見出し画像

今は亡き 学振SPDの採択時の業績を探る

どうも、ロジーさんです。大変肌寒い季節となって参りましたが、皆様の両方の脚は、まだ1Gの地面にきちんとついておりますでしょうか?私は先日、凍死の淵を彷徨いかけました。。

さて今回は、(制度の変更によって)今は亡き 学振SPDの採択時の業績を探る、というテーマで記事を書きます。

学振SPD、もとい日本学術振興会 特別研究員SPDに関してはこちらのページをご参照ください。平たく言うと、各分野で博士号(PhD)を取得した、若手(学位取得後5年以内)の研究者を志す人からの申請を学術振興会(以下、JSPS)が審査し、研究奨励費(という名の給与)と科研費(年100程度)を3年度分支給するという、いわゆるフェローシップと呼ばれる若手研究者支援制度です。

この記事で学振SPDの説明をする前に、まずは学振PDの説明をしなければなりませんね。後者は現存する制度で、正式名称は「日本学術振興会 特別研究員-PD」です。後者の場合、JSPSが採択者に対して給与は36.2万円/月、そのほかに研究費(科研費)が100万円程度/年を3年間支給します。受入先というか勤務する研究機関は出身(学位を取った機関)以外であれば基本的に国内で自由に選べますが、3年中の2年を上限に、海外研究機関での受入・勤務も可能です。特に国内ですと人件費に使用できる研究費が大変限定された厳しい財政状態の続く昨今ですから、ポスドク、もとい研究室の主戦力となる学位取り立ての研究者が、研究室からの直接的な資金の持ち出し無しで受け入れられる、ということで一部の界隈(研究業界)には知名度の高い制度です。

なお、採用までのスケジュールの概要としては、採用前年度の5月末に申請書類(研究計画、背景、意義、業績、および自己評価と受入教員の推薦書など)を国内の大学や研究機関を通して申請し、例年10月頃に一次審査の結果(採択、不採択、二次審査行き)が出まして、その後12月に(2019年度までは面接がありました)二次書面審査が行われ、年末頃に最終結果(採択、不採択、補欠)が出ます。そして翌年度4月から3年間、特別研究員として採用されます。なお、学振PDの最終的な採択率ですが、こちらのページにある通り、例年20%弱となっております

学振SPDは、2020年度まで(申請は2019年度まで)存在していた制度で、各分野(人文学、社会科学、数物系科学、化学、工学系科学、情報系、生物系科学、農学・環境学、および医歯薬学)で一次採択されたPD候補者のうち、上位1-2名のみを、一次審査点の上位者数人だけが呼ばれる"SPD面接"で選別するという制度でした。なお、SPDになると給与が44.6万/月にUPし、また研究費(科研費)も約倍増となりますため、分野トップの研究者(次世代のスター)を選び、公表するための大変狭き門として名を馳せていました。ちなみにSPDのSはSuperlativeだそうです。

なお、現在は代わりに学振CPDという制度ができ、3年海外留学縛りの学振PDという感じになりましたが、同じくJSPSが運営する海外特別研究員いわゆる海外学振よりも支給金額が少なく、また研究する国外の地域によっては最低賃金にも満たないにも関わらず他からの給与を禁じたり途中帰国を禁じたりと理解困難な縛りが多いうえ、PDの1年目の初夏(つまりPDの採択者オンリー)にしか応募資格が無いなど、ほとんど人気が無い意味不明の制度となっております(改善を要求します!!!)。

この記事は、前回の私の記事をご覧頂いた方には分かる通り、当初私はSPDを目指していたので、「敵を知り己を知れば百戦危うからず」の諺通りにまず過去のSPD採択者の業績を調べ上げていました。というのも、研究費やフェローシップの実際の申請書は本人自ら開示しない限り決して公表されることはありませんが、研究業績もとい論文というのは、世界中の人から確認できる、研究者の過去の研究を知る上での非常に重要な一種のコミュニケーション・ツールです。また、当然のことながら、論文数やその質は研究費やフェローシップの獲得の際に正の影響を生み出しますから、「過去の採択者の実際の申請書は見れない」が、「過去の採択者がどれくらいの業績で申請に臨んだか」であれば調べることができるという訳です。

というわけで、私の専門であるバイオ系、生物系科学(biology)と医歯薬学(medicine)に焦点を当てていますが、過去のSPD採択者の一覧と(申請時の)業績を以下に羅列します。なお、書類提出(5月末)からSPD面接(12月)までの間に業績が増えた方もままいらっしゃり、そういった方々はおそらく面接審査中に当然のことながらそれをアピールしているものと考えられるので、注釈として追記してあります。なお採択者の情報は個人名や研究テーマごとJSPSが採用者一覧のページで普通に公表していたものなので、ここで本名入りで記させて頂く事に特に問題があるとは思っていないのですが、もし何らかの問題がある場合はTwitterの方のDM等で随時ご連絡を頂ければ幸いです。なお、業績は基本的にPubMedで調べているので名前もローマ字表記にしました。和文業績のある方はresearchmapで調べたのですが、そもそも個人ページが無い方も多く、網羅しきれていない可能性があることをご容赦下さい。基本的には主著(1st author および co-1st author)の論文をメインの業績と見做し、共著論文に関しては数と特筆性がありそうなもののみを記載しています。

ここから先は

1,906字

¥ 500

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?