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固定費と損益分岐点売上高

[要旨]

CVP分析の観点から、会社が利益を得るには、売上高を増やす方法だけでなく、固定費を減らすという方法があります。ただし、固定費を減らすことは容易ではないのですが、繁忙期の需要を閑散期にずらすよう顧客に働きかけたり、需要予測の精度を高めて店舗を効率化したりするという工夫で、実質的な固定費減少の効果を狙うことも大切です。


[本文]

今回も、早稲田大学ビジネススクールの西山茂教授のご著書、「『専門家』以外の人のための決算書&ファイナンスの教科書」から、私が気づいた点について述べたいと思います。前回は、限界利益は、商品の販売数を増やすことで増加していき、その額が固定費を上回れば、それ以降は、会社全体が黒字となるので、経営者の方は、限界利益を注視することが望ましいということを説明しました。今回は、固定費について説明します。

前回、限界利益が固定費を超えるような売上高を得ることで、その会社は利益を得る状態になると説明しました。したがって、利益を得るためには、売上高を増やしたり、売上高に占める限界利益の割合を高めたりするという工夫を行うことになります。そして、利益を得るためのもうひとつの方法は、固定費を減らすことです。固定費が減少すれば、利益が増えることは当たり前なのですが、売上が減少しても赤字になりにくい収支構造になります。

ただ、固定費を減らすことは、現実的には容易ではないようです。定型的な業務を外注するという方法もありますが、それだけでは効果は限定的です。また、店舗などの拠点を減らすことで固定費をある程度減らすこともできますが、その場合、収益機会を減らしてしまうことにもなりかねないので、固定費を減らす意味がなくなってしまいかねません。

だからといって、固定費を減らすことは困難であるという予断を持たず、固定費を減らすための工夫や糸口を見つけることは大切だと思います。例えば、繁忙期と閑散期のある事業の場合、繁忙期に備えて生産能力を高めるよりも、繁忙期の需要を閑散期にずらす工夫をすることで、現在の生産体制を維持したまま、年間での売上を増やすことが可能になります。

また、需要予測を精緻化することで、売り場面積を変えずに、売れるものだけに絞り込んだ仕入を行なえば、店舗面積を変えずに、売上を増やすことができます。そして、このような発想ができるようになるのは、限界利益、固定費、損益分岐点売上高という考え方を理解できていることが前提と言えるでしょう。

2022/5/9 No.1972

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すきをしていただきありがとうございました。
六角明雄(中小企業診断士・経営コンサルタント・ビジネス書作家)
鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家です。 最新刊は「図解でわかる経営の基本いちばん最初に読む本」( http://amzn.to/2lu3fU4 )。 地方銀行出身で、資金調達支援を中心に、BSCの導入支援、セミナー講師などをしています。