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トレースして気付くプロ意識と己の怠慢

世の中はゴールデンウィーク。
混んでいるところにわざわざ飛び込む元気もなく、自宅から半径1駅以内をうろついて過ごしました。
今日のイベントは本の返却。する前に、組版が心地よかったのでちょっとトレース。

『学芸員しか知らない美術館が楽しくなる話』
ちいさな美術館の学芸員 著 産業編集センター 2024年

noteで記事を書かれてる方だったんですね。
本屋で見かけて、気になる書名とかわいらしい表紙に惹かれました。

リンク先でサンプルページが見れます。
紙面設計はシンプルで、太字やイラストはなくひたすら文章が連なっている内容。
上部マージンを広めに確保してあり、見出しだけ飛び出るようになっています。
具体的な飾りはなくレイアウトと書体で魅せるデザイン。

まず本文はリュウミンオールド。これはすぐわかった。
しかし見出しの書体を突き止めるのに苦労しました。
フォント名は思い出せないけど、見覚えがあったので調べればすぐわかると思ったら全然見つからなくて。
モリサワもフォントワークスもブラウザ上で検索できるのですが、うまく絞り込めなかったりプレビューできないフォントもあったりで、中途半端に時間を溶かしました。

丸ゴシックと明朝なので合成していることは明白。
特徴的な「と」「た」「か」に注目するも、全てを満たすフォントが…ない!
しかも「た」は濁点の有無でデザインが違う。こんなの知らない。
よく見るとサブの「展覧会の種類」、同じだと思ったら違うではないか。

全体的に築地っぽい雰囲気があるものの、「が」は秀英体。筑紫系は両方の特徴持ってるけど、今回はそのニオイはしない。
自分がアクセスできないいにしえのフォントかもな…と思い『もじのみほん 2.0』を開きました。

オールモリサワでした。見たのに。
「か」を置換しているこだわりに衝撃を受けました。
秀英三号の「か」はハネが大胆でかっこいい。でもそこだけ変えるなんて考えたことなかった。
鉤括弧は普通に打つと横長になるはずですが、小カギなので軽くなっています。
全体のレイアウトがシンプルでも、文字に力があれば紙面はワクワクするものになるのを目の当たりにしました。

自分が作ったら特徴のない明朝を使って単調になるのが目に見える。
丸ゴと明朝を組み合わせるなんて、やる前から却下しちゃう。
頭を柔らかくして、合成めんどくさいとか言わないようにしようと思いました。


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