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【思わぬ再現展示に記憶も巻き戻る】東京都現代美術館 常設展 コレクションを巻き戻す2 後期


11月3日から一部展示替えが行われた現代美術館常設展。間違い探しの様に入れ替わった作品を楽しみつつ。

ギャラリートークへ参加

ある程度見終わった後にギャラリートークが行われるというので、参加した。
数日前、写真美術館での参加が有意義だったので、ちょっと各所のギャラリートークが気になっていたのだ。

自分は時々、地元の美術館で児童相手にギャラリートークの様なことをしている訳だが、何かの参考になるかもしれない、と聞き手に回ってみた。

東京都現代美術館のギャラリートークは学芸員さんではなく、有志の解説員の方々。
最近は常設展示品の作品紹介の一文も書いている方々である。
その文章がとても素敵なのですよね。
学術的解説一本でなく、鑑賞者側に立った視点から話してくれるというか。非常に現代美術というものを身近に感じさせてくれる良質な文章が読めます。そしてイラストも可愛い。

デカい。3トンあるらしい。
こちらは2階展示室。
これもデカい。このスケールをバーンと置ける広さ。

【解説を聞く中で1番面白かった話】

「ロイ・リキテンスタインとゲルハルト・リヒター」
作品収蔵の経緯や現美を取り巻く世間話も面白く交えつつ(懐かしい物議を醸したあの購入額の話も出てきて思わず当時、新聞記事を読んでいた、言ってしまった)

現美の象徴「ヘアリボンの少女」と2022年に大々的に回顧展が行われたリヒターの初期フォトペインティング作品「エリザベート」。

共に1965年に描かれた作品である。

「リキテンシュタインはアメリカ出身。リヒターは東ドイツ出身。1965年当時、それぞれの国の状況は…?とちょっと想像してみて下さい」と、解説員の方。

…。

同じ展示室に飾っていても、女性のモチーフでも、その絵の描かれた背景を考えるとまた絵に違う味わいが感じられる。
非常に良い気づきを与えて下さる解説だった。

時代的な話になると年齢がバレますが、数人の鑑賞者と同じ作品を見ながら解説を聞く、というのは面白い体験である。

【巻き戻される記憶】

今回の「コレクションを巻き戻す2前期、後期」共に並べ方がなんだか懐かしい。

それは自分が10代の頃、現代美術館へ通い始めた頃の常設展の並びととても近いからだ。
自分が見てた頃の常設展のタイトルはなんだっけか?と調べたら今は便利な物で、すぐわかり、ありがたいことにフライヤーのデザインまで出てきた。
あー…これだよこれ…懐かしい…
【東京都現代美術館 常設展示 
日本の美術、世界の美術―この50年の歩み。1997.3~1998.3】
というか、この頃1年間常設展同じのやってたのか…そりゃ企画展の度に見てたら作品も並びも覚えるわな…若い頃に見てたから尚更だ…

そのフライヤーに掲載された作品はリヒターのエリザベートだった。(当時の館全体のパンフレットの表紙はリキテンスタインだった)

私のリヒターとの初対面はコレなんだなぁ。

もちろんゲルハルト・リヒター=現代美術の巨匠、的な認識をするのはもっともーっと後ですが。

それは25年近く経ったから、今、尚更なのかもしれないけれど。

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