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90%のポーカープレーヤーが知らない|国内大型大会がバカラと変わらない理由

こんにちは。
今回もまたまたタブーな領域へ触れていきたいと思います。
記事の目的は、ポーカープレイヤーのリテラシー向上です。

今回は国内大型大会について触れていきます。
以前、JOPTの体感的なレーキをまとめただけの記事を出しましたが、今回はこれが何を意味するのかについてを語っていきたいと思います。

皆さんはポーカーというゲームを、初めての人や知識がない人にどのように説明しますか?
マインドスポーツ?ギャンブル?トランプを使ったゲーム?
様々あるでしょう。

ただ、多くの人は「マインドスポーツである」という点に惹かれてこのゲームに触れているのではないかなと思います。
中には「ポーカーってただのギャンブルでしょ?」と言われることが嫌な方もいるのではないでしょうか?

僕はあまり人から見た自分の印象を気にしないタイプなので、何とも思わないですが、中には「パチンコとか競馬と一緒にしないで!」なんて声もチラホラ聞こえてきます。
もしかしたら、その人自身がギャンブルにあまり良い印象がなく、ポーカーはギャンブルではないと思いたいのかもしれませんね。

そんなポーカーですが、国内でも随分と盛り上がりを見せており、多くのプレイヤーにとって、国内の様々なところで行われている大型大会イベントは憧れの舞台かもしれません。
しかし、今日は、そんなマインドスポーツであるはずのポーカーにとって、大型大会の残酷な一面をお届けします。

今日お伝えすることは、結論から申し上げますと、多くの人にとって国内の大型大会はパチンコ、競馬や、カジノゲームで代表的なバカラやルーレットと実質変わらないギャンブルゲームであるということです。

今回は、それがどういうことなのかをギャンブルの基礎知識をおさらいしながら解説していきます。
ポーカーを始めたばかりの初心者の方にとっては、リテラシーが向上するいい機会になると思いますので、ぜひご覧ください。

また、本記事は価格設定をしていますが、内容自体は無料で全部読めます。
今回様々な解析を行いますが、そのコードに関してだけ有料部分に置かせていただきますので、自分で設定を変えて様々なシミュレーションをしたい方は、僕にランチをおごるつもりでご購入いただけますと嬉しいです。


カジノゲームは絶対勝てないようにできている

まず大前提の話をしていきます。
この辺を理解しているという方は読み飛ばしていただいて問題ありません。

そもそもカジノにおける様々なゲームは期待値と控除率の関係で必ずカジノ側が勝つ仕組みになっています。

期待値とは、超簡単に言えば、あるゲームで「平均的に見込める利益や損失」を示す数値です。多くのカジノゲームは「負の期待値」を持っていて、これがプレイヤーが長期的に勝てない根本的な理由なのです。
そうしないと、カジノがつぶれてしまいますからね。

代表的なゲームの負の期待値

ここでイメージを膨らませるために、代表的なゲームの負の期待値についてふれてみましょう。

ルーレット
ルーレットには、0から36までの数字があり、プレイヤーは数字や色、偶数や奇数など、さまざまな賭け方が可能です。
ヨーロピアンルーレットでは、0が1つあるのに対し、アメリカンルーレットでは0と00の2つがあります。
ルーレットの期待値は、賭け方によって異なりますが、ヨーロピアンルーレットの場合、例えば単純な赤/黒に賭ける場合の期待値を計算するとこんな感じです。

E(X)=(18/37⋅1)−(19/37⋅1)=−0.027

この計算から、カジノがプレイヤーが賭けた金額の約2.7%を平均的に回収していることが分かります。
つまりこれは、100ドル賭けた場合、2.7%にあたる2.7ドルがカジノ側の利益になるということであり、プレイヤーには残りの97.3ドルが戻ってくるような仕組みが理論上成り立っているということです。

