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Big Bang Theory S2Ep2 アメコミの悪役に博士が多いという指摘

本投稿タイトルは記事用です。ドラマの正式なタイトルはこちら。

The Codpiece Topology:友情と愛情の法則
アメリカでの放送日:2008年9月29日

ビッグバンセオリーを見ていて面白いなと思ったオタクネタで自分が知っているネタ、調べたネタをまとめておいておくために作ったものです。ざっくりとした背景はこちらもご覧ください。目次もかねて作成しています。

エピソードタイトルについて

日本語のタイトルはレナードを取り巻く二人の女性との関係に焦点があたったもの。あるいはレナードがシェルドンとの友情をとるのか、レズリーとの愛情を取るのかという意識も込められています。

一方で英語のタイトルは、「The Codpiece Topology」。

まずはCodpiece。普通の英語学習ではあまりお目にかからない単語。中世の歴史を英語で勉強しているなら「普段の学習」に入るのかもしれません。実際、この単語の日本語のウィキペディアのページもあります。

冒頭、4人がルネサンス・フェアから帰ってきたとき、いつものようにシェルドンが「みんなの衣装や設定がルネサンスの時代とあっていない」、「みんながコッドピースをつけてみるための言い訳フェアだ」というセリフからとってきたもの。

英語タイトル後半のTopologyは、日本では数学の「位相幾何学」として知られていると思いますが、英語では「地政学・地形学」の意味もあるようです。

と書いてみて思いついたのですが、「地政学=地理的な環境が国家に与える政治的、軍事的、経済的な影響を、巨視的な視点で研究するもの」なんですが、単純にレナードがペニーやレズリーとの関係だけでなく、ラージと「Richard the slave girl」や、超ひも理論とループ量子重力理論のどちらにつくか?といった幾重にも意味合いを重ねたタイトルのような気もします。

あらすじ

前回のエピソードでペニーと距離を置かれて「大学進学」を勧めてこっぴどく拒絶され、レナードは未練があるもののペニーはさっさと新しいカレシをみつけてしまっている。

それを見せつけられたレナードは、前に進もう=別な女性を探そうとするが、ペニーに出会うまでの10年で付き合った「たくさんの女性」が二人しかいない中、どうやって前に進むのかと指摘されるものの、なんともタイミングよく「行きずりの関係」に限界を感じたレズリーも「本気で付き合わない?」と誘ってくる。

渡りに船とばかりにレズリーと付き合い始めるレナードは、家でデートをするときに邪魔なので「二人だけにしておいて」とシェルドンを追い出す。一方シェルドンは、自分の家から追い出されたことに納得がいかず、相手がレズリーなのも気に入らない。

冒頭のシーン

レナード、シェルドン達4人がルネサンス祭りから帰ってくるが、いつものようにシェルドンが「ルネサンス時代」になかったはずのものが多数あったことに不平をもらしている。

アパートの階段を上がっていく途中、ペニーが新しいカレシをつれて降りてきて、彼女はさっそく次に進んでしまっていた。ショックを受けたレナードは未練を断ち切って前に進もうとするのだが...

Renaissance Fair? or Renaissance Faire?

いくつかのスクリプトのページを見てみましたが、どれを見ても冒頭のシェルドンのセリフは「Worst Renaissance Fair ever.」となっています。

ところで「Pasadena Renaissance Fair」で検索すると、カルテックから車で30分ぐらいのところに「Renaissance Pleasure Faire」が出てきます。

ここのコスプレイベントでもストゥームトルーパーが出てくるのは、もうアメリカ人にとってのルネサンスはスターウォーズなんかな?(笑

シェルドン達の会話や、エピソードの最後の方で「次のコミコンでルネサンスフェアがあるよ」と言った会話をしていたので、なんとなく常設イベント会場ではないと思ってたのですが、このあたりはよくわかりませんでした。

ただ、パサデナに行けばこういうものがあるという知識は得られたので、なにかの機会があれば言ってみよう。侍のコスプレでもすれば大うけかな?

