見出し画像

CRISPR cancerの臨床試験の成功と個別治療法への道【脚色あり】

前文

 11月10日、がんの免疫療法団体は、ボストンとマサチューセッツ、そしてNatureにて、ある一つの発見が発表された。その内容は、CRISPR(CRISPR-Cas9システムのこと, Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeats CRISPR-AssociatedProteins 9の略称)のゲノム編集によってつくりかえられた免疫細胞が、腫瘍の変異たんぱく質を認識し特効がある可能性があるということが、臨床試験によって明らかになったというものである。このゲノム編集によって産生された免疫細胞は、人体に安全かつ緩く適合し、目的とする変異たんぱく質を攻撃するように設定されている。
 ゲノム編集によって作られた免疫細胞を個別治療へ適用しようとする試みと、人工のT細胞を目的の腫瘍へ攻撃させるというがん研究においてホットな二つのであり、この二つを組み合わせた研究は、初の試みであった。そのこともあり、この研究は、16名のがん研究のスペシャリストたちによって行われた。

Tailored Treatments(個別治療)

 研究者たちは、初めに血液と腫瘍のDNAを取り出し(生検)、血液中にはなく、腫瘍にのみある変異を探した。実験メンバーのRibasによると、「ある腫瘍と似たような変異の形をする腫瘍は確かにあった。しかしながら、その数は全体的に相関があるというにはあまりにも少なかった。裏を返せばそれだけ多くの変異の形が主要にはあることが分かった」と言っている。
 次に彼らは白血球のT細胞に着目し、どのような変異に対して、T細胞は働くのかを研究したのち、T細胞の受容体を多く産生するゲノム編集を被験者のCRISPRに行い、経過を観察した。この実験の間、被験者の持つ本来の免疫細胞の数は減少し、代わりに人工的な免疫細胞が彼らの免疫に置き換わった。結果は、ほとんどの被験者の腫瘍の成長が遅くなったことが確認された。また、副作用に関しては、5名の被験者のうち2名から訴えがあったという。

A Solid Start (確かな始まり)

 この分野の研究は、近年解明されつつある分野であり。特に今回のような、CRISPR のゲノム編集による人工T細胞受容体の産生は、今までの疫学では考えられなかったことである。今の研究は、近代テクノロジーを用いた疫学全体でみるとまだ始まりに過ぎない。人工T細胞(CAR T細胞)について、血中やリンパにある癌については、治療が可能であるという論文はある。しかし、現段階でCAR T細胞は表面的な腫瘍細胞には効果を発揮できるものの、深層や周囲環境の細胞と癒着している腫瘍細胞への効果はまだ確認されていない。Mandl とその同僚は人工T細胞が腫瘍細胞だけでなく、その周囲も認識するようにより活発に働くことを期待している。そのために、人体の代謝を微調節することで、産生細胞の活性を大きくすることで、腫瘍のある環境にアプローチするといった方法など、可能性は多岐にわたる。Avery Posey は「今後10年間でより洗練された手段で作られる人工免疫細胞が生まれるであろう」と締めている。

〈参照・引用〉
Nature: https://www.nature.com/articles/d41586-022-03676-7
Picture:file:///C:/Users/Owner/OneDrive/%E7%94%BB%E5%83%8F/brain/CRISPR-Cas9.webp


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?