バカラ
次に、バカラに目を向けてみましょう。バカラは、プレイヤーとバンカーの2方に賭けることができるシンプルなゲームです。
タイという選択肢もあり、これはプレイヤーとバンカーの点数が同じになることを当てる賭け方です。
バカラの控除率と期待値は、賭ける場所によって異なります。例えば、バンカーに賭ける場合の期待値は以下の通りです。

E(X)=(0.5065⋅0.95)−(0.4935⋅1)=−0.0106

バンカーに賭けた場合、カジノはプレイヤーの賭け金の約1.06%を回収します。
つまり理論上は、100ドル賭けたら、1.06ドルが運営の利益になり、残りの98.84ドルがプレイヤーに払い戻されることになります。
同様に、プレイヤーとタイに賭けた場合の期待値も計算できます。
これによって、カジノがどの程度の利益を得るかを知ることができます。

このように、カジノのゲームというのは基本的に我々お客さん側がいつか必ず負ける仕組みになっています。
パチンコも競馬も本質的には必ず勝てないようになっています。
※パチンコは裏技があるようですが・・・・

確かに、ギャンブルにおける短期的な勝利は存在します。
その短期的な勝利をしている間に、2度とそのゲームをしないと誓えば勝ち逃げは可能でしょう。

しかし、長期的に見ると確率が収束し、期待値と控除率の影響通りの結果に近づいていきます。

これは、コイン投げを考えれば理解しやすいです。
コインを10回投げたときに7回表が出ることもあるかもしれません。しかし、コインを10万回投げれば、表と裏がほぼ半分ずつに近づいていきます。

カジノゲームも同じく、短期的には勝てる場合もあります。
例えば、ルーレットの黒に10ドルずつ10回賭けたら、なんと7回も黒になったなんてことは珍しくありません。
ただし、長くやればやるほど、黒がでる確率は18/37(48%)に近づきます。
これは50%を下回っているため、勝ちよりも負けの方が多いということです。
したがって、この行為を繰り返していけば、いつか必ず持ち金は0になるということです。

これがカジノゲームに必ず勝てない仕組みです。

対人戦のポーカーだけは控除率を実力で超えることが可能

ここまでで、カジノゲームは必ず勝てないことを説明しましたが、対人戦のポーカーゲームはその限りではありません。
テキサスホールデムなど、対人戦のポーカーゲームに関しては、プレイヤーの力量によって、期待値をプラスにすることができます。

これはポーカーにある程度触れた方の殆どが理解されていて、それが皆さんがポーカーに面白さを感じる部分の1つなのではないかと思われます。
※アルティメットホールデムなどの対カジノのポーカーは長期的に絶対に負けますのでご注意ください笑

ここまでをまとめます。
・カジノのゲームはカジノが勝つように負の期待値設定がされている
・対人戦のポーカーゲームだけは実力で期待値をプラスにすることができる

話をさらに深堀してみましょう。

対人戦ポーカーはプレイヤーからの手数料で成り立っている

ここまでの内容で、対人戦のポーカーゲームは実力で期待値をプラスにすることができると触れてきました。
期待値をプラスにできるというのは、ポーカーゲームの控除率を超えることができると表現できます。

そもそもカジノは、対人戦ポーカーゲームを運営することで、どのように利益をあげているのでしょうか?

その答えがレーキという存在です。

キャッシュゲームの場合、そのテーブルで決められていたレーキが1ハンドごとにポットから徴収されるのが一般的です。
例えば、レーキが10%のゲームであれば、ポッドに100ドルたまったうちの10ドルをカジノ側が徴収し、残り90ドルが勝利したプレイヤーに渡ります。
2bbCapのように、どんなにポッドが膨らんでも、最大2bbまでがレーキとして徴収されるようなCap制度も一般的です。

トーナメントの場合、参加費にレーキが含まれています。
例えば、100ドルだしのトーナメントでレーキが10%であれば、90ドルが賞金に組み込まれ、残り10ドルが運営の売上になります。
10人が参加したら、900ドルが総額プライズになり、100ドルが運営の売上になります。