Renaissance Fair の正確さ

さて。今回は冒頭シーンからシェルドンの化け物のような知識(中には、素人でも分かるものもあるけど)がこれでもかっていうぐらいてんこ盛り。

Sheldon: Worst Renaissance Fair ever.
(過去最悪のルネサンス祭りだ)
Leonard: Please let it go, Sheldon.
(もう忘れろよ)
Sheldon: It was rife with historical inaccuracies. For example, the tavern girl serving flagons of mead, now her costume was obviously Germanic, but in 1487 the Bavarian purity laws or Reinheitsgebot severely limited the availability of mead. At best they would have had some sort of spiced wine.
(史実に全く基づいていない。はちみつ酒を運ぶ娘の衣装はドイツ風だったけど、1487年の法律ではちみつ酒の供給は厳しく制限されていた。ワインが関の山だ。)
Leonard: You’re nitpicking.
(細かすぎるぞ)
Sheldon: Oh-ho! Really? Well here’s another nit for you. The flagons would not have been made of polypropylene.
(まだ他にもある。ポリプロピレン容器も当時はない。)

謎な単語だらけで、こんなのついていける人いるのか?

まずは「Flagon」。日本語のページはありませんでしたが、こんな形の容器のことだそうです。

形状はともかく、確かにルネサンス時代にはポリプロピレン製のものはなかったでしょうね。

実物を見ないで会話だけでFlagonって、あちらではそのまま分かるんでしょうかね?日本なら何て言うんだろう?こんな商品にFlagonとついてますけども、徳利と呼ぶと日本のあれしか浮かばなくなってしまって、上のウィキペディアで表示されているような容器は思い浮かびませんよね?

次。「Reinheitsgebot」。Googleで調べたら、なんとウィキペディアで「ビール純粋令」と出てきた!驚愕。このビール純粋令は1516年とされています。シェルドンの言っていた1487年については、しかしこんな記載がありました。

1487年には、アルブレヒト4世はミュンヘンの醸造業者に対して、ビールの原料は大麦、ホップ、水だけを使い、別のものを混ぜてはいけないと命じている。また、この醸造指令ではビールの統一価格も決められている。

この脚注については、こちらの本が参照されています。

「ビールの原料は大麦、ホップ、水だけを使い」とあるなら、たしかにはちみつの使用は制限されますね。

ところで、1516年などと聞くと、この翌年にルターがヴィッテンベルク市の教会、ヴィッテンベルクの城内に95ヶ条の論題を打ち付けた年だなと思うわけですが、その関係についてまではよくわかりません。

実は関係していたりすると面白いのですが。

たとえば昔のロシアが受け入れる宗教をキリスト教にするかイスラム教にするか、議論になった末にキリスト教なら酒が飲めるから受容されたという逸話を聞いたことがありますし、アメリカの禁酒法もこの法律のせいで裏でよろしくやるような人たちが増えたりしていました。

ビール純粋法など制定されることで、影響を受けた人たちが反発して、制約を課していた側に反発してとか、ありそうななさそうな。

なお、この点に関しては全くの妄想で調査すらしていませんから、これ以上の言及は控えることにいたいしましょう。

さらにシェルドンと他3人の会話は続きます。

Howard: Renaissance fairs aren’t about historical accuracy. They’re about taking chubby girls who work at Kinko’s and lacing them up in corsets so tight their bosom jumps out and says howdy.
(大事なのは史実との整合性じゃない。女性店員のおっぱいが衣装からはみだして“どうも”っていうとこだ。)

英語のセリフでは女性店員がいるのはKinko'sらしいですし、単に衣装ではなくてコルセットをひもできつく結びあげた結果、そうなっているというニュアンスまできっちり言っているのは、ハワードの観察眼でしょうか?

ルネサンスにKinko'sはなかったとか、そんなことはハワードに言ってみても仕方ないですね。

Sheldon: Bosoms would not have said howdy in the fifteenth century. If anything they would have said “huzzah!”
(15世紀なら”どうも”じゃなく、せめて”ごきげんよう”と)
Howard: I don’t care what the bosoms say, Sheldon, I just want to be part of the conversation.
(なんでそう突っかかる。普通に会話を楽しめないのか?)

細かいツッコミは置いといて、シェルドンとハワードが普通に会話を楽しむのは、ないものねだりだと思いますが。(笑

ハワードが言った”Howdy”は米国の会話で使われる俗語だそうで、一方、”Huzzah”は、現代で言えば"Hurrah"にあたるとか。シェイクスピアの時代の文献には記録があるそうです。

Whatever its origins, it has seen occasional literary use since at least the time of Shakespeare, as the first use was in 1573, according to Merriam-Webster.

ペニーがカレシをつれて登場!

