見出し画像

【音楽レビュー】Bon Jovi/Bounce

生まれてはじめて購入した洋楽ロックのCD。ちなみに人生という意味ではおそらく3枚目。2002年、14歳だったと記憶している。

はじめてお小遣いで買ったCDはポルノグラフィティの「アゲハ蝶」だった。2000年の話だ。それまではゲームかマンガばかり買っていたので、今考えれば少し大人になった瞬間だった。そのあと中学の英語の授業で聴いたBackstreet Boysの「I Want It That Way」が格好よくて彼らのDVD付のベスト盤を購入した。

地元には当時CDレンタルショップのアコム(その後TSUTAYAとなりそちらも閉店)があり、そこで上記のポルノやゆず、ラルクといった歌手のCDをレンタル、もしくはラジオで好きな曲が流れるタイミングでMDラジカセのスイッチを入れていくことで自分好みのMDを作っていくことが楽しみだった。

そんな中で実家はケーブルテレビと契約していたので、音楽チャンネルのMTV・スペースシャワーTV・M-onTV(当時Viewsic)という3つのチャンネルを見ることが出来た。音楽が好きだった7歳上の兄が見ていたこともあり、僕も両親が就寝した後によくテレビをつけて音量を下げて映像を見ていた。

その中でM-onTVで放映していた全米ヒットチャートが一番好んで視聴していた番組だった。純粋に邦楽より格好いい曲が多いなという直感が働いたのだ。

今でもよく覚えているのだが、見ていた当時のウィークリーチャートは1位がAvril Lavigneの「Sk8er Boi」で2位がBon Joviの「Everyday」だった。(3位もかなり有名だったはずだが思い出せない。Evenessenceかと思ったが調べたところ彼女たちのデビューは2003年だった。)とにかく、その「Everyday」のMVを見てこのバンドのCDを買おうと思ったのだ。

「Everyday」は鉄塔などがある草原で演奏しているMVなのだが、とにかくジョンの仕草が格好いい。2サビの後にソロボーカルでEverydayと言ってキメ顔をするところなどナイスミドル(死語?)という感じである。そして、この後に兄の部屋の本棚に並んでいた彼らのベストアルバム「Crossroad」を聴いたことがハードロックが好きになっていくきっかけとなるのだが、このアルバムからはヘヴィで当時の現代的な音楽の中にもポジティブな要素が詰まっている。リッチーのギターソロは全く派手さがない。これは前作「Its My Life」と同様、当時流行していたヘヴィロックに合わせていたのかもしれないという印象だ。結果としてアルバム全体に質実剛健という印象を与え、この曲はアルバムの開幕を飾る「Undivided」と共にグラウンドゼロで影を落としたアメリカ全土をポジティブな雰囲気にしようとしている姿勢が伝わる。これはコロナ禍の2020年現在にも通ずるところがあるのではと思う。最後にリンクを載せたがタイムズスクエアでのライブは文字通り「観衆たちが熱く狂う」というような馬鹿騒ぎではなく、影の中に少しだけ光を感じ取れる、それによりニューヨーク市民が静かに勇気づけられている姿を見ることが出来る貴重なライブだ。

後半に収録されている曲は30歳を過ぎた今聞くと改めて耳に残る。「All About Lovin You」などしっとりした曲は壮年となったジョンの唄声が映える素晴らしいラブソングだし、最後にアルバム名称にもなっている「Bounce」では一転ストレートなロックを見せる。(日本でドラマの主題歌になっていた。)きっとキラーチューンという意味では先ほども述べた「Its My Life」や次回作の「Have A Nice Day」のほうが大衆のこころを掴んでいるのだろうが、想い出補正もありやはりこのアルバムは愛盤の一つとなっている。今のような大変な時代に聴くと、より音楽の意思の強さを感じとることが出来て魂を揺さぶられるような感覚を覚える。

こうして洋楽を聞き込んでいくことになるのだが、今でも愛聴しているハードロックやストーナーロックなどにすぐに辿り着くわけではない。次の思い出はまた次回の機会に。

■Everyday MV

■Undivided(live at Times Squere)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?