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すっごい本でした。障害者の性に向き合う本。昨年の芥川賞なんですけどね。『ハンチバック』インパクトある問題提起

この本を読む前に障害者の性について聞いた後でした。

 昨年より介護業界で働くようになり、当然ながら付き合う人たちも介護業界の人たち。
 というわけで飲みに行ったりするのも介護業界の人たち。
 その飲み会の中で障害の介護で性の問題について話すのを聞いた。
 正直、この業界1年未満の僕にはあまり理解が届かない話ではあったけれど、溺れげながらではあるけれど、話は真剣に聞いた。
 もちろん、聞くだけで質問することすらできない知識量しかないので、うんうんと頷くだけではあったけれど、心には残っていた。

 その人の話をものすごく要約すると、障害介護は高齢者の介護ではないのでまず年齢が若いということが最大の特徴。
 その中で暴れたり、寝なかったり、さまざまの行動がある。
 『その原因の底には性欲があると思う』
 人間には睡眠欲、食欲、知的好奇心、承認欲求などと同じように性欲がある。
 そこを見ずして、寝ない暴れるなどの問題行動があると薬で対応する。
 対処療法では何も解決しない。 
 若者が性の処理せずに何ヶ月もいたらどうなる?わかるやろ。性欲を避けて考えてたらあかんねん。
 
 呑んでたのでほんとに要約し過ぎだけど、この時にそっか、そうだよなってすごく思った。当然酒の席の話なのでじゃどうしたらいいのかなど結論めいた話などないのだけど、深く心に残った。

その上でこの本『ハンチバック』に出会った。

 読後最初の感想は、
 作者、怒ってんなぁ。書く動機は、伝えたいではなく。怒りなんだと思う。僕の勝手な思い込みだけど。
 怒鳴るではなく、暴力ではなく、文字という音のない静かな表現で全身全霊で怒りを伝えてきた。
 読んでいて、その怒りが伝わってきた。
 そんな小説でした。
 すごかった。
 
 私だって生きてるんだよ。
 健常者だけの世界じゃないんだよ。
 性欲あるよ。
 したいよ。
 当然だろ。

 少しネタバレします。

 喀痰吸引している女性が口でします。口で受け止めて死にそうになる。そういうシーンがあります。そこから、でもしたい。性欲というよりも私も同じ人間だって思いが伝わってきます。
 
 作者が実際に障害を持つ人なので、切実な現実感があります。

 短い小説です。すぐに読めます。でも、重いなぁ。

 さすが芥川賞。

レビュー『ハンチバック』紙の本が好き。笑わせるな。


 身体はこうだけど、性欲はみんなんと同じであるんですよ。っていう 
 障害者の性の問題を世上に乗せる意味でインパクトがあり、問題提起として大きな意味のある作品。
 私は紙の本が好き。笑わせるな。
 障害を持つものに紙の本を読む労力がどれほどのものなのかわかっているのか。
 まあ、その前にそんなこと頭の片隅にでもないだろうけど。
 おっしゃるとおり。
 僕も紙の本が好きと言っていました。
 何の思いもなく。
 それと同様、障害者にも性はあるわけで、そんなことなど頭の片隅にもなかった。
 しかし、ヘルパーさんにそれを背負わせるのは重すぎる。
 インパクトのある本でした。


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