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錆戦日誌17・とある司令室

癒えぬ傷跡こそ美しい。すなわち、粉塵により赤く染まる世界。
未来などいらぬ。永劫に続く現在にこそ、祝福あれ。

「っていう反グレムリンカルト団体からの連絡が入ったんですが」
「捨てろ捨てろ、そんな厄ネタ!」

青花の副官は、そうですよね、とつぶやきながらメールをゴミ箱へ送った。

「ジャンクの進化を見てから、どうもカルトの勢いが強まっているらしくて」
「市民の統率はよその仕事だろう。どうしてうちにお鉢が回ってくるんだ?」

巨大未識別以降、真紅の部隊が戦場に駆り出されているのは把握している。それでも、治安維持がないがしろになるほどの規模ではないはずだが。

「ジャンクもそうですけど、ヴォイドテイマーに対する疑念みたいなのが強まっていまして」

現状、ジャンク将軍に対応できるのは無所属のテイマーだけだ。しかし、彼らが次なるジャンクとして市民生活を脅かす可能性はないではない。三大の量産されたグレムリンでは、彼らの戦いにはついていけないということも市民は把握してしまっている。

「明日が来るのが怖いから、ずっと今日が続けばいい、みたいな話じゃないか。不安に付け込むのは新興宗教の手口ではあるが、かといって本当に今が最善だと思うか?」
「より悪くなるのがわかっているなら今のままがいい、ってことですよ」

誰もが我々のように戦えるわけではないんです、と副官は言う。

「未来、未来か。どう思う」
「知りませんよ。なるようになります。変な希望を抱かなければいいんです」

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