こんな会話をしている4人の脇をペニーが新しい恋人をつれて通り過ぎていきます。「ルネサンス祭りに参加してきたみたいね」というペニーの「会話」に対するシェルドンの回答がこちら。

Sheldon: Renaissance fair? More of a medieval slash age of enlightenment slash any excuse to wear a codpiece fair.
(ルネサンスというより啓蒙時代祭り兼ペニス袋着用祭りだ)

日本語のセリフでは二つしか挙げられていませんが、英語では「中世/啓蒙時代/たま袋を身に着けるための言い訳祭り」となっていますね。

ヨーロッパ中世は5世紀から15世紀。

啓蒙時代は17世紀から19世紀。

ルネサンスとは14世紀から16世紀となっているので、シェルドンが言いたいのはルネサンス祭りではなくて、「ルネサンスの前後の時代と、そして強いてルネサンス時代というならCodpiece着用祭り」と言ってる訳です。

数学の帰納法のように、「ルネサンス祭り」で展示されていたものや演出から導き出された、正確な時代を正確に表現するとこうなるっていうことだろうと思います。

英語のタイトルはここで回収。

ですが、シェルドン以外のメンバーはそんなことを気にするはずもなく、ペニーは新しい恋人のエリックをみんなに紹介して出かけて行ってしまいます。

Penny(leaving): Bye guys.
Eric (leaving, to Howard): Like your hat.
Howard: Thanks, my mom made it. Penny with a new guy, très awkward.

その時の会話でハワードが「ペニーが新しい男といる。」の次が「Très awkward.」

これ、知らなかったんですが、「Très」はフランス語の「Très bien!」(Very good)の「Très」らしく、要するに「Very awkward=とっても気まずい」なんでしょうね。

日本語の会話で無理やり言うと「Very 気まずいな」みたいな感じなんでしょうかね。

Plentyの定義

部屋に戻ってきた4人組。やっぱりペニーはレナードを振って次の男と付き合っているのがはっきりしたことで、レナードも「前に進む」宣言。

ペニーと付き合う前の10年だってたくさんの女性と付き合ってきた、というレナードに対して「誰?」と聞かれてあげたのが北朝鮮に亡命してしまったジョイス・キムとレズリー・ウィンクルの二人。

Sheldon: Notify the editors of the Oxford English Dictionary, the word plenty has been redefined to mean two.
(大勢の定義は”2人”だと辞書の編集者に伝えよう)

辞書の編集者は編集者ですが、Oxford English Dictionaryの編集者だそうで、もう笑うしかないです。

そこで、コミコンで出会った女の子もいるじゃないかと食い下がるレナードに、ラージが「コミコンで起きたことはその場限り」と視線をそらしながら言います。

ラージのコスプレ彼女は彼で、オリオンの少女?

コミコンでのことはコミコン限りとこだわるラージになんで?と聞かれて、ハワードに「は緑色のオリオンの奴隷少女に扮していた」と暴露されてしまいますが、これ聞き取るのはしんどいなぁ。

「彼」が「奴隷少女」っていうのもハードルが高いけど、緑色のオリオンの奴隷少女って何?ですよね?

Leonard: Uh, what about that girl last year at Comic-con?
Raj: Doesn’t count.
Leonard: Why not?
Raj: What happens in costume at Comic-con, stays at Comic-con.
Howard: You’re only saying that because of what happened to you.
Leonard: What happened to you?
Raj: N-n-n-nothing happened to me.
Howard: It wasn’t your fault, Raj, he was dressed as a green Orion slave girl.
Raj: H-h-h-how did we get on me, we were mocking Leonard for not moving on. Dude, you have totally not moved on.

コミコンでコスプレしてるぐらいなんで、アメコミなわけですが、スタートレックの登場人物にいました。ウィキペディアにも日本語の説明ないですし、スタートレックに詳しくないと聞いただけで分かるほどにはならないと思いますね。

ともかく、この緑色のキャラクター・コスプレをしているのは女性と思ってたら男性だったわけで、ラージが「コミコンでのことはコミコン限り」と言いたくなる気持ちはよくわかります。

ペニーがダメなら?

ラージがなんとか、「今は俺じゃなくてレナードを責めてるんだ」で押し戻し、ペニーがダメなら誰と付き合うの?との質問に、ジョイス・キムは北朝鮮に「亡命」したので地理的に好ましくなく、あとはレズリー・ウィンクルか?と字幕では表記されてます。

この部分の英語のセリフは以下のようになってます。

Leonard: Well, there’s Joyce Kim, but she defected back to North Korea so it’s a little geographically undesirable.

