『皆様方が読んでくれる可能性(ほぼ0%)を期待してnoteを始めた、オワコン真っ只中の2000年産まれの男子Aの下らない書き事』

Things 2 Aが普通列車に乗らない理由
 3月の終わりごろ、ゴールデンウィークに広島で旅行する計画をAと立てた。
Aと旅行するのはこれが2回目。お互い列車好きということで、新幹線に乗ることにした。
 「この前は僕が選んだから、今回はAの好きな席でいいよ」と私は言った。Aはこの言葉に目を丸くした。
 「ねえ、本当に自分が決めていいの?」
 「うん、君が決めてよ。君のチョイスを見てみたい。」
 「自分、のチョイス…。からかっているの?」
 「いいや。Aはどんな席が好きなのかな…ってね。」
 「自分の、好きな席か…。なんか裏がありそうだなぁ。正直に話してくれない?
 きっと、俺のこと記事に書くんでしょ?」
 「ごめんごめん。Aって乗り鉄じゃん。だから、君の乗り鉄魂伺いたくて…。」
 「お見通しだよ。正直、言いずらいけど、俺はグリーン車選ぶつもりさ。その理由、お前にたっぷり話してやるよ。お前も似たような考えしているんだろう?」
 「うん、ちょっとね。でも友達との旅行であまりお金を使いすぎる選択をするとよくないな、ってことで一人旅行の時以外は普通列車をなるべく選んでいたんだ。」
Aは普通列車を極力避けている理由を語ってくれた。
 Aは仕事以外で外出する際、可能な限り普通列車の使用を避けている。理由は
ただ一つ。通勤に普通列車を使っているからだ。普通列車に乗っていると、仕事のことを色々と思い出してしまうのだという。
 彼自身、仕事はうまく行かず嫌なことばかりだという。新入社員として入社する前に身につけるべきことが身につけられず怒られたり、職場で早めに身に着けるべき知識が身につけられず怒られたり…、一番つらいのは、求められる技術量がほとんど追いついていないことで周りとの差を痛感することだ。
 また、彼自身入社してから気づいたのだが、彼は仕事とプライベートは厳密に分けておきたいという考えだ。そして電車旅行は、普段滅多に行かない遠方の地域を回ることが目的で、趣味の中でも一番好きなものなのだ。
 ありきたりの普通列車に乗ることは、そんな失敗ばかりの自分を思い出すため、プライベートで好きなことをやるときに思い出したくないのである。
 現実逃避にも聞こえるが、Aにとって列車旅行は、現実とかけ離れたところ――「ここではないどこかに」自分の身体(み)を置ける貴重な時間なのだ。ゆえに普段乗らない――特別なサービス付きの――、列車に――、いや、秘密基地、あるいは非現実上の自分の住宅のような特別な空間――に身を置く時間を増やしたいそうだ。
なんだかこの考え、私も凄く共感できる。

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