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集中回答日は17日――果たしてコロナ禍中の賃上げ交渉は…|迷想日誌

コロナ禍の中、今年も春季労使交渉がスタートします。
まず、スケジュールですが、金属労協の集中回答日は、3月17日水曜日となっています。
先行組合は、15日ごろからで、山場は16~18日となりそうです。

近年の賃上げ実績は、厚生労働省の集計で令和2年が2.00%、元年が2.18%、平成30年が2.26%でした。
アベノミクス以降の最高は、27年の2.38%でした。
結果としてして、需要拡大とインフレ目標には全く届かず、不発に終わった感があります。

連合の今春の賃上げ要求基準は、定期昇給相当(賃金カーブ維持相当)分の2%確保を大前提に、産業の「底支え」「格差是正」に寄与する「賃金水準追求」の取り組みを強化し、2%程度の賃上げを実現して感染症対策と経済の自律的成長の両立をめざすとしています。
要するに、前年と同様合わせて4%の要求基準となります。

中小組合の取組み方針としては、賃金カーブ維持相当分(1年・1歳間差)を確保した上で、自組合の賃金と社会横断的水準を確保するための指標を比較し、その水準の到達に必要な額を加えた総額で賃金引き上げを求めるとしています。

具体的には、賃金カーブ維持分の4500円確保を大前提に、連合加盟組合の平均賃金の2%相当額との差額を上乗せした金額6000円を賃上げ目標としています。
総額では1万500 円以上となります。

ちなみに、令和3年度の経済見通しは、実質GDP成長率4.0%程度、名目GDP成長率4.4%程度で、年度中にはコロナ前の経済水準に回帰することが見込まれるとしています。
今後の経済対策の内容によっては、達成可能でしょうか?
また、消費者物価(総合)の上昇率は0.4%程度で、デフレは避けられるとみているようです。

経団連は、例年どおり、「業種横並びや各社一律の賃金引上げを検討することは現実的ではない」と反論しています。
ただし、収益が増大している企業においては、定昇や賃金カーブ維持分の昇給を実施した上で、自社の実情に適した形で賃金水準の引上げ(ベースアップ)を行うことも選択肢としています。
コロナ禍で、企業間の業績に隔たりがあり、ベアができるところは実施してくださいという姿勢です。

今春は、結果として賃上げ率2%を切る予想があります。
しかし、前記のとおりコロナ禍による業績格差が大きく、平均でどの程度に落ち着くか不透明感が強いといえます。
数字を示せば1.8%程度までいくかどうかでしょう。

賃上げ以外の交渉事項については、今後ご紹介していきます。

労働新聞編集長 箱田 尊文

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