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誰に何と言われようと、自分自身を愛したくなる音楽。girl in red『Beginnings』

ノルウェーのベッドルーム・アーティストMarie Ulvenのプロジェクト、girl in redの2019年編集盤『Beginnings』。廃盤になったのち、2021年リプレスされました。これまでにデジタルのみで配信していたchapter1とchapter2をひとつにまとめたもの。これは、単なる始まりにすぎない。

北欧の澄み切った透明感を持つインディーポップ、インディーロックサウンドは、紛れもない彼女のアイデンティティから滲み出ているもの。そして「クィアのアイコンになりたいわけではない」とインタビューで語っていたように、彼女は何者かになりたいわけではなく、自身のありのままの音楽を奏でていきたいと願う。

ここには、ただ、真実だけがある。素直な感情が。girl in redの歌詞は、特別詩的、というわけではないのだけれど、まっすぐで素直なのだ。多くの人々に共感されたいわけでもなく、一人部屋で眠る前にこっそりと自分の為にだけ書いた日記のよう。でも、それが結果的に多くの共感を呼んでいる。

また、6月のPride Monthにビデオが公開された「girls」という曲。上記のサムネイルではレインボーフラッグを掲げている。歌詞の内容では、彼女が好きな女の子について好き過ぎて本当に辛いと歌っているんだけど、最後に”pls love urself!”(Please love yourself)自分自身を愛してね!というメッセージがある。これは、他の人を愛すること以前に、まずは自分を愛そうというメッセージだ。girl in redの音楽を聴いていると、北欧の透明感のあるサウンドはもちろんなんだけど、とにもかくにも自分自身を愛することが大切であるのだと気付かされます。自己愛は、とっても大事だから。

そして、このことは私が敬愛しているRPDR(RuPaul's Drag Race)のル・ポールも言っています。「”If you can’t love yourself, how in the hell you gonna love somebody else?」(自分を愛せずして、一体どうやって他人を愛すことができると言うの?)と。私も、自分をもっと愛したい。

サウンドだけ切り取ったら、もしかしたら所謂ベッドルーム・ギターポップにすぎないのかもしれない。だが、これらの感情をむき出しにしたgirl in redのアンセムは、永遠に響き渡るだろう。

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