問題児から金のなる木へ
[要旨]
事業は失敗は避けられないものの、一方で新たな事業に着手することも避けることはできないので、成功した事業から得られる収益が、失敗した事業で失った費用を上回るよう、常に管理することが必要です。
[本文]
前回の記事で、大きな目標を建てずに、小さな目標を建てて、ひとつずつコツコツと達成を重ねていくことが大切ということを書きました。ただ、経営者の方の多くが、大きな目標を建てようとしてしまう理由に、「小さい目標ばかり立てていたら、なかなか事業を安定した軌道にのせられなくなってしまうので、事業を早く安定させるためにも、なるべく大きな成功を収めたい」と考えるからというものがあると思います。
確かに、ユニクロを運営しているファーストリテーリングの柳井正社長でさえ、「これまで事業は失敗ばかりしてきて、1勝9敗だった」と言っているわけですから、大きく成功したいと考える人がいることは理解できます。でも、ファーストリテイリングが拡大しているのは、言うまでもありませんが、成功した事業で、いくつもの失敗した事業を支えているからです。すなわち、柳井さんの場合、失敗と成功の回数で言えば、9対1なのかもしれませんが、失敗した事業に要した費用の何倍もの収益を得ているということです。
その、失敗した事業と成功した事業の関係は、プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)で表されます。ここでは、PPMの詳細については説明しませんが、事業を、金のなる木、花形、問題児、負け犬の4つに分けて分析する手法です。(ご参考→ https://bit.ly/307OqcP )新しく始めようとする事業は、最初は問題児ですが、それを花形に育て、やがて金のなる木にすることが、経営者の役割です。
でも、すべての問題児が花形になるわけではなく、負け犬になってしまう事業もたくさんあります。ただ、着手した事業が負け犬になることを恐れ、まったく新たな事業に着手しないでいると、やがて金のなる木も金がならなくなってしまうので、新たな事業の着手は続けなければなりません。繰り返しになりますが、成功した事業から得られる資金が、失敗した事業で失った資金よりも常に多くするように管理することが経営者の役割です。そのために、コツコツと小さな成功を重ねることが大切ということです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?