対人戦のポーカーゲームもレーキという存在がある以上はマイナスサムゲームになります。
したがって、理論上はプレイすればするほど、テーブルからお金がなくなっていくゲームなのです。
新しいプレイヤーが入ってくるか、リバイする人が現れて、初めてテーブルの資金は保たれます。

ポーカーで収支をあげるには、この徴収され続けるレーキ以上に勝ち額を重ねることが必要になります。

中には、チップの奪い合いではプラスにできたが、レーキで徴収された分だけ負けてしまうということも珍しくありません。
それだけレーキという存在は大きなもので無視できないものなのです。

ポーカーのトーナメントは控除率だけ見たらルーレットやバカラよりもマイナスになるようにできている

ポーカーのレーキという概念を理解したところで、他のギャンブルゲームとポーカーのトーナメントを比較してみます。

先ほど例にあげたように、ルーレットの控除率は2.7%であり、バカラの場合は1.06%でした。
そして、一般的なポーカーのトーナメントはレーキが10%ほどなため、これだけ見ると、ルーレットやバカラよりもマイナスになるようにできているゲームだと言えます。
一方、対人戦のポーカーは、自身のもつスキルによってこの10%のレーキ以上に勝つことも可能であり、それらを成し遂げている人たちがプロとして存在しています。
これが、ポーカーで期待値をプラスにできている人(状態)と定義することができます。
スキルを介在させることのできないバカラなどは、控除率はポーカートーナメントよりは低いものの、ジリジリと負けることが絶対に決まっているゲームです。

その点が大きな違いであると言えます。
ポーカーは実力で控除率を超えていくことを目指すゲームであるということですね。

逆に言うと、ポーカーは実力がなければ、最初から控除率が10%な場合であれば、ルーレットやバカラ以上に負けるゲームだということですね。
つまり実力のない人にとっては、非常に恐ろしいゲームだと感じます。
このような特徴をもっていることを覚えておきましょう。

ここまでで、ギャンブルゲームの特徴と対人戦のポーカーで期待値をプラスにするとは、どのようなことなのかに触れました。
では本題である国内大型大会についてみていきましょう。

国内大型大会は全員が負けるゲームである

以前、僕は下記の記事にJOPTサイドイベントの控除率をまとめました。

JOPTのサイドイベントは、平均するとだいたい50%くらいの控除率となっており、普通にプレイしていたら10000円が5000円になって戻ってくるゲームだと言えます。

これはバカラの約50倍の控除率です。

一般的な海外のトーナメントではスキルを用いることで、10%の控除率を超えることさえできれば収支をプラスにできていました。
しかし、JOPTサイドイベントに関しては50%の控除率をスキルで超えていく必要性があるということを意味しています。

果たして、そんなことができる人はこの世にいるでしょうか?

気になったので調べてみました。

JOPTサイドイベントに1万回出てみた。

今回は前回のJOPTでレーキが59%程度であった、GG150を例にします。
条件は以下の様な形です。

参加人数:263名
参加費:15,000円
プライズ総額:1,600,800円
入賞圏内:15位以上
プライズ分配率:公式ページを参照(優勝で22.76%の比率でした)

この263名の実力をランダムに固定し、1万回このトーナメントに参加した場合をシミュレートしてみました。(Pythonでスクリプト組みました)
1万回の理由は、ポーカーは短期的には運のゲームであり、1万回くらいプレイすることで見えてくるものがあるためです。
その結果、以下のようになりました。

このように全員が必ず負けるような結果になりました。
何度か動かしてみましたが、このようなグラフにしかなりませんでした。
たしかに数10回くらいまでは勝てている人もいました。
ただそれはルーレットやバカラで試行回数が少ない時に勝てているのと同じ現象です。

ちなみに上記は運の要素を90%、実力を10%くらいで出力しています。
これは僕のポーカーに対する体感値で考えています。
いや、ポーカーは実力のゲームだ!!という人のために、運の要素を逆に10%にした結果が以下です。

