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思い立って資格を取るまでのお話(25)

そして運命の日

届いた通知

 6月某日。ここまで自己採点はしなかった。ホームページ上で解答が公開された今日から結果が順次送付されるとあり、早く結果を知りたいようなそうでないような、ドキドキしながらポストを覗きに行く。何度か書いているとおり、旦那にも保育士試験を受けることを言っていない。だから結果がずっとポストに残り続けて旦那に見つけられるのは都合が悪い。
 送付開始初日はさすがにないだろうと思っていたら、ポストに1通。保育士試験筆記試験結果、とある。ついに来た!
 急いでカメラといつもの撮影場所を準備する。カメラの録画ボタンを押して、録画スタート。個人情報に関わる部分を隠して、未開封の通知を開封するところから始めた。演技でも何でもない、結果を見ての素の反応を、カメラに収めておこうと思って。
 点線を破けば開封できたところを、ご丁寧にはさみマークにそってはさみを入れて、せーの! で結果を開いた。
 
 保育の心理学、合。
 保育原理、合。
 子ども家庭福祉、社会福祉、教育原理、社会的養護、子どもの保健、子どもの食と栄養、保育実習理論。順番に科目をたどっていった。
 
 全部、「合」の字がついている。
  
 えっ? もう一度、保育の心理学からたどり直す。何度見ても間違いなく、全部に「合」。改めて見直すと、名前、受験番号などの横に大きく、「合格」の文字。
 
 やっと頭が追いついた。
 まさかの全科目合格!!

 今回は全科目合格はムリだ、もう一度受験料を払おう。そう諦めていた。だから実は、結果を開くのが怖かった。不合格を意味する文字を見るのが、怖かった。潔く受け入れて不合格の科目はまたしっかり勉強しようと思っても、1回目のように頭に入るだろうかと、不安だった。
 
 それが。思ってもみなかった、一度で全科目合格!!

こうなったら、狙うはひとつ

 通知をよく見たら、保育士試験実技試験受験票、とある(「筆記試験結果」の部分は、正しくはカッコ書き)。後に受験の手引きを見たときに、
 
幼稚園教諭免許状所有者で条件に該当する者を除いた受験申請者全員に「筆記試験結果通知」を。筆記試験全科目合格者(実技試験受験対象者)には「実技試験受験票(筆記試験結果)」を送付
 
とあった。
 開封をしなくても、実技試験受験票が届いた時点で筆記試験の全科目合格がわかるようになっていたのに。ただ私は手引きをしっかり読んでおらず、受験者全員に同じ結果通知が届くものだと思っていて、「まさか、ね?」と、自分が全科目合格しているとは思わなかった。よく考えたら、筆記試験に全科目合格していないうちに実技試験の案内を送るほうが不自然だし、酷だ。
 
 全科目合格がわかったことで、やることは決まった。
 実技試験までは約4週間。その間、実技の練習をひたすら重ねる!
 
 改めて、通知をじっくり見てみる。自分で過去問題を解いていたときは、点数でなく分数で(問題数を分母、正答数を分子)数えていたので、何となく分数のほうが見やすい。まず、点数を分数に直す作業をやった。従って下記は添付画像の得点を分数に直したもの。

・保育の心理学 14/20
・保育原理 17/20
・子ども家庭福祉 12/20
・社会福祉 17/20
 
・教育原理 6/10
・社会的養護 9/10
・子どもの保健 17/20
・子どもの食と栄養 17/20
・保育実習理論 19/20
 
 パッと点数だけ見たとき、「教育原理」と「社会的養護」は点数少なっ! と思ったが、割合に直してみたらどちらも6割に到達している。そういえば、この2つの科目は満点が50点だった。と気づいたときに、えっ、「社会的養護」でそんなに点取れてたの? と驚いた(自分でも実感がなかった)。
 同じように他の福祉系科目でも、「子ども家庭福祉」はある意味納得。「社会福祉」でこんなに取れてた? と驚いて、ホームページと、持ち帰ってきた問題用紙(これが正答と思うものに印をつけてある)を照らし合わせて改めて採点してみた。確かにこの数字のとおりだった。

