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龍が如く7の感想(お話ネタバレなし)

龍が如く7をクリアしたので、忘れないうちに感想をまとめたいと思い書きました。先に言ってしまうと良いゲームで、しっかり龍が如くな感じでした。

大まかな感想

2019年のエイプリルフール企画と思われたRPG風ムービーがまさかの実現ということで、非常に賛否両論だった今作。アクションADVからRPGへの転向ということが主だった否定意見でしたが、個人的には特に違和感なくプレイできました。
町の散策やサブストーリーなどはエンジンの兼ね合いもあってか龍が如くシリーズそのまま。戦闘も敵の攻撃にタイミングよく×ボタンを押してダメージ軽減をするジャストガードや極技時のボタンアクションの存在のため良い意味で緊張感が持続しダラけた感じにならない、龍が如くのこれまでの感覚を残したものだった印象です。
そして何より物語の出来が良かった。私はかなり物語を重視するタイプのゲームプレイヤーですが、龍が如く7はかなり良かった部類の作品だという認識です。「龍が如くシリーズ」としても非常に良い物語だったのではないかなと。
ただ、RPGとしてはいくつか不満点があったのも事実。各要素を主観をもとにご紹介したいと思います。

よかったところ

■物語の良さ

前述の通り、物語面が非常に良かった。特に構成が上手かったなという印象。しっかりと物語に起伏が作られており、一つの事件を追っていく中で話が二転三転、純粋に続きが気になるからやめ時がなかなか見つからないというタイプの物語になっている。
PVで紹介されているような春日一番と荒川真斗の光と闇の対比ばかりではなく、ごく自然に結末へと引っ張っていってくれる構成。どん底に落ちた春日一番という男が、成長し歩んでいくのを追体験することに重きを置かれていたのが非常に好感触。桐生一馬という伝説になってしまった男の次に主人公を務める人間としては最適のチョイスだったなぁと思う。
とはいえ、ジャッジアイズでもあったような問題解決の手段として若干の無理くりさというのは感じるところが無かったわけでもないのだけれど……。まぁその辺りは龍が如くシリーズのお約束だなという範囲で受け止められるものだったので、シリーズ経験者や細かさを気にしない方なら全く問題ないかなと。

■名優たちの素晴らしい演技

今作には、安田顕、中井貴一、堤真一の有名俳優が参加している。これまでのシリーズでも出演してくれた俳優の方々は非常に良い味を出してくれていたが、今作も非常に素晴らしい。
ある種の客寄せ的な意味合いでの起用ではなく、その俳優が演じた故の深みがある。個人的に印象に残ったのは堤真一が演じる沢城。沢城は春日の強大な敵としてゲーム中に立ちふさがることになるが、ある戦闘の演出での沢城の表情は堤真一ならではのものだなと感じた。思わずゾッとした。素晴らしい配役である。

■サブストーリーとデリバリーヘルプ

今作でもお約束のサブストーリーは健在。いつもと同様に狂気すら感じるレベルの人物を助けたり巻き込まれたりという楽しさを堪能することが出来た。
そして今作の凄いところ。今作はサブストーリーのお話の楽しさだけではなく、なんと一部のキャラクターをデリバリーヘルプ要員として戦闘で活用することが可能となっている。
デリバリーヘルプというのはFFシリーズで言うところの召喚獣的な立ち位置のもので、春日の所持金を対価に呼び出すことが可能なシステム。各デリバリーヘルプの効果が高めに設定されているのも良いが、何より時間を割いて関わったキャラクターがプレイヤーのもとに駆けつけてくれるというのが非常に良い。

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↑ロケ地が極寒なので氷ダメージを与えるというデリバリーヘルプ。凄いバカっぽいのが最高

これまでのシリーズだとどうしても戦闘システム的に組み込めなかったのだろうが、RPGの今作ではそれが(多少非現実的とはいえ)可能となった。思い切って舵を切ったからこそ実現したことなので、この点だけでもRPGにした意味はあったのではないかなと思う。
「アンタ、そういう方法で戦闘に貢献してくれんのかい!!」的なおバカさを感じられるのも良い。バカと感動が一緒に押し寄せる感覚はなかなか味わえないものだ。

■会社経営ミニゲーム

ゲームをプレイしていて嬉しさを感じることとして、予想してなかった要素が面白かったというのがあると個人的に思っている。今作では会社経営要素がそれだった。
会社経営の大まかな内容としては、人材を雇用し、パラメータをもとに購入した物件に割当て、営業を通じて業績を上げ会社の資産を増やし、より条件の良い物件や人材に金を使う……といった流れ。
非常に単純化された流れだが、シンプルさ故にストレスを感じるほどの面倒さがなく、どんどん資産が増えていくのが見ていて単純に楽しい。
資産が増えたから、あの物件が買えるようになるな……。この資産ならあの人材を獲得してパラメータ強化に金を使っても余裕があるな……。なんて考えをしてたらあっという間に時間が経ってるという感じになる。

