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用途を拡大することでニーズを広げる

[要旨]

米国の重曹メーカーは、重曹をいろいろな用途で販売することでニーズを拡大しました。このような用途を拡大する戦略は、同じ製品でニーズを拡大できることから、効率的な戦略であると言えます。

[本文]

今回も、前回に引き続き、中小企業診断士の佐藤義典先生のご著書、「図解実戦マーケティング戦略」を読んで、私が気づいたことについてご紹介したいと思います。前回は、自社の商品を、従来の標的顧客から、別の標的顧客に販売することで、商品のニーズが広がるということについて説明しましたが、それに続いて、佐藤先生は、商品の用途を広げることでもニーズが広がるということをご説明しておられます。

「同じモノを別の用途に使えれば、ニーズを広げることができます。例えば、アメリカの重曹ブランド、アーム&ハンマーは、何十通りもの使い方を売り物にしています。同社のホームページでも、リビングでは、カーペットの汚れ取り、キッチンでは冷蔵庫の脱臭剤、皿洗いの洗剤、排水溝の臭い取り、洗面所では歯磨き粉、うがい薬、制汗剤、虫刺されのケアなど、何にでも使えることをセールスポイントにしています。このような『用途拡大』を行なえば、ニーズが広がります」(169ページ)

日本でも、ウタマロ石鹸を製造している、老舗石鹸メーカーの東邦が、用途の拡大で業績を伸ばしているようです。ウタマロ石鹸は、もともとは固形石鹸ですが、その製造技術を活用して、ウタマロリキッド(部分洗い用液体洗剤)、ウタマロクリーナー(住宅用クリーナー)、ウタマロキッチン(食器洗い用洗剤)を開発しました。

これらの新製品は、ウタマロ石鹸とは別の製品なので、ウタマロ石鹸そのものの用途の拡大ではありませんが、新製品は衣類用のウタマロ石鹸を、もっと、別の用途にも使えるようにするために開発されたものなので、実質的には用途の拡大と言えると思います。このような用途の拡大は、既存の製品を、ほぼ変えることなく、ニーズを拡大できるので、効率的なマーケティング戦略であるということができます。

2023/2/10 No.2249

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