たしかに「Defect」には「亡命」の意味もありますが、ジョイス・キムは確か北朝鮮の人だったはずで、それだと「亡命」にはならず、「back」ともありますから、単に「(北朝鮮という、通常なら出入りしづらい)国に逃げて行っちゃったし」みたいなニュアンスではないかと思います。

字幕だとそこまで書ききれないので、単に「亡命」にしてしまっていると思いますが。

Raj: What about Leslie Winkle.
Sheldon: Oh no.
Raj: Why?
Sheldon: Her research methodology is sloppy, she’s unjustifiably arrogant about loop quantum gravity, and to make matters worse she’s often mean to me.

一方、レズリー・ウィンクルはダメというシェルドンが挙げた理由は、彼女の研究手法がずさんで、正当化できないほど傲慢にもループ量子重力理論を支持していて、さらに悪いことにはシェルドンに意地悪だからとのこと。

ウィキペディアで読んでみても、レナードやシェルドンが支持する超弦理論との違いが良くわからなかったのですが、以下の記事では簡潔につぎのように説明されています。

とくに重要な違いとして、「超ひも理論」が描く世界が「連続的」であるのに対し、「ループ理論」が描く世界は「離散的(粒状)」であるという点が挙げられる。

こちらの本は『『現実は目に映る姿とは異なる』(La realtà non è come ci appare))は二〇一四年にイタリアで刊行され』とあるので、本エピソードが放映された2008年9月29日には、論文レベルでの内容が脚本に取り込まれたのでしょうかね。

物理学者がアドバイザーでついているので、不思議ではありません。

それにしても「ひも」か「ループ」か、上述した違いは我々素人にはどちらでもたいした違いはないように思えます。しかしその研究を仕事にしている物理学者にとっては、「宗教が違う」レベルで違う話をしているわけで、後々、これがきっちにエピソードにも影響していくのはさすが。

話をもとに戻して、そんなレズリーについてラージとハワードが、「色気があるよな」「俺なら狙う」という会話へのシェルドンの回答がこれまたシェルドン節全開。

Raj: I think she’s smoking hot.
Howard: I’d hit that.
Sheldon: You’d hit particulate soil on a colloidal suspension. Mud.

(ハワードなら)「コロイド懸濁液状態にある粒子状の土壌すら狙うよな」と言ってるわけですが、これはまた訳が分からない。

「Colloidal Suspention」というのは、以下の動画の右端の状態を指すようです。こんな状態にある「粒子化された土壌」っていうことで「泥」になるようですが、ちゃんと「泥」と補足で説明しているシェルドンは、優しいからでなく、ダメ押しにいってるだけ。ハワードなら泥水でもすすりに行くよなって、めちゃくちゃ悪口ですよね。

彼はKimberleyと名乗ったんだ!

レナードが、レズリーは良いけど彼女が男性に求めているのはストレス発散の道具だけだよと二の足を踏んでいると、ここでもハワードは「なら道具になれよ。お返しでストレスの発散させてもらえ。」

全くブレないハワード。

このハワードに対して、ラージが「正確に言えばお返しっていうのは、ペニーと肉体関係があったらの話だろう」と「仮定法」で突っ込んでいるので、どうせそんなのないだろうけど、という意趣を込めているけど、こんどはハワードからバックファイアがラージに。「お前と奴隷少女リチャードのようにか?」

この回答が、「食事をして一回キスしただけだ!(したんかい?)」といって部屋を出ていこうとして、「それに自分のことをキンバリーって名乗ったんだ!」

Leonard: Look, I like Leslie, but she’s not interested in dating as much as using men as tools for stress release.
Howard: Yeah, so, be a tool. Go get yourself a little rebound stress release.
Raj: Technically it would only be rebound if he and Penny had actually engaged in physical intimacy.
Howard: You mean like you and Richard the slave girl?
Raj: I bought him dinner and we kissed once, that was it. (Leaving) And he told me his name was Kimberley!

