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豊かな日常を支え、未来を形創る∼LSI商品開発・業務編∼

ローム社員に、業務のやりがいや仕事への想いを聞いてみました。
今回ご紹介するのは、電源LSI商品開発部のIさんです。
業務からプライベートまで、たくさんのお話をお伺いしましたので、今回はまず業務に関して、ご紹介いたします!

《プロフィール》
・入社:2009年新卒入社(学生時代の専攻は電子光工学)
・拠点:ローム京都駅前ビル
・所属部門:電源LSI商品開発1部

担当分野を教えてください

私は「電子機器の中で安定した電源供給を実現するLSI(以下、電源IC)製品の商品開発」を担当しています。電源ICは、ほぼ全ての電子機器に搭載されている半導体製品で、私たちの生活に必要不可欠なものです。映像を表示したり、どこかと通信をしたり、何かを動かしたりなど、それぞれの電子機器の特定の機能を実現するようなICではないのですが、それらの電子機器の「頭脳」を動かすには、エネルギー源を供給するための電源ICが欠かせません。各電子機器の縁の下の力持ちとして、ありとあらゆるところで私たちの普段の生活を支えている、そんなICです。

担当業務を教えてください

一言で表すと、「小さくて表面からは見えないものの、今の私たちの豊かな日常を支え、そして、これからの未来を形創っていくような根幹を担う製品」を作っています。商品開発と一口に言っても、実際の業務としては幅広く、とてもやりがいがあるものです。まずは、顧客や市場の動向を予想・分析し、「どんな商品が求められているのか?」製品企画を考えるところから始まります。それと同時に、求められる特性や機能が実現できるような先行技術を、将来を見据えて事前に準備しておきます。商品の企画が決まったら、持てる技術を駆使して狙った特性になるように回路設計を実施し、1つ1つの微細な半導体素子をシリコン上に緻密にレイアウトしていきます。設計が完了したら、実際にそのサンプルを試作して、ICの動作が設計通りになっているかを限界条件まで評価していきます。最後に、それらが工場で安定生産でき、市場に継続して供給できるように出荷試験環境を作り込み、そして商品が完成したら営業部門と一緒に顧客にアピールして売り込んでいく…と、まさに商品の最初から最後まで携わることができる、エンジニア冥利に尽きる職種です。

業務において、やりがい・おもしろみを感じるのはどのような時でしょうか?

いろいろと世の中が進歩する中で、これからの未来に向けて、多くの企業が次々と新しい製品を市場に投入しようとしのぎを削っています。私たちの顧客はそれらの企業になるのですが、やはり未来の新しいことや、今まではできなかったことを実現していくには多くの課題が出てくるのが通例で、顧客はその課題解決にいつも頭を悩ませています。それらの顧客の困りごとに対して、私たちが先読みし、何かしらの価値を提供できる商品をタイムリーに提案、そしてそれが顧客要望とマッチしてともに課題解決ができると、将来の社会貢献に繋がった!と強く感じることができます。

最近では、様々な部品において供給が追い付かず、その中でも非常に多く使われているコンデンサの需要がひっ迫していたという大きな社会問題がありました。それに対してコンデンサ容量が小さくても安定動作できるNano Cap™技術を用いた製品を提案・提供し、顧客の困りごとを解決した結果、多くの企業から採用いただくことができました。

また、特定の市場・業種だけでなく、自動車から家電製品、FA(Factory Automation)などの産業機器向けなど幅広い市場に対して商品を開発し、提供できることも面白さの一つです。特定の商品や商材だけでなく、生活のありとあらゆる部分まで入り込み、無くてはならない存在となっている半導体製品だからこそ、社会全体に対して「自分の商品が貢献できているんだ!」というやりがいを感じることができていると思います。

業務において、困難さ・大変さを感じるのはどのような時でしょうか?また、それをどのように乗り越えていますか?

電源ICにはさまざまな制御方式による種別がありますが、私はその中でもリニアレギュレータと呼ばれるICを開発しています。リニアレギュレータは、差動増幅回路を負帰還制御するシンプルな構成のICで、まさにアナログ制御動作の真髄が詰まっているといえる製品です。構成としては昔からあるシンプルなもので、基本的な回路は大学などの教科書にも載っているものなのですが、それゆえに極限までICの性能を突き詰めようとすると非常に奥が深いものです。さらに、シンプルが故に、使用できる半導体素子の数にも制約があり、過去実績からの手法は通用しない上、一筋縄では思うような特性が出ないといった課題が沢山でてきます。最近では、チップのレイアウト設計において、回路図では現れないものの、物性上どうしても付与されてしまう寄生容量の影響により、期待した特性が出せないという課題がありました。それもfオーダー(フェムト:10のマイナス15乗)の静電容量でも影響が見えてしまう難問でした。

そういった制約やハードルの中で、一つ一つ課題を解決していくことになるのですが、やはり全てを乗り越えて商品まで形にするには、一人の力では限界があります(もちろん、帰り道や起床時などのふとした瞬間にひらめきが下りてくるケースもあります!それも面白いです!)。そのため、困った時はすぐにチーム数人で集まってアイディア出しを実施したり、それぞれの意見を議論してブレインストーミングしたりして、組織全体の力をもって解決を図っています。時には部門の枠を超え、他分野のスペシャリストからアドバイスをいただくこともありますし、そもそもの半導体デバイス自体から改善を図るといったことを行っています。先に挙げた例で言うと、社内の開発環境を整備する部門に依頼し、レイアウト設計ツールに工夫を凝らすことで、影響の出る配線や素子を特定し、そしてそれを基にレイアウト設計部門と私たち商品設計部門で協力して解決を図りました。ロームは過去から幅広い半導体製品を手がけてきており、社内にはその集合知を最大限に活用できる環境があります。だからこそ、こうしたブレークスルーを起こしやすいのだと感じています。

※記事内容は取材当時(2024年3月)のものです。

以上、Iさんによる「豊かな日常を支え、未来を形創る∼LSI開発・業務編∼」でした!
次回プライベート編もお楽しみに♪


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