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私は結婚したくないんじゃなくてできないだけですか?

吾輩は独身である。
バツもまだない。

何故結婚ができないのか見当もつかぬ。

なんでも、付き合う男にことごとく振り回され、物分かりの良い女を演じてきた記憶はしている。

吾輩は22歳の時、初めて結婚しようと思ったが
相手の母親から「貴方と結婚するぐらいなら私は自殺します」と言われた。

しかも後で聞くと、「タレントではだめ。アナウンサーぐらいじゃないとうちの子には見合わない」と…。

実際にあった私の体験談を吾輩は猫であるの冒頭を引用しながら披露してみた。
我ながらなかなかのインパクトがある出来事だったなぁ。
ハッピーターンを一気に食べたぐらいに。

恋愛遍歴

はぁ・・・いつかはこの日が来るとは薄々感じていたが、親しい友人の間で結婚していないのは、いよいよ私だけとなった。

と書きながらも、焦ってるかと言われば別になんだよね。

これはもしかして強がりなのか?
32歳にもなったら逆に吹っ切れてるのか?
自問自答してもなかなか答えは見つからない。

私のことをよく知る人はすでに存じ上げているかと思いますが、まあ見る目がなかった。
(現彼のきゃべつ太郎氏を除いて)

大疑問だらけよ

10代の終わりから5年近く付き合って結婚の話まで出た彼は、ある朝起きると荷物共々いなくなっていたため、電話をかけてみると
「今?俺海外にいるよ。一か月間あちこち旅行するつもりなんだけどさ、俺が帰ってくるまでに出てってくれない?別れたいんだよね。
やっぱりお母さんが認めるような人とじゃないと一緒にいれないと思ってさ」
と別れる予兆を感じる間もなく、突然振られて住む家まで失った。

その後、しばらくして新しい出会いがあった。
長く付き合っていた彼とは全然違うタイプで燃えるような恋をした。

好みの見た目ではなかったものの、考え方や人間性がとにかく好きだった。

相手のご家族にも紹介されていたし、交際は順調だったため、ゆくゆくは同棲したり、いつかは結婚したいねなんて二人で夢見たことも。

が、付き合ってしばらく経った頃、彼が「実は子どもがいるんだ」と告白。

突然のことで頭は真っ白だったが、すでに離婚はしているとのことだったので、それなら別にいいのではと自分に言い聞かせ、根掘り葉掘り聞かなかった。

朝8時から今帰仁とかでデートしてたんだぜ?

2年近く付き合ったが不思議な行動が沢山あり、初手で大切なことを隠していたということは、うん・・お察しの通り、実は離婚していなかったパターンだった。
(家族にはなんて紹介していたん?マジで意味わからんでしょ・・)

次付き合う人はウソつかなくて、子どもや家族を大切にできる人が絶対いい・・・
そう願ったらバツイチだけど、子どものことを物凄く大切にしている人と出会った。

子ども大切にしているってだけでポイント高くみえたんやろうな。
付き合ってとんとん拍子で同棲して、間もなく相手が仕事の都合で転勤することになった。

私は当時沖縄でテレビやラジオの仕事をしており、仕事は充実していた。
そんな中彼から「一緒に転勤先についてきてほしい」と言われ、とてもうれしかった。

次の日には所属している事務所の社長に電話して
「仕事全部やめたいです。契約期間ってどれぐらい残ってます?」と確認し、すべての仕事を終えるため契約期間を全うし、やめるまでかれこれ1年かかった。