「Kimberley」。日本人にはあんまりなじみのある名前ではないですが、Googleで検索すると女性の名前のようですね。地形やモノの名前としても画像が表示されますが、人物で表示されるのはすべて女性。

それで騙されたってわけですね。ラージ。

Matrixの世界にいない理由

場面が変わって大学食堂。マトリックスにいれば食事がもっとおいしい、ってのは笑えるシーン。

日常会話にこんなのぶっこんでくるのはビッグバンセオリーならでは。

Sheldon: You know how I know we’re not in The Matrix?
Leonard: How?
Sheldon: If we were, the food would be better.

マトリックスと言えば、「The Matrix Resurrection」のトレーラーが公開されたばかりですね。

レズリーとの再会

マトリックス界での食事のおいしさと、現実世界での食事のまずさの対比にあきれている間にレズリー登場。すでにレズリーとシェルドンのさや当て合戦が始まってて、レズリーはシェルドンをのろま扱い。シェルドンは知性が足りないと返すが、レズリーが「おっと、やけど治療室に運んでね」とお返し。レズリーとシェルドンとの闘いではレズリーが勝っているように見えますね(笑

Leslie (arriving): Hey, Leonard.
Leonard: Hey, Leslie.
Leslie: Hey, dummy.
Sheldon: Hello to you, insufficiently intelligent person.
Leslie: Ooh, rush me to the burn unit. Hey, Leonard, do you have a second, I need to ask you something.

さて。なんでレズリーがレナードのところに来たのかと言えば、ハワードがレズリーに「レナードはペニーと別れた」とSMSを送っていたから。

しかもその表現がすごい。「航空機のトイレから排出された保冷剤のように地面にたたきつけられた」と言ってる。

英語のこういう表現は、単語レベルではなくてひねった文章を投げてくるのはイギリス人気質によるものなのか?

Leslie: Wow. So, I heard your relationship with Penny crashed to the ground like blue ice falling out of an airplane lavatory.
Leonard: Where did you hear that?
Leslie: Actually I read it. Wolowitz texted me. (Shows him text.)
Leonard: Like blue ice falling out of an airplane lavatory. Yep.

さて。レナードが振られたと聞いて、ヨリを戻さない?しかもストレス発散だけの関係ではなくて、伝統的な男女の関係でという理由がこれ。

Leslie: It’s hard to say, I guess there’s just a time in every woman’s life when she gets tired of waking up on a strange futon with a bunch of people she doesn’t know.

「山ほどの知らない人と知らない場所の「布団」で朝に目が覚めることに疲れるということがどんな女性にもあるのよ」

太字にした部分にありますように、「Futon」は「布団」で、薄いベッドマットレスのことをさすそうです。

安宿でみたいな感じのニュアンス⇒ラ〇ホテルみたいなイメージなんでしょうか。そんな場所で「布団」の単語が使われるのは、ちょっとたまりませんね。

Nintendo 64とマリオ

場面変わってレナード達のアパート。

レナードがテーブルクロスを敷いてワイングラスを二つ持ってきます。レズリーとのデートが決まった模様。

そこにシェルドンが段ボール箱を抱えて嬉しそうに入ってくる。シェルドンの母親がNintendo 64をメモリーカード付で送ってくれたらしい。しかもコントローラーが3つ入っている。

Sheldon: Great news. My mom sent me my old Nintendo 64.
Leonard: Terrific.
Sheldon: You know what this means, don’t you? Break out the Red Bull, it’s time to rock Mario old school.
Leonard: I kind of have other plans tonight.
Sheldon: But it’s Friday. Friday’s always vintage game night. Look, mom included the memory card, we can pick up where I left off in 1999 when I had pernicious anaemia.
Leonard: Well, the thing is, someone’s coming over.
Sheldon: Well then, no problem, I have three controllers, the more the merrier.
Leonard: Sheldon, it’s a date, I have a date coming over.

Nintendo 64 とか、すごいですね。今みてもすごいけど、2008年とかでもビンテージゲーム扱いだったのか。

レナードは「誰か」=「デート相手」が来るからと、暗に遠慮してくれるようシェルドンにお願いするが、そんなことは通じるはずもなく、「たくさんいた方がもっと楽しい(the more, the merrier.)」とか返事しちゃうのは笑える。

仕方なく「ちょっと遠慮してくれないかな」とお願いした時のやり取りも傑作で、シェルドンは自分のアパートをレナードのために開けておかないといけない理由に納得ができず、どうして自分がアパートを出ておかないと?と食い下がります。その時のレナードの返事が、「科学が君と同じ種族の二人目を発見して、キミがプライバシーを望むなら、喜んで二人きりにしておくからさ」ということでようやく部屋からの追い出しに成功。(笑

Sheldon: Well, why should I leave, this is my apartment too.
Leonard: I know it is, and if science ever discovers a second member of your species and you two would like some privacy I would be more than happy to get out of your way.

