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衆議院総選挙で確信した。有識者はみな国家が破綻しないことを知っている。

2021年10月31日の総選挙。結果としては自民は現状維持、維新が躍進、立憲民主党後退、ということになったのだが、ここでは経済政策に焦点をあてて振り返ってみたい。

以前の記事で書いたように、私は「プライマリーバランスの黒字化の撤廃」と「デフレ脱却」は日本の最重要課題だと思っている。が、緊急事態宣言明けという特殊事情のもとでの総選挙ということもあり、どの政党も積極財政を公約に掲げ、あまり財政政策は大きな争点にならなかった。「積極財政による歳出をどのように補うか」についてはあまりどの政党も明確に返答していなったようだが(緊縮財政に一番近い考え方は維新の会)、れいわ新撰組とN党は現代貨幣理論(MMT)を前提とした経済政策を明確に打ち出していた。そして岸田総理は新自由主義からの転換をうたっているものの、ことさらに本質的な財政(貨幣)理論に踏み込むことを避けているように見える。だが「国家の財政破綻」は起こらないと確信しているかのごとく政策にも見える。岸田総理の掲げる新自由主義からの転換はプライマリーバランスの黒字化からは遠ざかる方針だからだ。

以前に以下のような記事を書いたのだが、麻生氏と同様に岸田総理は国家の財政破綻は起こらないことを知った上で、財務省の顔を立てており、プライマリーバランスの黒字化の旗を下ろせないでいるのだろう。

今回の財政政策をめぐる議論の中で確信したことは、やはり有識者の多くは国家の財政破綻が起こらないことには気づいている。そして、ことさらにその議論を避けている。「日本国民は税金を納めるために勤労しなければならない」という前提に議論が及ぶのを恐れているのかもしれない。

余談だが、実際にMMT理論については「国民は税金を納める必要がない」「国家は無限に国債を発行できる」などいう暴論ともいえる誤解が多く流布しているように見える。この状況を考えると私も早急にMMTの考えを日本にインプリメントするのは危険かもしれない、とさえ思う。税金が財源でないことと、税金を収めなくて良いことは同義ではないし、プライマリーバランスの黒字化を目指さなくて良いことと、無限に国債が発行できることは同義ではない。

あと、今回の選挙で興味深かったのは、最も緊縮財政よりの考え方をうちだしていた維新が大きく議席を伸ばしたことだ。やはり、国民の生活を豊かにする政治家は支持されないのかもしれない。



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