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毛皮族観劇と変わった下北。9月5日の日記

朝10時半に起きる。用意して出かける。毛皮族の芝居を観るため下北沢へ。13時ころ下北沢へ着く。芝居前に食事。行く店は決まっていた。

下北沢は昔とはすっかり変わってしまった。「南口」「北口」がなくなり、その中間くらいに「東口」ができた。駅はとても綺麗になった。旧南口商店街を歩く。相変わらず賑やかだ。新しいお店がたくさんできて、活気がある。商店街をしばらく歩き右に曲がったところにある「茄子おやじ」へ。ここは昔からある人気のカレー屋さん。そのカレーはインド系でも欧風でも和風でもない独自のカレー。辛すぎず優しい味で食べやすく、癖になる。昨日からここのスペシャルカレーを食べようと決めていて、楽しみにしていた。芝居を観るためにあちこちの街へ行くと、芝居そのものだけでなくその前後の食事なども楽しめるのがいい。スペシャルカレーはとてもおいしかった。大き目の野菜、チキン、ビーフ、茹で卵が入っている。ボリュームはあるが、ライスの量が少なめだからか、食べきることができる。私は外でカレーを食べると必ずご飯が余ってしまうのだけど、茄子おやじのカレーはライスの上にカレーがまんべんなくかかっていて、なんかカレーの量とライスの量のバランスがちょうどいい感じ。お腹いっぱいで店を出ると、何人か待っていた。さすが人気店。

まだ芝居までに時間があったので、南口の喫茶店「ZAC」でコーヒーを飲む。ここも昔からあり、以前取材でたまに利用していた。

15時からスズナリで毛皮族の芝居を観劇。毛皮族としての公演は6年ぶりとなる。しかし役者は変わり、かつての看板役者だった町田マリーや柿丸美智恵はいないし、高野ゆらこや高田郁恵などもいない。金子清文は出ていた。内容も変わった。この内容だったらわざわざ「毛皮族」としなくてもいいのでは・・・とも思った。「財団、江本純子」でやってるような実験的な芝居。個性的なコスチュームの役者たちが「どうぞ」と言われるとそれぞれ即興で芝居をやったり歌ったり踊ったりする。それを観客に扮した江本純子と高山のえみが突っ込みを入れながら見ている。というような形だが、かなりアバウトな感じ。正直、内輪のネタを延々見せられているような感じだ。台本を作り込まずに即興でなにかを役者にやらせる芝居って、ほぼ確実と言っていいほどつまらなくなる。即興という触れ込みでも面白い、という芝居は、即興に見せかけて実は緻密に台本を作っていたりすることがほとんどだ。それくらい、芝居において台本というものは重要である。この芝居は、一応江本さんが台本を書いているのだけど、役者の即興も多いように思う。というか、即興だからつまらないのではなく、台本自体がつまらないのだと思う。江本さんはびっくりするぐらい面白い芝居を作ったかと思えば、次の作品では唖然とするほどつまらないものを作ったりする。けれども江本さんの行動力というか発想力はすごいし、つまり才能があるから、「次はどんなものを見せてくれるんだろう」と毎回ワクワクしてしまう。毎回一定の面白さがあるわけじゃなくて、すごく面白かったりすごくつまらなかったり、振れ幅が大きくて、だからこそ通ってしまう。それもこれも、私が20年前からの毛皮族ファンだからだ。つまらないと思える芝居でも、その時期に江本さんがなににハマってそういう芝居を生み出したのか、を考えると興味深い。今回は、コロナ禍ということでこういう芝居が生まれた。今の時期にしかできない芝居だ。観れてよかった。

芝居を観るために電車に乗って遠くの街まで出かけ、その街をぶらぶら歩き、お気に入りのお店で食事して、芝居を観て、また電車で帰る。その一連の行動こそが観劇である。自宅で配信で作品を観ることは、私にとっての観劇ではない(もちろん配信を否定しているわけではない)。

先日観た羽衣も、今日の毛皮族も、劇場の感染対策は驚くほど徹底していた。公演の内容も工夫を凝らしている。今の時期、劇場で演劇を上演する、ということだけで大変だろう。好きな劇団を応援したい、そんな気持ちも込めて、私は劇場へ足を運ぶ。

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