むしろ右肩下がりなグラフがよりまとまったような印象です。

また、同じ条件でレーキを10%に下げた場合(プライズ総額を350万くらいにした場合)もシミュレートしてみました。
その結果が下記です。

殆どのプレイヤーは負けますが、しっかりと勝てる人もいるという現実的なグラフができあがりました。
上記のグラフは実力10%、運を90%で実行しましたが、運を10%にし、実力を90%した場合でも、グラフはあまり変わりませんでした。
※ちなみに全員が負け越すパターンもありましたし、半分以上が勝ちこすパターンもあったため、かなり分散が大きいことがわかります。

また、この設定は、263名も出ているにも関わらず、入賞ラインが上位15位でしたので、少しリアルにするために、賞金配分を上位15名ではなく、上位11%(30位)のような形に変えてシミュレートをしてみました。

こちらもリアルな数値になったと感じます。
1万回試行した際に勝ちこしているプレイヤーはわずかにしかいません。
しかし、勝ちこせているプレイヤーはしっかりと勝ちこしています。
レーキが同じ数値なので結局はあまり変わらないようです。

JOPTサイドイベントは必ず負けるギャンブル

シミュレート結果の通り、JOPTサイドイベントはバカラやルーレットのように負けることが確定しているギャンブルな可能性は非常に高いと言えます。
これでは「ポーカーって要するにギャンブルでしょ?」という人を否定することは難しいかもしれません。
※あくまでもシミュレートなので、そうではない可能性も0.001%くらいはあるかもしれません。

当然、リアルな場では、1万回もプレイするわけではなく、多くても数10回だと思います。

その結果、その範囲内では偶然勝てるラッキーなプレイヤーもいるでしょうし、良い意味で分散が収束する前に一生を終えることで生涯勝ち組になる人もいるはずです。

しかしポーカーはあくまでも期待値を求めるゲームです。
もし、それらを無視して、必ず負けるポーカーをやっているのであれば、それはパチンコや競馬、ルーレットやバカラなどで、偶然の上振れを狙っているギャンブル愛好家と何の差もありません。
決してマインドスポーツなどではないのです。

もちろん、そんなことは分かってる!
俺はギャンブルをしに大型大会に言ってるんだ!
という人も当然いらっしゃると思いますし、僕はそういう方をリスペクトしています。

僕のポーカー仲間にも「還元率?そんなもん知るか、俺はレッツギャンブルしに行くんだ!」といってJOPTに参加し、ハイパーターボで優勝していた人もいました。

逆に、周りからギャンブルだと思われるのが嫌だという方は、もう一度冷静に振り返ってみてもいいのかもしれませんね。
国内の現状では、決してマインドスポーツとは言えません。
本当にギャンブルが嫌なのであれば、海外シーンでキャッシュゲームを中心にプレイすることをお勧めします。

また、国内大会はいっそのことプライズなしに振り切るのもありなのではないかと思います。(逆に参加費を0にし、各企業の広告投資先にするなど)
以前、別の記事で、マネーマッチでなければポーカーではないと説明をしましたが、国内の現状の法律で無理に海外と同じようなポーカー大会を実現させる必要が本当にあるのか?と考えています。(ランキングポイントゲームを中心に広がっていくとかでもいいのではないかなと)

当然、商業イベントなのでそれも難しいのだとは思いますが・・・

あくまでもポーカーは海外を大前提とした非日常的なゲームとしての存在でも良いのかもしれません。


そんな海外シーンでのキャッシュゲームで活躍できるようになることを応援させていただく、パーソナルトレーニングジムをイメージしたポーカーのトレーニングサービスを運営しております。
海外シーンでの活躍を目指したい方を対象に、完全合法な範囲(GTOツールを使ったシミュレーション)でトレーニングさせていただきます。
気になる方はぜひ、ご連絡ください。

また、以下に今回使用したシミュレートで使用したPythonのコードを貼っておきます。
記事購入していただいた方のみ見れますので、ご活用ください。
僕より詳しい方がより良いシミュレートを作ってくれるかもしれません。
※使い方がわからなければDMなどで聞いてください。

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