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「負け」が名馬への序章となる、稀有な例になるかも

 
 オークスで圧倒的な1番人気になったソダシ。単勝がなんと1,9倍。
 
 白毛馬という話題性はあったものの、過去GⅠ2勝(しかもそのうち1つは、今回騎乗のソダシ)のジョッキーがGⅠ、それもクラシックで圧倒的な人気になるのは、とても珍しいことです。
 
 ぼくは今回、心情馬券からソダシ流し。ソダシをはずした馬券は一つも買っていませんでした。なので、4コーナーで伸びなくて苦しんでいるところを見た時点で、オークスは終わりました。偶然同枠だったお兄さんの17番人気馬にも先着される、8着という大敗。
 
 この8着で、ソダシの無敗と連勝は止まり、牝馬3冠も消えました。「負けは今後のステップ材料!」といったような、教条的な言葉が世には存在しますが、それは人間世界でのこと。競走馬の世界では、負けはマイナスにしかなりません。馬人間とちがって「負け」を戒めにもしないし、解明して自身の弱点克服にもしません。「負け」は、自身の生涯成績を落とすだけのものです。
 
 ただ今回のソダシの負けは、もしかしたら、名馬への序章となるかもしれません。この馬がダート路線に変更するかもしれないからです。
 
 ソダシは、ダートでは名馬になるかもしれません。
 
 中央競馬ではダートより芝の方が格が高く、ダートへの適性があっても、デビュー当初は芝を使う馬が多いです。ダートにはダービーも天皇賞もグランプリレースもありません。ダート路線のGⅠレースは年にたったの2つしかありません。
 
 ソダシがそうなのかは分かりませんが、ダート適性が抜群でも、芝を使ってみて、勝っているうちは芝のままでいく、というパターンは多いです。競馬史に名を残す馬でダートを使ったというのはほとんど見当たらず、逆に、競馬史に燦然と輝く名ダート馬が、2歳時、3歳時に芝を走っていたという例はとても多いです。競馬史に名を残すダート王者の多くは、芝路線で挫折してダートにまわってきた馬なのです。
 
 ただ、芝の有力馬がダートにまわれば勝てるというものではありません。全体的には芝の方がレベルが高いですが、馬には適正というものがあります。
 
 しかしソダシには、ダートへの適性が詰まっていると想像できます。父と母のダートでの実績がすごいからです。
 
 父のクロフネはデビュー前から話題の素質馬で、破格の、とまではいきませんが、それなりの活躍をします。新馬戦2着のあと連勝して、暮のGⅡ3着、明けて3歳でGⅢ勝ちで、そしてGⅠマイルカップを勝ちます。そして2番人気で迎えたダービー。ここでかなり差をつけられた5着。休み明け、秋緒戦でもGⅡを3着と凡走し、そこでダートに路線を切り替えます。
 
 その初ダート戦で、2着に9馬身差をつけて衝撃の勝利。重賞で、です。そして次のダートGⅠも7馬身の差をつけ、あっさり勝ちます。そこでケガで引退してしまいましたが、無事に走っていたらさらに実績を積み上げていたと想像される、ダート変更してからの楽勝劇でした。
 
 ソダシの母ブチコも、芝では芽が出ず、ダートで化けた馬。芝から使い始め、3戦未勝利。4戦目でダートに替え、8馬身ぶっちぎる。次も楽勝したあと、また芝に戻す。そのGⅢ戦で14着と大敗し、ここでようやく芝に見切りをつけます。再びダートに戻り、しばらく勝てませんでしたが、4歳になって初戦に大差勝ち。準オープンに上がっても3着、1着。この馬はとにかくゲート嫌いで、それが仇となって、それから間もなく引退となりましたが、ダート適性はとても高い馬でした。
 
 父がダート戦9馬身差、7馬身差の2戦2勝でGⅠ馬。母が未勝利8馬身、1勝馬クラス3馬身、2勝馬クラス大差、3勝馬クラス3馬身と勝ち上がった(負けもけっこうあるけど)ダート適性馬。この血を持ったソダシは、名ダート馬になるかもしれない。桜花賞の勝ち方からマイル適性が高そうなので、ソダシのGⅠ3勝目は、来年2月のフェブラリー・ステークスでじゃないかと思っています。もちろん、心情馬券を買ったくらい応援している馬なので、それまでにGⅠを勝てばうれしいけれど。
 
 心情馬券を買ったのは、自分の書いた小説とダブるから。
 

 
 GⅠ1勝ジョッキーが主役で、本人はGⅠレースでの1番人気を望むけど、なかなか1番人気になれないのです。今回吉田隼人が1番人気になって、元々好きだったジョッキーではあったけど、余計にオークスでは勝ってほしいなぁと思ったのです。毎年、距離がちがいすぎるので桜花賞馬はオークスでは外すのですが。
 
 オークスは残念だったけど、吉田隼人にはソダシとコンビでダート界の王者に君臨してほしいと願っています。


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