200129ちょっと言わせて

「不安全行動」をなくす|ちょっと言わせて

あらゆる災害の型のなかで「墜落・転落」は、災害防止上の永遠のテーマといえます。
とくに建設業では、対策に頭を悩ませている安全担当者も少なくないでしょう。
今号の「ひのみやぐら」では墜落防止について所感を述べさせていただきましたが、この稿では少し補足をさせていただきたいと思います。

墜落災害の防止で最も効果的なのは、計画段階でいかに高所作業をなくすかが重要と指摘しました。
本質安全化で危険領域をなくすことが求められるわけですが、現実的な問題として構造物次第で高所作業は存在します。
そこで、まず大切なのは安全な作業床の設置で、安全帯などの保護具は「最後に命を預ける『命綱』」というわけです。

これらは「不安全状態」をなくす「もの(設備)」の対策です。
開口部などの危険箇所があったらまず「ふさぐ」ことをしなければなりません。
囲い、手すり、覆いなどを設けて、墜落・転落が起こらないようにします。防護柵などが設置困難な場合は、防網、親綱を張り安全帯を使用する措置を講じます。

もう一つ忘れてはならないのは「不安全行動の防止」です。
具体的にいえば「管理・作業方法」や「人」に対する対策となります。
安全作業手順を確立し、打ち合わせどおりに行われているか確認・フォローを適切に行うことが「管理・作業方法」に当たるでしょう。
さらに教育や作業者自身が安全最優先の認識を持つ「人」への対応が重要になるのです。
「ひのみやぐら」の稿では、紙数の関係もあって不安全行動の防止を「作業所全体で災害防止を徹底していこうとする雰囲気づくり」と抽象的な表現で括ってしまったのが気になりました。

「不安全状態」と「不安全行動」をなくす――という考えが、墜落災害を防ぐためには、効果的ということを付け加えさせていただきます。

安全スタッフ編集長 高野健一

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