廊下でマリオのエミュレーター

部屋から追い出されたシェルドン。仕方なく階段でノートブックPCでマリオのエミュレーターで遊ぶ。ペニーがやってきて、何してるの?ということで会話をしている間にレズリーがやって来る。

ペニーはデートに行き、シェルドンが給電のための電源ケーブルを取りにレナードの邪魔したり、トイレを使ったりするうちにレナード・レズリーのデートはお開き。ペニーもデートから帰ってきて、お互いに見せつけあうのですが、うちのネタ的には扱う内容があまりないので省略。

一つだけ追記。それにしても「伝統的なスタイルで付き合いたい」と話していたレズリー。いきなりレナードに「子供は何人作るの?」とど真ん中に剛速球を投げ込んだり、遺伝的に知っておくべきことはない?

いや、さすが科学者とは言っておきますかね。そして、この子供は何人?という会話が伏線になって、最後の場面でレズリーとレナードの関係に影響を及ぼすわけです。

階段を上がってくるペニーがシュレーディンガーの猫の話をしているけど、チャーリー・ブラウンの新しいキャラクター?とか、「類とも」ネタ披露についてはメモしておくことにしよう。50年分のスヌーピー全集もつい昨年11月に翻訳版もようやく刊行されたようですし。

以下、予約時点の案内リンクですので、今からですと予約特典はつきませんが、それにしてもすごいですね。

ルネサンス祭りにシェルドンを連れていく方法

場面変わって大学の食堂。4人がトレイをもってやってくる。

改めて会話はルネサンス祭りだが、事実と異なることが多すぎるため、もう行かないとごねるシェルドン。

Sheldon: I’m sorry, I am not going back to the Renaissance Fair.
Howard: Come on, Sheldon, there’s so few places I can wear my jester costume.
Sheldon: I don’t care. There are far too many historical anomalies for my comfort.
Raj: Oh, okay, how about this. You can go dressed as a Star Trek science officer exploring a planet similar to Earth in the 1500s.
Sheldon: You mean like Spock?
Raj: Sure.
Sheldon: Fascinating.
Leslie (arriving): Hey fellow scientists. Sheldon.

ラージの説得が素晴らしく、「スタートレックの科学技官の恰好をして、1500年代の地球に似た星の探検に行く、ってのはどう?」。

スポックに扮していくならOKと納得したシェルドン(笑

それならOKなんかい?

そこに現れたレズリー。科学者の皆とシェルドンと呼びかけ、シェルドンを科学者のカテゴリから外して意地悪をするのはいかにも彼女らしい。

レナード達が座っているテーブルだと4人掛けなので、後ろのもう少し広いテーブルに移ろうか?というもシェルドンは拒否。さらにシェルドン、「友人、同僚でありルームメイトの僕を取るか、エッチできる可能性がある自分を買いかぶっている科学者を取るか?」と迫るもレナードはあっさりと別なテーブルに移動。

スーパーヴィランには「博士」が多い

本エピソードの山場がここから。大学での食堂から、たぶんレナードとは口を利かず、部屋に戻っても電源ケーブルを引っ張ってきて3階の階段でマリオをプレイするシェルドン。そこにペニーがやってくる。服装からすると地下のランドリーに洗濯物を預けてきたか。

前回のエピソードで、ペニーが学位コンプレックスがあることはシェルドンも知っているので、ペニーに大学、あるいは短大でも入りなおすことを再検討しないか?と提案する。

青天の霹靂のペニーに、レナードがレズリーと仲良くしていて、自分を見下すことに我慢ならないと語るシェルドン。つまり大学/短大に入りなおしてレナードと付き合うことについて考え直さないか?と。

この時のやり取りがこの記事タイトルになっているわけですが。

Sheldon: Penny, hold on. Are you sure things can’t work out with you and Leonard?
Penny: Excuse me?
Sheldon: I’m just wondering if you really gave it the old college try? Or in your case the old community college try?
Penny: Okay, where is this coming from?
Sheldon: Leonard is upstairs right now with my arch enemy.
Penny: Your arch enemy?
Sheldon: Yes, the Doctor Doom to my Mr Fantastic. The Doctor Octopus to my Spiderman. The Doctor Sivana to my Captain Marvel.
Penny: Okay, I get it, I get it, I get it.

