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美術館めぐり2022 小池一子展 オルタナティブ!アートとデザインのやわらかな運動

2022.2.4  3331アーツ千代田

【序章】
2002年、木場の一角にある食糧ビルという場所でアートイベントを見た事がある。なんだか古いビルで色々な展示がされていた。

当時はその場所が現代美術にとって重要な場所だったとは知らなかったのだ。

20年後の2022年、その場所が「佐賀町エキシビットスペース」という名で1980年代から20年に渡り現代美術を支えていたスペースだったということを知った。



前置きが長くなった。
で、その佐賀町エキジビットスペースを作った、現在85歳の小池一子さんのお仕事一覧の展覧会を見てきた。

【佐賀町エキジビットスペースについて】
森村泰昌さんも、杉本博司氏もこの場をきっかけにはばたいたのだな、と思うと若手作家の発表場所の大切さを思う。

【広告コピーの仕事について】
無印良品、その他西武関連(PARCOとか西友とか)コピーライティング。
「愛は、飾らない」など、どれも覚えているものばかりだ。
しかし西武関連の広告の凄さ。あの頃の堤一族は凄かったな…今や鳩マークの傘下になりそれも売却の危機とか…想像もつかないよな…と一抹の寂しさ。強者どもが夢の後、的な。

【そして各種美術館の展示企画】
学芸員的資格を持たない人の企画展は今だと考えにくいかもしれないけれど、その当時は柔軟にやっていたのだな、と。

そして展示説明を読み進むと…

小池氏は私の大好きな京都服飾文化研究財団の設立のキッカケになっていた方だったのだ…もう驚きと感激しかない。佐賀町エキジビットスペースの方から興味を持ち見に行ったら物凄い事実を突きつけられてしまった。
流れとしては、
1976年にメトロポリタン美術館の服飾研究部門( @metcostumeinstitute )企画の「現代衣服の源流展」の日本巡回展を小池氏が企画し京都国立近代美術館で開催。
日本の国立美術館で西欧服飾史の展覧会が開かれたのはこれが初だそうだ。

で、京都開催だったのでおなじみワコールの社長がその展示を見たことをキッカケに京都服飾文化研究財団を立ち上げる!(そして1998年東京都現代美術館「身体の夢」展が開催へ…)

わー!小池さんが展覧会を企画してなかったら日本の服飾文化研究機関は無かったかもしれない。そしたら私も98年の展覧会を見れなかったかもしれない。その後の人生が違ったかもしれない。……と思いを巡らせ、壮大な気持ちになって展示室を後にした。

今の今まで知らなかった。
自分が見てきたものの内側には企画した先人の女性達がいてしかしその存在を知らず、でも影響をうけつつ、その後の自分の人生に彩りを得ている。過去の先人達から地続きで自分としっかり繋がっているのだ。
45年前にファッションの展示を美術館で開催してくれて感謝しかない。胸がいっぱいである。


余談


76年の京都国立の服飾展示用マネキンは向井良吉作と記載があり、あれ?世田美でお馴染みの彫刻家がなぜマネキン?…と思ったらなんと向井氏は株式会社七彩の設立者でした。(株式会社七彩というのはマネキン製作会社で…短大時代から20代前半の百貨店業務では大変お世話になり…腕・足無しのトルソータイプマネキンから簡単に着脱できる腕脚付きマネキンが発明され…そのおかげで何着服が売れたかな…。その会社設立者がおなじみの彫刻家だったとは…!)

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