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母親。

 子育てがへたくそである。
とにかくうまく育てられない。
それは、私が毒親育ちだったり、変り者だったり、忙しい仕事をしているのも大いに関係していると思うが、子供には申し訳ないのだけれども、本当に子育てが下手なのである。
 周りには、子育ての上手なお母さんが何人もいる。子どもは良い子に育ち、すくすくと成長・自立していく姿を私はただうらやましく眺めている。
 私は、子どもとショッピングセンターに行くと、自分の入りたい店に入れなくてイライラするし、フードコートでいつも『うどん定食』みたいな子どもとシェアできるものしか注文できず「石焼ビビンパセットが食べたかったのに~…」といつもストレスをためていた。
 夜も飲みに行けないし(夫は行っていた)、子どもの教育上よくないという理由でTVゲームもなぜか夫に禁止されていたので、いつも自分のことを心の中で『平成の奴隷』と呼び、役に立たない夫をいつかバイオハザードのロケットランチャーで粉砕してやりたいといつも考えていた。
 自分のやりたいことがほぼすべてでできないことは、私には苦痛でしかなかったのである。
 しかし、子ども達はあっという間に育ってく。気が付くともう2人とも思春期真っただ中になっていた。この時期は反抗期でもあり、いうことを聞かな過ぎて一人一人に『反抗期表彰状』を与えたいくらいなのだが、気が付くと、以前に比べて子育ての苦痛が激減していることに気が付いた。
 だんだん手が離れていき育児の負担が減っていったことと、10代の大きい子どもの子育て方がなぜだか私は性に合うのだ。
とにかく2人とも私の10代のころに比べてずいぶんまともだ。中学校では部活動に入り校則も守り、家のお金を取らず、派手な格好もせず深夜まで繁華街をうろつかない。学校であったこともそこそこ親の私に話してくれる。学校の成績はいまいちだが、叱ることもほとんどなくなった。
今は、子どもたちが早く自立してくれることが楽しみで仕方ない。
子どもを産んで10年以上たって、やっと子育てが苦手じゃなくなってきたと感じている。遅すぎるけど、まあいいか。





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