#コントラ・フェストゥム (derealization) の症状

20代の頃、トラウマによる #コントラ・フェストゥム (derealization) の症状が色濃く出ていた。自分は何で周りの人みたいに現実の中に入っていけないんだろう?なんで地に足がつかない浮遊感があるんだろう?どうして自分は空っぽなのだろう? 私には主張できるほどのフェストゥム(祭り)はなかった。瞬間瞬間あぶくのように消えていく脆い自己意識があるだけで、過去から現在、そして未来へと線状に伸びるのびやかな「自己」というものは持たなかった。私は一度でよいので「自己」を持ち「自分の人生」を生きてみたかった。しかし、私には、始まらせる自己も継続させる自己も終わらせる自己もなく、ただ虚無があるだけだった。
その頃はよく映画を見ていた。たった2時間だけだが、登場人物に自己投影し、'何者か'になって物語を「生きる」ことができた。映画鑑賞は、現実から浮遊していて現実を生きることができない私の代替行為だった。生の充足感を一瞬だけでも味わう方法だった。

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