数字に強い社長になるポッドキャスト 第583回 劣後ローンに関する金融庁の対応
六角 明雄
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この番組は、数字がちょっと苦手な中小企業経営者の方が、数字に強くなって業績をばりばりあげてもらうための応援番組です。
今回も、この番組の管理者である、中小企業診断士の六角が、事業活動に、新型コロナウイルス感染症の影響を受けている中小企業への、資金繰支援策についてご説明いたします。
今回は、劣後ローンについてご説明したいと思います。
ただし、この劣後ローンには、いくつか似ているものがものがありますので、最初に、それらを整理したいと思います。
ひとつめは、銀行などが、自己資本を厚くするために資金調達をする手法である、劣後特約付社債(略称は劣後債)というものがあります。
これは、広い意味では債務ですが、特約の付いた社債です。
ふたつめは、中小企業が事業再生をするときに、銀行からの既存の融資の一部を条件変更してもらう、すなわち、DDSをしてもらうことによって契約する劣後ローンです。
中小企業の利用する劣後ローンは、これまでは、このDDSによるものを指すことが多いと思われます。
みっつめは、現在、日本政策金融公庫などが取り扱っている、挑戦支援資本強化特例制度、いわゆる資本性ローンです。
こちらは、事業再生を受ける会社ではなく、主に起業しようとする会社が、安定した資金調達を行おうとするときに利用されるものです。
よっつめは、永久劣後ローンです。
これは、まだ、具体的なものは明確になっていないのですが、何人かの有識者の方が、中小企業の資金調達を円滑化し、経済活動を活性化させる手法として提唱しているようです。
この永久劣後ローンは、名前の通り、劣後ローンでありながら、返済期限がないというもののようです。
そして、今回ご説明したいものは、DDSの契約にともなう劣後ローンです。
では、なぜ、この劣後ローンを説明しようかと考えたのかというと、5月27日に、金融庁が、「主要行等向けの総合的な監督指針」等を、一部改正したからです。
その経緯は、「新型コロナウイルス感染症により、多くの事業者が大幅な売上高減少と収益低下に見舞われているため、今後、事業を再開・回復させる過程で、資本の充実を図ることが必要になってくることもある」と想定しているからのようです。
ちなみに、同じ5月27日に閣議決定された、令和2年度第2次補正予算案では、劣後ローンなどを活用した資本増強支援などの予算に、約2.1兆円が割り当てられています。
ところが、金融庁は、「十分な資本的性質が認められる借入金」、すなわち劣後ローンとはどういうものについて触れていた、金融検査マニュアルを、昨年、廃止したため、あらためて、劣後ローンとはどのようなものかを明確にするために、前述の監督指針に、劣後ローンの要件を追加したようです。
では、金融庁の考える劣後ローンとは、具体的にはどのようなものかというと、(1)償還期間が5年超で、期限一括償還か、同等の据置期間が設定されていること、(2)資本に準じ、配当可能利益に応じた金利設定となっている、(3)法的破綻時の劣後性が確保されていることの、3つの要件を満たすものです。
これらの要件のうち、返済方法については理解しやすいと思いますが、ほかの要件について説明すると、金利は会社が得られた利益に応じて、業績が悪い時は低く、業績がよいときは高くなるという仕組みで、劣後性の確保とは、資本金に準じて、もし、会社が破たんしたときは、他の融資が返済された後に返済するという特約を結ぶということです。
この劣後ローンは、安定した資金調達ができるという点では優れていると思いますが、コロナの影響を受けている会社の多くは、金額の面では、セーフティネット保証や日本政策金融公庫の特別貸付などを利用すれば、ほぼ、資金繰は維持できると思われます。
ただし、自己資本比率があまり高くなく、今後、銀行から安定した資金調に懸念があるときは、利用する意味が大きくなると思います。
さらに、前述のように、金融庁は、今後、劣後ローンの利用が望まれる会社が増加すると考えているようであり、先手を打って資金繰を安定化させたいという場合は、現在の取引銀行で、既存の融資の劣後ローンへの条件変更の依頼をしたり、日本政策金融公庫などに資本性ローンの利用をご相談することをお薦めします。
