蜷川幸雄演出『メディア』

2005年05月22日


蜷川幸雄演出『メディア』を観た。
大竹しのぶはさすがにすごかった。圧倒された。
生瀬勝久さんもそれに負けじと頑張っていた。
シリアスな生瀬さんは格好よかった。
だが、お目当ての笠原浩夫さんの出番がほんの一瞬だけでちょっとがっかり。
もっといい使い方があったと思うけど・・・。
演出も、役者の動きを制限するような舞台装置で、少し窮屈な感じがした。
赤ん坊を抱いた女性の群衆がメディアの心情を語るのだが、全員で声を揃えてセリフを言うのがうるさく感じた。
この女性たち、最後までメディアの後ろにぞろぞろとついてくるのだが、単に全員でぞろぞろついてきてセリフを言っているだけで、なんの面白みも感じられない。
そしてラストの、舞台の奥が開いて劇場の外を見せる演出、あれは『真情あふるる軽率さ』でも『身毒丸』でもやっている。
さすがにやりすぎじゃないのか。なんか「またか」という気持ちにさせられた。
大体、ギリシャ悲劇なのに、「現在」を見せることになんの意味があるのだろう。
大竹しのぶがメディアをやった、ということ以外にはなんの意味も見出せない芝居だった。

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