 満点はどの科目でも取れていない。でも、6割が合格の条件。ちゃんと6割は突破したんだから、合格は合格だ。

それでもまだ、言わない

 通知が届いていると知って、結果は一体どうなっているんだろうとドキドキを通り越して酸欠になりながら、カメラを回し、点線に沿ってはさみを入れて通知を開封。うれしさのあまり涙する。
 ここまでしっかり、カメラに収まっている。できればあまり時間の経たないうちに、この様子を動画サイトで公開できたらと思う。このシーンにはどのBGMを使うとか、もうあらかじめ決めてある。・・・つくづく思う、合格したときのことを先に考えておくなんて、順序が逆だろう、と。それとも、これがある意味「予祝」になったのだろうか。
 とにかくうれしくて、カメラを止めたあともう一度、「やったっ!」と、一人喜びをかみ締めた。次には、今回保育士試験を受けると打ち明けた人に、第一関門突破の報告だ。

 まず、先に登場した現役保育士のママ友Aさん。福祉関係の科目の重要さを教えてくれた人だ。その人がアドバイスをくれたおかげで、苦手な科目だけどがんばろうと思えたこと。
 ここまで登場していないけれど、精神保健福祉士として現場で働く友人。彼は私と旦那共通の友人なので、「仕事上知りえた秘密ということにしておくね」と、旦那に秘密にしておくことも約束してくれた。福祉科目が難しい! 複雑すぎる! と、グチをはきまくった相手で、彼も保育士ではない別の資格試験に向けて勉強中。合格のおすそ分けをと思って、報告とエールを送った。
 さらに、「彼女の力に『ちゃんと裏づけをもって』なりたい」と思った、かれこれ30年近くの付き合いになる友人。住む土地がお互いに離れていても連絡を取り合っていて、今は同じ年頃の子をもつママ友になった。彼女には、資格試験を4月に受験すると言ってあった。今回の筆記試験合格の段階ではまだ何の資格かは言っていないが、合格したらもちろん報告もするし、資格名ももちろん明かす予定だ。
 そうだ、認可外保育所でお世話になった園長にも、忘れずに報告しなきゃ。保育士試験を受けるとは言っていないけれど、実技試験までしっかり合格したら、時期的に暑中あるいは残暑見舞いのころ。それを兼ねて、久しぶりに手紙でも書こう。
 
 そして旦那には相変わらず明かしていない。正式に合格したときには言う「かもしれない」が、報告する相手として旦那は実は結構優先度が低い。いいのか? と思われるかもしれないが、
「4月に2日も、それも続けて朝から晩まで丸1日とってるんなら、こっちも6月のどっかで土日もらうからね」
と、友人との旅行を入れようとしていた。旦那の学生時代からの付き合いの仲だそうで、まだメンバーのほとんどが独身のころは、それこそ毎年のように旅行に行っていた。
「そっちの我がままを聞いてるんだから。こっちもそのぐらいの融通はきいてもらうから」
との口ぶりに、カチンときた。
 何のために2日あけているかを言っていないのだからこんな勘ちがいが起こっても仕方がないといえば、ない。ただ、こちらは遊びじゃない、「仕事に関係のあること」だと言ってはある(実際保育士はフリースクールの仕事と割と近いところで関係していると考えているので、ある意味事実)。
 それに、そっちは日曜日でも1日いないことが多いでしょ? その日曜日に何をしてるの? 草野球? ああ、「俺に息抜きの時間『ぐらい』くれ」って言ってはノコノコ出かけてってる、あれね。こっちは、平日だろうが日曜だろうが何だろうが年中無休、休みはないんですけど?
 だから旦那に知られないために、テキスト関係には資源がもったいないなぁと思いながらも、購入時にカバーをかけてもらった。保育所保育指針のコピーやその他別に作った資料なども、机の上に置いておいてもいちばん上にはしないようにして、ひとまず旦那の目に触れないようにした。受験票も、いつもカバンに入れているクリップボードの中。
 今のところ、旅行の話は追加では出てきていない。このnoteを書いている今日、2022年6月17日現在では、次の日曜はオンラインでの仕事と聞いているし、その次26日についても何も聞いていない(6/19発覚、野球の予定を考えているらしい)。
 実技試験がある7月3日(日)も、筆記試験合格がわかったその日にあけておいてほしいと頼むと、「とりあえずあいている」との返事だったし、次の10日には草野球の予定が入っている。
 
 あれ? もしかして、旅行は流れた? 
 それについて何も言わないってことは、私が忘れたとでも思ってる?(尋ねられないから答えないだけかもしれないが)
 
 間際まで言わない理由はまだ他にもある。常に打算的、一時的とはいえトンチンカンな発言をしては私から旦那への信頼度を著しく下げてくれるので、それなら本当にお世話になったと思う人から報告したい、というのが私の本音だ。
 

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