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カクシンハンPOCKET08 「冬物語」

シェイクスピア42作の中で、最も苦手なロマンス劇。

いつの間にか時代も場所もひとっ飛びするので、起きてることが理解しがたく置いていかれるw             

苦手意識があるままに劇場へ。今回は事前に「サイリウム」が配られたのでした。これもまた謎。

冬物語はシチリアとボヘミアを行き来するお話。

■あらすじ:シチリア王レオンティーズは、妻のハーマイオニと親友のボヘミア王ポリクシニーズに密通の疑いを抱き、激しい嫉妬に駆られる。しかし王妃の潔白と死を知らされ、孤独のなか深い後悔の日々を送ることとなる。時を越え、舞台は16年後、夏のボヘミア。恋仲となったボヘミア王子フロリゼルと羊飼いの娘はやがて再び一同を結びつけ、祝祭のなかひとつの奇蹟が起こる――。シェイクスピア晩年の代表的ロマンス劇。 

レオンティーズの性格がいまいち見えてこないのと、ポリクシニーズが後半に前半のレオンティーズのような激昂する嫌なおじさまに様変わりしてしまうので、この物語は男性役が本当にいまいち。フロリゼルもお子ちゃまな男の子のまんま。

その点!女性役がものすごくかっこよし。ハーマイオニ、羊飼いの娘=パーディタ、ポーリーナが意思を強く持ち、その意思を言葉にする素敵な役がら。夫・レオンティーズに裁判にかけられ、自らの潔白を表明する姿は気高く、王妃・王女がその志を失わない姿は今を生きる私にとって強く印象に残りました。

カクシンハンを2回みて思ったことは、戯曲の隙間をセット・ムービングで圧倒的に表現していくところ。

時間・場所・空間が怒涛のごとく飛んで行っても、その隙間を劇空間として埋めて、観客である私たちを決して置いていくことはないのです。

今回の冬物語では、

・中央360度客席に囲まれた正方形の舞台(まるでプロレスリング)  

・サランラップで囲まれた舞台がレオンティーズの嫉妬が高まるたびに破られ、徐々に心がむき出しになっていくような印象へ変化

・スモークマシンを使い、煙に巻く瞬間

・ボヘミアとシチリアの照明、衣装の違い

・生演奏されるドラムの音と振動が台詞と呼応

といった演出があったのですが、その一つ一つが「摩訶不思議」で「一見意味不明」な物語へ私たち観客をしっかり引き止めていてくれたのでした。(正直、映像はほとんど意識できませんでした・・)

シェイクスピア劇として、役者が目の前で台詞を話すことと同時に、劇空間ならではの演出が加わることで、同じ台詞で同じストーリーでも「いま」の物語に見える。

でもやっぱり、冬物語のラストシーンはいつも唐突で何度読んでも見ても納得できないw(死んだはずのハーマイオニが実は生きてる設定で、生存像から突然生き返り、動き出します)。

ここのシーンはVRのディラッドスクリーンを使って像を映し出して、裏から本物の役者が出て来るようになったら、もう少し像らしさが出せるんじゃないかなあと思ったりしました。


カクシンハンPOCKET08 in Tokyo「冬物語」
〜現実と夢幻のデッド・ヒート〜                   演出 木村龍之介
翻訳 松岡和子
作 シェイクスピア                     2018/7/27(Fri.)~31(Tue.)ウエストエンドスタジオ            ■CAST:河内大和、真以美、岩崎MARK雄大、井上哲、のぐち和美(以上、カクシンハン)、島田惇平(スターダストプロモーション)、野村龍一(天才劇団バカバッカ、朝劇 西新宿 主宰)、ユージ・レルレ・カワグチ(演奏者/#stdrums)

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