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2020J1第13節 ヴィッセル神戸vs横浜F・マリノス@ノエスタ

89分、3-1。

91分、3-3。

悪夢のような後半ロスタイムでした。

このような事態に陥った要因は多くあるでしょう。

ノエスタのツルッツルな芝によってマリノス本来のスピーディーなパス回しができなかったことも、中2日の連戦による疲労も、度重なるチャンスを決めきれなかったことも。多かれ少なかれこの3-3というスコアに寄与しているはずです。

そのなかで神戸が行なった62分の4枚替え、これによって、試合の趨勢が大きく傾いたことは大きな要素としてあるかと思います。

今回は、神戸の交代策によって何が変わったのか、そして、マリノスの交代策はなぜハマらなかったのかについて考察してみます。

構成は以下の通りです。

4枚替え前後の神戸の変化
⑵マリノスの交代策がハマらなかった理由


では、始めます。


【Starting Lineup】

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■横浜F・マリノス
 ◇基本システムは4-2-1-3
 ◇前節からスタメン6人変更(小池、實藤、ティーラトン、喜田、仲川、エリキ)
 ◇扇原は中2日で2戦連続フル出場中
■ヴィッセル神戸
 ◇基本システムは4-3-3
 ◇本職CBの大崎をアンカー起用
 ◇イニエスタ、フェルマーレン、ドウグラスら主力が負傷離脱中
 ◇前節からスタメン6人変更


【4枚替え前後の神戸の変化】

結論から言うと、交代前後の神戸の違いはポゼッションによってマリノスを押し込めたかどうかにありました。

それぞれ詳しく述べて比較してみましょう。

〜❶交代前の神戸〜

62分の選手交代前の神戸は、そもそもまともにポゼッションをする機会がほとんどありませんでした。

理由は、マリノスのプレスがハマっていたからに他なりません。インテンシティの高いマリノスのハイプレスは神戸のプレー選択を規定していました。具体的に言うと、落ち着いてボールをキープしてポゼッションをさせるのではなく、縦に速いカウンターを仕掛けさせていたということです。

もちろんプレスを剥がされる場面もありましたが、神戸は縦に急ぐあまりボールをすぐに手離してしまうことが多かったです。これはチームの狙いでもあり、カウンターを仕掛けること自体は悪手ではありませんが。

しかし、マリノスを押し込む場面が少なく、ほとんどの時間において神戸陣内で試合が進んでいたことはマリノスにとっては狙い通りの展開でした。


〜❷交代後の神戸〜

62分にサンペール、古橋、西、酒井の4人を投入した神戸は、マリノスを押し込むポゼッションにシフトしました。

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上図の通り、サンペール、西、酒井が絶妙なポジショニングを取ることでマリノスのプレスを無効化してしまいました。彼らはただプレスを剥がすことに寄与するのではなく、あえてスローダウンさせるなどしてゲーム全体を支配することにも一役買っていたので、とにかく厄介な存在だったわけです。


【マリノスの交代策がハマらなかった理由】

マリノスの交代策がハマらなかった理由は、前線でボールを奪いきることができなかったからです。

マリノスも70分までに3トップとトップ下、つまり前線の4枚を総取っ替えしています。2点リードしているなかで行なわれたこの交代策に込められた狙いは、火を見るより明らかでして。
ズバリ、前線のプレッシング強度の維持です。むしろボスは、フレッシュな選手を投入することでプレス強度をさらに上げることを狙っていたのでしょう。

しかし、巧みな位置取りをする神戸のビルドアップに対してプレスをはめることができませんでした。具体的に言うと、プレスの基準点が定まらず、スイッチが入らないままゆらゆらとボールにアタックしに行った結果、易々と剥がされてしまったことに尽きるかと。

押し込まれたことで、たとえボールを奪っても目指すべきゴールから遠くなり、再び攻撃に出るにも多大なパワーを使わざるを得なくなってしまいました。こうなってしまうと自陣に引きこもって耐え抜くのが不得手なウチのチームにとっては辛いわけです。


【まとめ・考察】

総括すると、前から行くのか後ろで構えるのかがはっきりしなかったところに尽きるのではないかと。

ボスのオーダーは間違いなく前者でしたが、それが実行に移せなかったところに原因がありそうです。前から奪いにいきたいが奪いきれない。

過密日程下ではそうした状況に陥ることがこの先もあるかと思います。そのような時にどのように対処するかをチーム内で共有して実行しておく必要があります。

昨季アウェイ清水戦を思い出してほしいです。

リードしているが退場者が出てしまったとき、前からハメにいくのか後ろで構えるのかの共通認識の欠如から逆転負けを喫してしまいました。

しかし、その後の退場者が出た試合では迷いなく前へ出る姿勢を貫いて逆に追加点を取ることができていました。

今求められているのはそうした共通認識です。

そして次節の川崎もビルドアップに長けたチーム。連戦の疲労もあってプレスがはまらないかもしれません。この神戸戦で何を学んだかが試される試合がすぐそこに迫っているのです。






8/29 Sat. 18:00K.O. J1第13節 神戸3-3横浜

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