Arch Enemy。日本で言ったらラスボスみたいな感じでしょうか。字幕では「宿敵」とされてました。

「Arch」の付く単語としては「Archangel」が有名でしょうか。日本語では「大天使」と呼ばれています。ミカエル、ガブリエル、ラファエルの三大天使が有名でしょうか。

この「大」にあたる「Arch」のついた「Enemy」がレズリーということで、この後のセリフが傑作。

ファンタスティックフォーの「ドクター・ドゥーム」

スパイダーマンのドクター・オクトパス

そういえばスパイダーマンも「ノーウェイホーム」の予告編がようやく解禁になって話題を呼んでました。

ドクター店長ストレンジが時空の扉を開けてしまい別宇宙から旧敵現る!でドクターオクトパスももちろん入ってますし、それならその時代のスパイダーマン🕷も出てくるのか?と話題が沸騰してますね。

ドクター・シヴァナ

シヴァナはシャザム?キャプテン・マーベル?

ここでセリフに大きな間違いが一つ。

シェルドンは間違いなく「キャプテン・マーベルのドクター・シヴァナ」と言ってますが、ドクター・シヴァナはキャプテン・マーベル(言うまでもなく、マーベル・コミック社のキャラクター)ではなく、シャザム(DC社のキャラクター)です。

このセリフがチェックされずにそのまま放送されてしまったのはちょっと残念です。シャザムの映画が作られたのは2019年で、2008年にはそれほど有名ではなかったのでしょうかね?

いやいや。このメンバー、しかもシェルドンがそんな間違いはありえないでしょう?

もっとも字幕では「キャプテン・マーベルの」が省略されていますが、これは間違いの修正の意味もあるかもしれません。

大学は学位の審査を厳しくすべき

これらのラスボス級のスーパーヴィランを列挙した後のシェルドンのセリフも傑作。

Sheldon: Do you know, it’s amazing how many supervillains have advanced degrees. Graduate school should probably do a better job of screening those people out.
ラスボスの多くが最高学位を持ってるのは驚きだな。大学院は卒業生の選抜をもっときちんとしなきゃ。

いやいやいや。ポイントはそこじゃないよね?

話を元に戻して、とペニーにも言われ、ペニーから、レナードがレズリーといたいなら止めることはできないと言われたシェルドン。

それでも食い下がるので、ペニーが友達なら彼の味方になってあげなきゃ、と諭されたところで我に返り、「じゃあなんでレナードは僕の味方をしないんだ?」と変な方向に解釈をしてしまう。

Penny: You must know that if Leonard and Leslie want to be together, nothing you can do is going to stop it.
Sheldon: You continue to underestimate my abilities madam.
Penny: Okay, let me put it this way, if you’re really Leonard’s friend you will support him no matter who he wants to be with.
Sheldon: Wait a minute, why am I doing all the giving here? If Leonard’s really my friend, why doesn’t he have to support me in my hatred of Leslie Winkle?
Penny: Because love trumps hate.
Sheldon: Oh now you’re just making stuff up.

このシェルドンの質問に対して、「Love trumps hate」(愛は憎しみに勝る)という昨年、有名になったセリフが出てきました。

友達は友達を支持する。明らかに。

さて。ペニーの発言に触発されたシェルドン。階段でのマリオゲームエミュレーターを中止し、悠然と自分の部屋に戻ります。

そして、二人の科学理論の対立に焦点を当てて煽ること煽ること。

Sheldon: Leonard, you are my friend. And friends support their friends, apparently. So I am withdrawing my objection to your desire to have a relationship with Leslie.
Leonard: Thank you.
Sheldon: I will graciously overlook the fact that she is an arrogant sub-par scientist, who actually believes loop quantum gravity better unites quantum mechanics with general relativity than does string theory. You kids have fun.

「友達だから友達のことは支持するよ。君がレズリーと付き合いたいという願望への反対を取り下げることにする。」

ああ、なんとシェルドンチックな発言でしょうか?