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↑各物件に適した人材を雇用・配置し収益を上げる。低収益の物件は良い物件へと買い替え更に収益を上げていくのだ。

営業を4回実行するごとに挟まる「株主総会」も会社経営を飽きさせない良い要素。攻撃的な発言をする株主にこちらも4名の人材を武器として論戦を繰り広げる……といった内容なのだが、要は3属性でのじゃんけんをスピーディに繰り返す感じの内容。
人材には営業時のパラメータとは別に株主総会用の戦闘力も設定されており、属性と戦闘力を上手く使い株主を黙らせるといった条件で勝利、次のステージに進むための条件である株価を大きく上げることが可能となる。
株価が一定値まで上昇すれば新たな物件が購入可能になるため経営のモチベーションも維持しやすい。単純ながらなかなかによく練られた内容となっている。株主総会終了時に役員報酬としてお金を大量に貰えるので、冒険も楽になるという構成。まあ会社経営での報酬前提でショップの価格が設定されているのは間違いないので、この手のシミュレーションが合わないと苦痛かもしれないが……。
しかし、サブストーリーで人材に応募してくれるキャラもおり、彼らの活躍を見るのも楽しいし、システムを一度理解できるととても面白いのでぜひ株価1位に挑戦してみてほしいなと思う。

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↑株主総会の戦闘画面。会社経営専用の敵も立ちふさがり普通に熱い展開だったりする。ちなみにこの画像はサブストーリーで加入した小学生が株主を論破するところ。

残念だったところ

■惜しいバトルシステム(位置取りへの介入不可について)

RPGとしては概ね問題ないくらいには面白く良く出来ているのだが、もっと面白く出来たんじゃないかなと思う部分が多かった。
真っ先に感じたのが「移動」コマンドが存在しない点。戦闘中は敵と味方の位置取りがそこそこ大きな意味合いを持っていて、範囲攻撃技で巻き込める敵の数や敵をダウンさせた場合の追撃発生などに関係する。
対象までの直線上の敵に攻撃が出来る技などがあるのだが、自分で狙った移動というのが基本的には出来ないため、一定範囲を移動しつづける敵がちょうど良い位置に来た時に技を発動する(それまで待つ)というテンポの悪さが発生している。そのタイミングを見計らうというゲーム性とも取れるが、結局待っても敵の移動範囲ではなく諦めるという状況も多いため微妙だったなぁという印象。

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↑実際のところその時々の運要素がほとんど。

恐らく通常エンカウントが町中でそのまま行われる関係上、自由な位置取りというのがプログラム的に厳しかったのかなぁとは想像できるが、ちょっと中途半端感を感じてしまった。
せめて攻撃技に「右に○m飛ばす」「付近の敵の近くに飛ばす」「仲間と挟撃できる位置に飛ばす」などの仕組みがあれば戦略性が増したのではないかなと思うのだが……。(ラジアントヒストリアの3D版みたいな感じで)
また似たシステムでRPGを作るならそんな感じになると個人的に嬉しい。

■惜しいバトルシステム(属性)


龍が如く7の攻撃には【打撃・斬撃・射撃・炎・氷・雷】の6属性が存在する。一部の武器や技には【打・雷】といった感じで複合属性も存在。
味方敵ともに属性耐性をもっており、敵に合わせて属性防御を高めたり有効属性攻撃を使えば楽になるというまぁよくあるRPG的システム。
なのだが、これもなんだか中途半端だったなぁという印象。
まずこちらの属性防御面は装備品や就くジョブで上げることになるのだが、普通にストーリーを進めた範囲では最終面でも恐らく出来て一属性を半減程度。強敵が主に使う打撃斬撃の耐性をアクセサリーで上げづらい(自分は少なくとも打撃耐性アクセはストーリー中では手に入らなかった)のもあって、そこまで恩恵を受けづらい。
属性攻撃面では、ボス敵に対し炎氷雷が優秀すぎる。というか、春日の専用ジョブ2種が打撃に特化しているのに、ほとんどの終盤のボスが打撃耐性を持っているというのが面倒。

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↑勇者の際のスキル一例。見事に打撃ばかり。他職から覚えてこられるスキルもあるが、意識的にホストなどの魔法系や他属性のものを狙わないとこの状況に陥ると思う。

属性があって面白かったというより、属性があって面倒だなという印象が強い。ガラッとジャンルを変えた事情もあるし、この部分は省くかもっとプレイヤーに有利にしてもよかったのではないかなと思う。

