エンジンオイルの話ー3

教えていただきたいのですが

よくウェブやYouTubeで耳にする話ですが、オートバイ（4サイクル）のオイル交換は3000kmごと、オイルエレメントの交換はオイル交換 2回に1回と言われます。
それはそれで間違いではないのだろうと思いますが・・・。
疑問なのです。
何を根拠に 3000km ごとの交換と言われているのか？
何を根拠に 2回に1回のエレメント交換なのか？
ということがわからないのです。
確かに「目安」としての話なので、何でもかんでもきっちり3000kmで交換しなさいとは誰も言っていないのはよくわかります。
ただ、目安としているのならどこからこのような目安が出てきたのかなぁと。
どなたかご存知なら教えていただけますか？

オイル交換時期の目安は？

はっきり言って、いつ交換すれば良いかの目安はどこにもありません。
強いて言うなら、オーナーが点検をして、交換した方が良いと思った時が交換の時期ですね。
その理由は、オートバイがどんな条件下で、どのように使われているのかは、人それぞれでバイクごとに違うからなんですよね。

仮に今、目の前に同じ年式で同じ走行距離の同じ車種のバイクが2台あったとします。
1台の方は毎週のようにサーキットへ行ってレースのような乗り方をしていますが、もう1台の方は通勤や通学に使っていて街乗りにしか使っていないとします。
さて、この2台のオイル交換、一台ずつ管理してそれぞれに交換時期を分けて交換するのが良いか、
それとも面倒だから二台まとめて同じタイミングで同時に交換するのが良いか、どちらでしょう？

正解はありません。
もし僕がこの二台のバイクのオーナーだったら、、、、
サーキット走行する方のバイクは、サーキットへ持ち込むごとにオイルを点検し、汚れていなくてもスラッジが多いかなと思えば交換します。
また、その日の気温や使用しているオイルの粘度なども考えて、必要があれば違う粘度の物と交換するでしょう。
オイルエレメントはオイル交換ごとに新しいものと換えるかな。

通勤通学に使う方のバイクはというと、長ければ2か月に1回くらい、短ければ月に一度点検してみて、汚れているなと思えば交換する程度でしょうか。
走行距離はあまり気にしませんが、さすがに一回のオイル交換で5000km以上は走らせないと思います。
極端な話、1000kmしか走っていなくても汚れていれば交換しますし、前回のオイル交換の時にスラッジの量を見ておいて、スラッジが多いなと思えば汚れる前に交換すると思います。

参考になるかどうかは何とも言えませんが、こんな例もあり得ます。
一台は CB1300SF   7750rpm がパワーバンド
もう一台は CBR250RR   13500rpmがパワーバンド
仮に、この二台が東京から大阪までの往復を高速道路を使って一定の速度 120km/h で走り続けるツーリングを月に2回、3ヶ月間繰り返したとします。
さて、オイル交換の時期は？

僕はこの答えを持っていませんし、恐らくは明確な答えなどないのでしょう。
ただ、この2台ではエンジンにかかる負荷が大きく違うことはすぐにわかると思います。

CBR250RRの場合、ボアストロークのストロークが41.3mmですので、クランクシャフトが1回転（ピストンが一往復）するごとにピストンはシリンダー内を0.08m移動します。
仮に10000rpmで1時間走行すると、
10000 x 0.08 = 1分間に800m
800m x 60 = 60分間に 48,000m （48km) 移動
1時間にシリンダー内を48キロメートル移動したことになります。

CB1300SFの場合、 ボアストロークのストロークが67.2mmですので、クランクシャフトが1回転（ピストンが一往復）するごとにピストンはシリンダー内を0.13m移動します。
仮に4500rpmで1時間走行すると、
4500 x 0.13 = 1分間に585m
585m x 60 = 60分間に 35,100m （35km) 移動
1時間にシリンダー内を35キロメートル移動したことになります。

ボアストロークのストロークの距離は、CBR250RRの方がCB1300のストロークの 2/3 程度しかないのに、
上の計算では、CB1300のピストンの総移動距離はCBR250RRの７割程度しかありません。

もちろん単純に比較することはできませんし、これを根拠にオイル交換時期を決めると言うのも現実的ではなく無理があります。
そもそも、こんな計算をすること自体意味がありません。
ただ、エンジンの特徴や構成、乗り方によってオイルにかかる負担は大きく違ってくるということを数字で表せば伝わりやすいのかなと考えました。

そんなこんなで、結局のところ 3000km目安論の根拠がどこにあるのかがわからないままではありますが、僕がこの目安をアテにしない理由もわかってもらえたと思います。