上京前の送別会の様子

そして私は沖縄を離れ、東京にはるばるやってきた。

東京に来たら人の目を気にせず、幸せになれると信じていたが現実は違った。

慣れない土地に彼以外の誰かが周りにいるわけでもない。彼の酒癖の悪さに喧嘩ばかりの日々。
うまくいかない関係にうんざりして沖縄に帰りたかった。

そんな矢先、相手の浮気が発覚した。

関係がうまくいってないから浮気しているほうがマシだったが、真実とは残酷なもので私と付き合う前から関係を持っており、私も知っている人だった。

東京にいても、沖縄にいても、仕事の調子はいいのに恋愛となるとうまくいかない。
なんで私はこんなに人を見る目がないのだろうか。

視力は1.5あるのに、異性となると0.02ぐらいまで鈍るらしい。

自立

失恋をきっかけに東京で一人暮らしを始め、時間がありあまっていることもあり、自分の生き方、異性に対する価値観を見つめ直せた。

すんごい狭い家だったけどよかった

相手に尽くすことこそ最大の愛情表現だと思い、これまで沢山我慢してきた出来事や感情たちは我慢する必要なんてなかったし、一人暮らしして経済的にも精神的にも自立したことで、恋愛に対する考え方や執着心が30歳にして180度変わった。

いいことなのか、悪いことなのか、お陰でますます結婚に興味がなくなったのだけど。

そもそも結婚に興味がなくなったのはいつからだろう。

いつかは誰かと結婚するものだろうと漠然と思っていたし、自然にできるものとばかり思っていたけど「いつか」「自然」にできるものではなかったみたい。

いろんな人とお付き合いしても、いつも恋愛止まり…結婚に興味ないといいつつ、なんだろう、この感情。言葉にどう表していいのかわからない。

周りが結婚していくにつれ、「結婚しないの?」と焦らされるような雰囲気や結婚を強要されているような感じが嫌なのか?

結婚していないからあれこれ考えてこじらせていると思っていたのだが、数か月前に読んだ森絵都さんの「できない相談」という短編集に書かれていた結婚の話に私が感じていた言葉にならない感情の正体が分かった。

二十歳を過ぎるとみんながそわそわしはじめて、ひとり、ふたりと友達の名字が変わるたび、いやな焦りが生まれて。
まわりに先がけて結婚した子たちって、どこかこう、やっぱり、得意げだったんですよね。
自分は男に選ばれた、唯一無二の伴侶として認定されたっていう、絶対的な勝利感?何を言っても口の端がにやけているっていうか。
その、にやけ笑いの象徴というか、選ばれし女の自尊心を具現化したのが、結婚指輪のように思えたのかしら。いわば、女としての「上がり」マーク?
名字を変えた友達の薬指を見るたびに、やっぱり私、どこかで負の感情をためこんでいたのかしらねえ。
嫉妬心というよりは、競争心に近いやつ。

森絵都「できない相談」あら、いつのまに?

そう!まさにその通り!
私が感じていた気持ちそのものだった。

私が結婚に興味ないと思うようになったのは、恋愛という競争に疲れついていけなくなってしまったからだ。

だけど結婚していく周りをみては、あぁ競争に勝ったんだ、選ばれたんだ・・・と感じて、敗北感があったんだなぁって。

きゃべつ太郎氏と付き合って恋愛だの、結婚など今後の未来や関係性に一ミリも不安を感じたことがなく、一緒にいるだけで毎日楽しくて安心して過ごせるとても心地よい関係なのだが、それは私が彼にとって唯一無二の存在だろうと自信があり、承認欲求が満たされているからだと初めて気づいた。

この根拠のない自信と安心感は彼の日ごろの愛情表現のお陰である。

マタニティフォトの練習

いよいよ初対面

そんな彼は付き合った当初から私の両親に会いたいと言っており、付き合った人にそんなこと言われたことはなかった。

付き合った人を親に会わせたことはあるが、別れるたびに親をガッカリさせてきたような気がしたし、父は何故だか彼氏に会うのを極端に嫌がった。

30歳超えて親に会わせるということは、いよいよ結婚かとかなり思わせぶりするような気がして、理由をつけてはきゃべつ太郎氏の親に会いたいを断ってきた。

6月、きゃべつ太郎氏の誕生日。
今年の誕生日プレゼントは沖縄旅行に行くことに。しかも念願の私の両親と初対面付き。

こないだ父にさらっと彼氏連れていくことを伝えると「一緒にビールでも飲もうか」と。
どういう風の吹き回しなのだろうか。

きっとうまくいく。
なぜだか分からないけど、そんな気がするのだ。
結婚するの?と聞かれるなら、彼とならと答えるつもり。

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