GMROIと交差主義比率
[要旨]
在庫額からどれくらいの売上総利益が得られているかを測る指標に、原価を基準に計算するGMROIと、売価を基準に計算する交差主義比率があり、それぞれ事業の特性に合わせて利用されています。
[本文]
在庫に関しては、死蔵品や棚卸減耗などの損失を管理する以外にも、効率性の観点から管理をすることも必要です。在庫の効率性に関する代表的な指標は、GMROI(Gross Margin Return On Inventory Investment)です。これは、在庫高(原価)に占める売上総利益の割合で、数式では、GMROI=売上総利益÷在庫高(原価)です。
例えば、B社の売上総利益が2,400万円、在庫高(原価)が1,250万円のとき、B社のGMROIは、1,250万円÷2,4000万円=192%です。これは、当然ながら、大きい方が効率的と言えます。また、複数の商品や部門を持っている会社では、商品や部門ごとにGMROIを比較することで、効率性を比較することが可能です。
ところで、GMROIと似ている指標に、交差主義比率というものがあります。これは、在庫高(売価)に占める売上総利益の割合で、数式では、交差主義比率=売上総利益÷在庫高(売価)です。B社の例では、B社の在庫高(売価)が4,000万円のとき、B社の交差主義比率は、2,400万円÷4,000万円=60%です。交差主義比率も、GMROIと同様に、大きい方が効率的です。
では、両者はどのように使い分ければよいのかというと、交差主義比率は販売価格を重視した比率で、GMROIは在庫投資を重視した比率です。量販店など、限られたスペースでたくさんのものを販売しようとするときは、交差主義比率で店舗などの効率性を測ります。一方、卸売業など、在庫の効率性を重視する会社では、GMROIで在庫額の適正性を測ることになるでしょう。