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軒並みダウン「令和元年度毎勤統計」|迷想日誌

さきごろ発表された令和元年度の毎月勤労統計調査結果が大変なことになっています。
現金給与総額が名目で前年度と同額(32万2837円)となり、実質で0.6%マイナスとなってしまいました。
また、総実労働時間は1.9%マイナスで、そのうち時間外労働は2.5%のマイナスです。

名目賃金は、平成30年度が0.9%プラス、29年度が0.7%プラス、28年度が0.5%プラスなどど、アベノミクスの中で僅かながらも上昇していましたが、ここで急ブレーキとなってしまいました。

ひどいのは実質賃金です。25年からの数値では、前年比プラスとなったのは28年度の0.5%だけで、それ以外はほぼ毎年前年割れです。今回の0.6%マイナスは、ここ数年来で最も大きな落ち込みでした。
実質賃金の長期下落傾向には、とうとう歯止めが掛からずに終わってしまったようです。

所定外労働時間の減り方も近来にないひどさです。
30年度で1.7%マイナス、27年度で1.6%マイナスでしたが、今回この下落幅を大きく上回りました。

しかし、上記数値は、令和2年3月までのもので、新型コロナウイルス感染症のダメージがほとんど考慮されていません。
やはり、昨秋10月に強行された消費税増税が計り知れない悪影響を与えたようです。

それをよく表しているのが、労働時間です。
昨年10~12月の総実労働時間は2.2%マイナス、同期間の時間外労働時間は2.4%マイナスでした。
製造業だけの所定外労働時間は、なんと13.3%も下落し、記録的です。

さらに、令和2年1~3月の所定外労働時間は、4.1%マイナス(所定外給与は2.4%マイナス)で、新型コロナウイルス感染症の影響の一端がみえています。

本紙では、長期間続いたアベノミクス下で、僅かずつでも改善?されてきた賃金指数に注目してきましたが、人為的な消費税増税がすべてを打ち消してしまったようです。
これに、新型コロナウイルス感染症の影響が加わり、日本のダメージは世界的にも強烈と予想できます。

この悲惨さに気付いた安倍政権では、世界的にも巨額な補正予算を成立させ、挽回を図ろうとしています。
財政支出としてはまだ足りませんので、秋の臨時国会に第3次補正予算を成立させるよう強く求めます。
賃金の本格的下落はスタートしましたが、失業率の上昇だけは、なんとか食い止めなくてはなりません。

労働新聞編集長 箱田 尊文

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