今回も、この番組の管理者である、中小企業診断士の六角が、事業活動に、新型コロナウイルス感染症の影響を受けている中小企業への、資金繰支援策についてご説明いたします。
今回は、劣後ローンについてご説明したいと思います。
ただし、この劣後ローンには、いくつか似ているものがものがありますので、最初に、それらを整理したいと思います。
ひとつめは、銀行などが、自己資本を厚くするために資金調達をする手法である、劣後特約付社債(略称は劣後債)というものがあります。
これは、広い意味では債務ですが、特約の付いた社債です。
ふたつめは、中小企業が事業再生をするときに、銀行からの既存の融資の一部を条件変更してもらう、すなわち、DDSをしてもらうことによって契約する劣後ローンです。
中小企業の利用する劣後ローンは、これまでは、このDDSによるものを指すことが多いと思われます。
みっつめは、現在、日本政策金融公庫などが取り扱っている、挑戦支援資本強化特例制度、いわゆる資本性ローンです。
こちらは、事業再生を受ける会社ではなく、主に起業しようとする会社が、安定した資金調達を行おうとするときに利用されるものです。
よっつめは、永久劣後ローンです。
これは、まだ、具体的なものは明確になっていないのですが、何人かの有識者の方が、中小企業の資金調達を円滑化し、経済活動を活性化させる手法として提唱しているようです。
この永久劣後ローンは、名前の通り、劣後ローンでありながら、返済期限がないというもののようです。
そして、今回ご説明したいものは、DDSの契約にともなう劣後ローンです。
では、なぜ、この劣後ローンを説明しようかと考えたのかというと、5月27日に、金融庁が、「主要行等向けの総合的な監督指針」等を、一部改正したからです。
その経緯は、「新型コロナウイルス感染症により、多くの事業者が大幅な売上高減少と収益低下に見舞われているため、今後、事業を再開・回復させる過程で、資本の充実を図ることが必要になってくることもある」と想定しているからのようです。
ちなみに、同じ5月27日に閣議決定された、令和2年度第2次補正予算案では、劣後ローンなどを活用した資本増強支援などの予算に、約2.1兆円が割り当てられています。
ところが、金融庁は、「十分な資本的性質が認められる借入金」、すなわち劣後ローンとはどういうものについて触れていた、金融検査マニュアルを、昨年、廃止したため、あらためて、劣後ローンとはどのようなものかを明確にするために、前述の監督指針に、劣後ローンの要件を追加したようです。
では、金融庁の考える劣後ローンとは、具体的にはどのようなものかというと、(1)償還期間が5年超で、期限一括償還か、同等の据置期間が設定されていること、(2)資本に準じ、配当可能利益に応じた金利設定となっている、(3)法的破綻時の劣後性が確保されていることの、3つの要件を満たすものです。
これらの要件のうち、返済方法については理解しやすいと思いますが、ほかの要件について説明すると、金利は会社が得られた利益に応じて、業績が悪い時は低く、業績がよいときは高くなるという仕組みで、劣後性の確保とは、資本金に準じて、もし、会社が破たんしたときは、他の融資が返済された後に返済するという特約を結ぶということです。
この劣後ローンは、安定した資金調達ができるという点では優れていると思いますが、コロナの影響を受けている会社の多くは、金額の面では、セーフティネット保証や日本政策金融公庫の特別貸付などを利用すれば、ほぼ、資金繰は維持できると思われます。
ただし、自己資本比率があまり高くなく、今後、銀行から安定した資金調に懸念があるときは、利用する意味が大きくなると思います。
さらに、前述のように、金融庁は、今後、劣後ローンの利用が望まれる会社が増加すると考えているようであり、先手を打って資金繰を安定化させたいという場合は、現在の取引銀行で、既存の融資の劣後ローンへの条件変更の依頼をしたり、日本政策金融公庫などに資本性ローンの利用をご相談することをお薦めします。
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