そして「彼女がループ量子重力理論が超弦理論よりも量子力学と相対性理論をうまく統一できると信じていることも寛大に見逃すことにしよう」。

シェルドン、レズリーをけしかけているわけですが、これにまんまとのせられたレズリー。超弦理論よりループ量子重力論の方が実験可能な予測を提示しうる!と主張しますが、もとよりシェルドンは取り合うつもりはなく、単に煽ってるだけ。「Balderdash(たわ言だ)」と一刀両断してさらにあおりまくる。

カチンときたレズリーは、レナードに助けを求めて「Are you going to let him talk to me like that?(あんな風に私に言わせておくつもり?)」と引きずり込もうとします。

が、明らかにレナードはシェルドンと一緒の超弦理論派なわけで、レズリーが「物理学の未来はループ量子重力論にあるってあなたも同意するわよね?」と迫りますが、レナードは「I prefer my space stringy not loopy.(どっちかっていうとループよりひもの方が好きかな。)」と、持論を裏切る行為はできなかった模様。

Leslie: Hang on a second. Loop quantum gravity clearly offers more testable predictions than string theory.
Sheldon: I’m listening, amuse me.
Leslie: Okay, well, for one thing we expect quantic space-time to manifest itself as minute differences in the speed of light for different colors.
Sheldon: Balderdash. Matter clearly consists of tiny strings.
Leslie: Are you going to let him talk to me like that?
Leonard: Okay, well, there is a lot of merit to both theories.
Leslie: No there isn’t, only loop quantum gravity calculates the entropy of black holes. (Sheldon grunts.)
Leonard: Sheldon, don’t make that noise, it’s disrespectful.
Sheldon: I hope so, it was a snort of derision.
Leslie: You agree with me, right, loop quantum gravity is the future of physics.
Leonard: Sorry Leslie, I guess I prefer my space stringy not loopy.

この発言で切れたレズリー。「さっさとあなたの真実が分かって良かったわ」と三行半。

レナードは「そんな真実だなんて。あくまで仮説についての議論だろ」と丸く収めようとしますが、レズリーの決定打が次。

「Tell me Leonard, how would we raise the children?(じゃあ、教えて。子供はどちらの理論で育てるつもりなの?)」

Leslie: Well, I’m glad I found out the truth about you before this went any further.
Leonard: Truth, what truth? We’re talking about untested hypotheses, uh, it’s no big deal.
Leslie: Oh, it isn’t, really? Tell me Leonard, how would we raise the children?

この時のシェルドンの表情は、「さすがにそりゃ行き過ぎだ」というニュアンスを抜群の演技で表現していました。

シェルドンの作戦勝ち。

レズリーはレナードを置いて部屋を出て行ってしまいますが、この時のセリフもすごい。

どこに行くの?との問いかけに、「私たちの子供が遺伝的にアイスクリームを食べられなかったり、パレードが良く見えなくても受け入れられたけど、こんなの。こんなのぶち壊しだわ!」

Leonard: Wait, where are you going?
Leslie: I’m sorry, I could have accepted our kids being genetically unable to eat ice-cream or ever get a good view of a parade, but this? This is a deal breaker. (Leaves.)

もう笑うしかありません。「パレードが良く見えない」とか、上品に「背が低い」と言ってるわけで、こんな言い方で切り返せないとアメリカの社交界ではやっていけないのだな、と改めて思いました。

シェルドンの作戦勝ち

これがシェルドンの作戦だったのは、レズリーが去った後の次のセリフで明らかです。「いい方に考えよう。あと9か月でコミコンだよ。」シェルドンが高飛車な態度でなく落ち着いて語り掛けたのは、作戦だったからだと思いますね。

Sheldon: Look on the bright side.
Leonard: What’s the bright side?
Sheldon: Only nine more months to comic-con.
Leonard: Oh yeah.

Mr.スポックが16世紀の地球型惑星探索

そして最後。

ラージの提案にのっかって、ルネサンス風の仮装している中、スポックの耳と衣装を身に着けたシェルドンが、測定器をもって歩き回るシーンで終了。

画像1

測定装置は背面しか見えませんが、こんな感じの機械だそうです。

画像2

「宇宙大作戦」ではこれが使われていたのでしょうね?

ちなみに、これらの写真はFandomサイトから引用しています。

改めてアメリカのドラマを楽しもうとすると、実はいろんなことを知らないと意味が分からなかったり笑えない、と改めて感じたエピソードでした。

日常会話程度の英語って、とてつもなくハードルが高いです。

今日も最後までお読みいただきありがとうございました。

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