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新型コロナやハラスメントに重点――21労使交渉|迷想日誌

2021年春季労使交渉がスタートしました。交渉項目別の重点をご紹介します。

一時金は、連合、金属労協、自動車総連、電気労連などほとんどの産別が前年同様の要求ですが、UAゼンセンについては、前年の年間5カ月基準から今年は4.8カ月基準に引き下げてきました。
新型コロナウイルス感染症の影響を受けた流通産業が多くを占めているためでしょう。

パート・非正規の賃上げも前年と大きくは変わりません。
連合では、企業内のすべての労働者を対象とした企業内最低賃金協定の締結をめざすとし、締結水準については、時給1100円以上を目標としました。
昇給ルールを導入する場合は、勤続年数で賃金カーブを形成し、水準については、「勤続17年相当で時給1700円・月給28万500円以上」となる制度設計をめざすとしています。

一方で、働き方改革では、要求を充実させています。
連合は、「生きがい」「働きがい」を通じて豊かに働くことのできる社会をめざし、すべての労働者が社会的責任を果たし得る生活時間の確保と、「年間総実労働時間1800時間」の実現に向けた労働時間短縮に取り組むとしました。

新型コロナウイルス感染症の拡大を理由とした安易な雇止めなどが生じていないかの確認や通算契約期間5年経過前の無期転換の促進などを進めるなどとし、今回はとくに雇用安定を重視しているようです。
高齢者雇用に関しては、65歳以降について原則として、希望者全員が「雇用されて就労」できるよう取り組む方針です。

テレワークについて金属労協では、コロナ禍で活用が進んでいるが、緊急避難的な対応と恒久的な対応を切り分ける必要性を強調しました。
労働時間管理や安全衛生、費用負担、コミュニケーションの円滑化などについて検討の上、社内整備を行うべきとしています。

今年力が入っているのは、各種ハラスメント対策です。
連合は、コロナ禍での誹謗中傷等の問題が深刻化する中、職場の現状を把握するとともに、第三者を含めたあらゆるハラスメント対策や差別禁止の取り組みを徹底するとしました。
UAゼンセンは、顧客や取引先からの迷惑行為に対する対応方針の明確化や行為者への対処方針の明確化を進めるとしています。

以上、ごく一部の取組み、要求内容を明記したに過ぎません。週刊「労働新聞」では、賃上げ、一時金の回答妥結、その他主な労働条件引上げ要求・結果を必要に応じて記事にしていこうと考えています。

労働新聞編集長 箱田 尊文

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