍孫江の群論道具箱〉

以前「巡回群の最小性」で,群$${G}$$の要素$${a}$$が生成する巡回部分群$${\langle a \rangle}$$を「$${a}$$を含む最小の部分群」と特徴づけ,同じ論法で

部分集合$${S}$$を包む最小の部分群

を「$${S}$$が生成する部分群」と定義し,$${\langle S \rangle}$$と表しました.この定義は理論的には扱いやすい面もあるものの,やはり「それがどんな集合なのか」を記述しておかないと困ったりします.

https://youtu.be/Ne4rPmCUILI

定理(部分集合が生成する部分群)

群$${G}$$の部分集合$${S \ne \varnothing}$$に対し

$$
\langle S \rangle = \left\{ u_1^{c_1} u_2^{c_2} \cdots u_n^{c_n} ~\middle|~ u_t \in S,~c_t \in \{ \pm 1 \} \right\}.
$$

この等式は,$${\langle S \rangle}$$が「$${S}$$の要素およびその逆元いくつかの積の全体」と表されることを意味しています.

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904字

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