■後半の急激な難易度上昇


後半に入ったあたりで、急激にボス敵が強化される。RPGに不慣れな人もやるかもしれないのに大丈夫か?と思ったレベル。
RPGなのでレベル上げで突破できるとはいえ、あまりに急激に上げすぎ。一通りサブストーリーなどをクリアし会社経営などで良い装備品を購入していてもゲームオーバーになってしまった。
物語的にその敵が弱いとおかしいというのもあってしっくり来ないわけではないのだが……。直前でわかりやすいレベル上げ要素の解禁もあるので親切ではあるが、もうちょっと工夫出来たようにも思う。

■理不尽さを感じるターン制


瞬発力という素早さ的な数値を基準に敵味方それぞれに順番が回ってくるターン制となっている。だが、これがなんとも不親切。というのも、どの順番で回ってくるかの情報が次の行動キャラまでしか表示されないのだ。
雑魚戦では入り乱れての行動順になることが多いためそこまで違和感が無いのだが、ボス敵が厄介。瞬発力が高く設定されているのか、後半のボス敵は当たり前のように連続行動をしてくる。自分はボス敵より10ほどレベルが低い状態で戦うことが多かったというのもあるが、装備品で瞬発力を上げたメンバーでも連続行動を阻害できなかったため、恐らくそういう仕様なのだろう。
この連続行動自体はまあいいのだが、理不尽さを感じたのが、
敵の大技準備行動→即座に大技発動
という状況が頻繁に起こっていた点。ご親切に準備行動の初使用の際には警戒するようメッセージが挿入されるのだが、連続行動故に対策のしようがない。基本的にこの手の行動は待機時間を高めに設定しこちらが準備出来るようにすると思うのだが、その設定を行っていないのではないかなと思う。難しさよりも噛み合わなさに萎えを感じた。

■春日の死亡=ゲームオーバーの厄介さと即死攻撃


戦闘でのゲームオーバー条件となるのが、主人公である春日の死亡である。ペルソナシリーズなどでも有名なこの仕様だが、あちらはプレイヤー=絶対的なリーダー的な背景もあるわけで、今作にこの仕様が必要だったかというとちょっと微妙である。
先に述べたとおり、後半のボス敵の連続行動により運が悪いと春日への集中攻撃でゲームオーバーになる恐れがあり非常に厄介。しかも、最終盤の敵に至っては即死攻撃を使ってくるものがいる。ジャストガードで恐らく即死効果発動率を無効化もしくは軽減できるようなのだが、そもそもジャストガードには慣れが必要だし、自分はストーリー中では即死無効化の装備品も手に入らなかった。
これらの対策としては、春日の専用職である勇者で覚えることが出来る「勇者の執念」の死亡時に即復活できるという効果が有効。ただ、ジョブチェンジを売りにしているのに少なくとも勇者レベルを16まで上げる必要があるのはやや微妙とも思える。(勇者の執念は覚えれば他職でも使用可能)
また、勇者に憧れている春日なのに、肝心の勇者の攻撃は後半のボス敵に通りにくいし、ゲームオーバーを恐れて生き残ること第一という状況に陥りがちなのもなんとも物語に噛み合っていないなとも感じた。

■物語中での鎌滝えりの不遇さ


春日一番に一番製菓を託すことになる鎌滝えり。彼女は会社経営のイベントを進めることでパーティメンバーに加入してくれる。事務員という強い専用職を持ち数少ない女性メンバーとして非常に活躍してくれるのだが、なんと物語のイベントシーンではいないものとして扱われてしまう。

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↑専用職「事務員」が低レベルで覚える鋲散の陣。放射状の範囲攻撃で威力も強い。行動も速いので初手での雑魚や取り巻きの一掃に大活躍。

任意加入のため差分を作るのが難しいのか……?だったら強制加入で良かったじゃんと思っていたが、どうやら調べたところ違う理由のよう。
というのも鎌滝えりさん、実在する女優の方で、龍が如く7助演女優オーディションなるもので選ばれた方らしい。このオーディションの結果が判明したのが2019年7月。発売時期から考えるともう佳境の時期であろう。恐らく鎌滝えりというキャラクターをイベントや物語に組み込む余裕がなかったのではないか。
自分のプレイでは画鋲での範囲殲滅など大活躍してくれた鎌滝えりなのに、イベントでは全くの無視なのである。しょうがないとはいえ、なんとも悲しい。

さいごに

振り返ってみると結構な不満点をあげつらってしまったが、クリア後の感想としては良いゲームをプレイできたなぁという感想が第一です。あくまでRPGというジャンルとしてはやや残念な点があったというところ。そもそも私自身がかなりRPGをやっていてめんどくさいタイプというのがあるので……。
特に、繰り返しになりますが物語面が非常に良かった。大人も楽しめるドラマなRPGということで強くオススメしたいなと思います。まだやってない方はぜひプレイしてみてね!!

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