見出し画像

運送会社経営者のための銀行対策(決算報告概要作成編)

決算が終わると2か月以内に確定申告書を作成し税務署に提出いたします。
税務署からの受付印を受領して(電子申告の場合もあり)決算は完了です。
その後、その確定申告書を取引のある金融機関へ提出していくことになります。

今回は確定申告書の他に添付しておくことで金融機関からの印象が格段に上がる方法をお伝えします。
それは、

「決算報告概要の作成」

です。
名称は何でも構わないのですが、会社の情報・状況をもう少し詳しく説明する文書を作成しましょうということです。

難しく考える必要はなく、決まりがあるものではないですし、フォーマットがあるわけではありませんので、基本的に何を記載しても構いません。

しかし、金融機関には融資をする際、会社情報を管理する際に必要となる情報がございます。
必要となる情報を決算報告概要に盛り込んでおくといいと思います。

さて、弊社では毎年決算が終わると各金融機関に確定申告書と決算報告概要を提出しております。
今では、確定申告書よりも決算報告概要を下さい!と言われるほどです。

それでは実際に決算報告概要の中身をみていきます。

大きく分けて4つに構成しております。

①会社概要

②事業内容

③財務指標

④その他参考資料

①会社概要

会社概要は上記の項目があれば十分だと思います。
平均年齢は可能であれば記載したいところです。

②事業内容

⑴全体の事業内容の図解
運送業の場合には許可ナンバーがございますのでそれも記載しておくことがポイントです。

⑵貨物自動車運送事業
 ①従業員数
  ドライバー OO名
  事務員   OO名など
 ②保有車両情報
  2t  OO台
  4t  OO台
  大型   OO台
  合計   OO台など
 ③主要顧客
 ④取扱荷物
  建築資材・雑貨など
 ⑤特徴
  離職率が低い水準・有給取得率など

⑶貨物利用運送事業
 ①主要顧客
 ②取扱荷物
 ③特徴
 ④補足事項

③財務指標

⑴売上推移表(5期分)
 金融機関が最も気になるのが売上高です。
 1年間の成果が出るところですのでグラフも積極的使いましょう。
 売上が上がったのであれば前年比OO%増などで表現し、
 なぜ増えたのか理由を記述しておくと説得力が増します。
 また、売上が減少した場合も同様になぜ減少したのかを記述することをおすすめします。
 会社も生き物なので良い時もあれば悪い時もあります。
 今後どうやって改善していくか経営者として意思表示しましょう。

⑵営業利益・当期純利益・減価償却費推移表(5期分)
 営業利益は本業の儲けですので黒字・赤字であっても理由を記述しましょう。
 例えば、
 ・ドライバーの人材不足により運賃単価が上昇し売上が増加した。
 ・経費の見直しを行った(サーバーやリースの削減など)ことにより利益が増加した。
 ・ドライバー不足により人件費が高騰し、(残業時間の増加など)利益が圧迫された。
 など・・・

⑶キャッシュフロー計算書(5期分)
 キャッシュフロー計算書は中小企業にとって損益計算書よりも大事な指標であるといっても過言ではありません。
なぜなら、会社はどうして潰れるのか?
そう、

「お金がなくなったら」

です。月次では黒字なのにお金が増えてる気がしない!なんてことはございませんか?
損益計算書に計上される売上と入金の時期は一致しません。
特に運送業の場合は入金の期間に2カ月以上かかるケースもございます。
しかし、給料や燃料などは次月には支払わなくてはなりません。
1年間を通してみると入金は10か月分の売上・出金は11カ月の支払いなんてことは当然にありえることです。むしろ全ての運送会社があてはまるのではないでしょうか。

キャッシュフロー計算書ですが、会計ソフトでも計算すること
は可能ですが、あまりおすすめしません。
きちんとルールを定めていないと出てきた数字の意味がよくわからないことがあります。
 
作り方については、量が多くなりそうなのでここでは省略させていただきますが、機会があればお伝えしたいと思います。

④その他参考資料

ここでは主に3点の資料を添付しております。
⑴リース車両支払明細書
1年間の期間で毎月の支払リース料と件数、リース会社ごとの支払金額が分かるものを添付しております。

⑵金融機関借入明細書
金融機関は他の金融機関の動向を気にしていますので借入返済表も渡しておきます。
その際には、金利情報は必ず隠して下さい!
金利情報は隠しておかないと交渉できませんので。

⑶キャッシュフロー計算書
キャッシュフロー計算書は資金繰表にもなります。
お金の流れを知ることは経営していく上で非常に重要ですし、何よりそこまで会社の状況を把握しているのであれば金融機関に対して安心感も与えられます。

もちろん、経営者にとっても。

以上の4つの視点を盛り込み決算報告概要を作成していくことで、金融機関との関係も今よりも良好になっていくと思いますし、経営者の意思決定にとってもプラスになるのではないかと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?