春闌けて
酒見の森にクロツグミの歌を聴きながら羅漢寺へ。
阿吽の仁王の間を入って一曲りすると、鮮やかな紅。もうシャクナゲの花。大輪である。
薬師堂で疫病退散の祈願をして、羅漢場に向かう。
春は闌けたが、悲しみも深まる。
今日はこの羅漢が印象に残った。
ぐっと……言葉にならないものをこらえて……ひと口開いても吃るだけで先を語れない。それでも悲しみには潰されない。なにを……どうすれば……いいのか……。
この石仏はキリシタン研究家からケパをかぶった宣教師と見做されている。陰影に富んだ表情で、いつも穏やかに佇んでいる。ほんとうにあなたたちは誰で、いつから、どこに立っているのだろう。
同行した〈ふうら〉は、この羅漢とも合掌デュエット。右隣の羅漢*とともに三角形の立ち姿に相通じるものがある。(*4月25日「ふうら合掌」参照)
春はやがてゆく。春は厄介なウイルスを連れ去ってくれないものか。
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