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蝸牛山散策


雨に雷、体調も不安定とあって蝸牛山散策は諦めていたが、帰りのバスが行ったばかりで次は一時間余り後。雨も上がったし、ゆるゆるゆるゆる歩くことにして坂を下ればヤクシソウ(薬師草)がいっぱい咲いていた。


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蝸牛山に着く頃には風も収まって、麓の原に入り込んでゆっくり過ごす。ウグイスの笹鳴が聞えるくらいで鳥の姿はない。長距離トラックが一台、原の入り口に止まって昼の休憩をとっている。以前も見たから、この山が好きなのはぼく一人ではなさそうだ。見よ、蝸牛山にも一本の紅葉樹はある。


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もう冬の蝶になってしまったけれど、けっこう飛んでいる。がんばれよ、と病院帰りの老人は思う。お互いの、天命をな。
アメリカセンダングサに止まっているこの蝶は、ヤマトシジミのメスでいいのだろうか。低温期に青色が現れるという話。きれいだった。


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野菊とも邂逅。
ノジギクの季節。眩しいくらいに咲いていた。もう一箇所はほとんど蕾。


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山路になじみの野菊があったのだけれど、ここ三年の拡張道路工事で立入禁止になっていた。それが解禁で分け入ってみると、咲いていた。おお、と声をあげる。シロヨメナか、ヤマシロギクか。その先は山が削られた。


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削られた山の斜面にはカラスウリの群落があり、途切れた径にはツタやカラスウリに絡まれたサザンカが並び、冬の今頃は赤い灯りを点した、ちょっとしたサザンカ祭のような趣があった。ひそかなメルヘンの径として楽しんできたのに残念である。


   *

二ヶ月に一度の病院通い。その慰めが、向かいにある巌山。以前は鳥に遇うのを楽しみに遠足したフィールドである。隣はローラー滑り台や世界最大の地球儀時計をもつ公園で、休日には家族連れで賑わっているが、背中合わせのこの巌山を訪れる人はまず無いようだ。名前もないところから、蝸牛山と名づけて愛着している。
今は病院通いの時にしか蝸牛山に会えず、天気体調に恵まれれば、麓を歩いて帰ることにしている。

病院からバスで八分。バス停から歩いて十分。
二十分足らずのところを、今日は二時間かけて帰った。へろへろに疲れたけれども、草木、鳥、虫たち、自然から得るものは多い。


蝸牛山についてnoteに書いた記事があります。
「蝸牛山」



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