見出し画像

【音楽レビュー】Travis/The Boy with No Name

僕は一度大学に入った。確か5月のことだった。一度大学の隣にある病院に行ったことがあった。胸のあたりが痛くなって急に歩くのが辛くなったのだ。

症状は気胸だった。

嵐の相葉君も数年前に同じ症状で入院・手術していたが、やせ型の人間では珍しい病気ではない。はじめて麻酔をしてメスを入れたということもあり当時のことは覚えている。僕は大学生になって明らかにイライラしていた。このまま妥協してしまっては一生妥協した人生になってしまうのではないか。やはりもう一度受け直したほうがいいのではないか。実際に転入・編入が出来ないのかを調べて資料を取り寄せたりするなど、そんな気持ちを持ちながら日々を送っていたのだ。一度目に痛んだ時は入院したのかは覚えていないが、医者からは安静にするようにとのことだったので入ろうとしていたバンドサークルにも結局入らず、特に何もすることなく過ごしていた。しかし、7月に上期の試験が終わると再び胸が痛んだ。5月は文字通り空気が入ってしまった状態であるだけだったが、今回は完全に穴が開いてしまい手術が必要とのことだったので、そのまま入院することになった。

入院して1日後ぐらいに手術だったと思うのだが、前後の記憶はあまりない。ただ、手術後ICUに入った時にかなり痛みが出たということだった。

それから1週間ほど入院していたのだが、その時に退屈をしのぐということで兄にCDを持ってきてもらった。それがTravisだった。なぜこのバンドだったのかあまり覚えていない。だが、兄はICUで痛み苦しんでいる僕に「頑張れ。」と言ってくれたらしく、何か思うところがあったのだろう。(あまりそういうことは言うタイプではない。)TravisのCDを3枚持ってきてくれた。しかもこの「The Boy with No Name」は視聴サンプルということでどこから手に入れてきたのか定かではない。(発売日自体は2007年5月なのでリリース済だ。)「The Man Who」「Invisible Band」、そしてこのCDを貰った。1曲目の「3 Times and You Lose」と2曲目の「Selfish Jean」を聴き横になりながらずっと考え事をしていた気がする。どちらもアルペジオが綺麗で歌も癖がなく聞きやすい。今聴くと「Under The Moonlight」も美しく、微かな聴いた記憶がよみがえる。少し前にはColdplayの「A Rush of Blood to The Head」や「X&Y」なんかも聴いていたが、シンプルで静かな場所で聴くにはTravisのほうが心地いい気がした。

この時によく聞いていたのはこのTravisの1枚と、あとで紹介するFoo Fightersの「Echoes, Silence, Patience & Grace」だ。これは友人が買ってきてくれたのではないだろうか。退院後9月頃から退路を断ち再受験することを決意するのだが、入院してから再受験の勉強を開始するまでのことはあまり覚えていない。そういう人の話はよく聞くのだが、身体の痛みを忘れるために人間の脳がそうさせているのだろうか。とにかくこれは次の記事で。


■3 Times And You Lose

■Under The Moonlight


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?