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Django Reinhardt at Musical Planet


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ジャンゴ・ラインハルト(Django Reinhardt)

 絵:音座マリカ
 文:泉井小太郎



Minor Swing

放浪する民
放浪する音
雲と
水と
風と
それからひとかけらの心
越えて行くのは
地平線
心平線

 *

ギターが弾み
フィドルが曲ねる
魂は自由だ
大いなる楽器だ
魂は滅ぶにさえスイングする


  ♪


ジャンゴのギターを初めて聴いたのはFMラジオ。『ルシアンの青春』のテーマとして流れたから、映画公開の1973年か1974年のことだったかもしれない。伝説のギタリストとして名前だけは知っていた。出だしのテーマで惹きつけられ、ジャンゴのギターが躍り出た瞬間、魂を攫われた。すぐにレコード店に走って、ただ一枚あった『ジャンゴ1934』を購った。
 以来、「マイナー・スイング」はわが流浪生涯のテーマ曲ともなり、『ジャンゴ1934』はその後何人かにプレゼントして聴いてもらった。

無人島にたった一枚アルバムを持っていくなら…という質問には、いつしかジャンゴと答が決まってきた。どのアルバムでもいいが、出来ればボヘミアン双生児とも言えるステファン・グラッペリとのフランス・ホット・クラブ五重奏団のもの。「マイナー・スイング」が入っていれば言うことはない。でも後期のクラリネットとのコラボレーションでゆったりとバラードやトラディショナルを演奏しているのも悪くない。
ジャンゴの良さは、じっくり耳を傾けることも、BGMにして流しておくことも出来る。体調のいい時も悪い時も聴ける。精神が昂ぶっても翳っても耳に入ってくる。心身の血行を良くし、滑らかにする。生物はスイングするものである。否や、雲も、波も、星も、孤島も、スイングする。


  *


余談だけれど、知人にジャンゴ弾きがいて、もう一人のジャンゴ・マニアのイスラエル人とデュエットを組んだ。かつて住んでいた空家でアート・ジャム・セッションをやった際に一夜演奏会があり、別の日に、かれらにジャンゴの曲を演奏してもらって詩の朗読をした。
狭い庭にパフォーマー三人、障子を開け放した部屋に聴くひとたち。哀愁館と名付けた家に捧げる詩と、ジャンゴの演奏がきっかけで作った「スワニー河」という詩の二篇を詠んだ。さすがに演奏は心地よく、心身に染みとおって、そこから声も出ていった。曲は「ヌアージュ」。


  ♪


ジャンゴ・ラインハルト(Django Reinhardt)1910-1953
ベルギーのジプシー・キャラバンで生まれた天然のミュージシャン。
18才の時に左手を火傷するが、三本指で独特のフィンガリングを工夫。
哀愁あるメロディと躍動するリズム。ジプシー・スイングを生み出した。

愛聴盤:
○ Django 1934(Vouge)
○ Parisian Swing(GNP)
○ Solos / Duets / Trios(Inner City)
○ Django Reinhardt 1947/1948(Phonic)
○ Django Reinhardt 1 a 3(RCA 3LP)

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