1984

舞台「1984」done! 

ジョージ・オーウェルが見ていた世界はまさに今。ストーリーというよりも、視覚的な恐ろしさが際立つ舞台でした。すごい、難解。でも、今のわたしたちみたい。信じがたいことだけど、思考停止していることにも気がつかない世界が目の前で繰り広げられると、奇妙だけど、安心感もある。

メディアとか情報発信を生業にしている人にこそ、見て欲しい!
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井上芳雄さん@ウィンストン。最後の最後まで1人正気。「正気かどうかは、数の問題じゃない」と不意に何度も出てくる度に、何かに争っていても、自分の感情・感覚をキープすることはいつの時代も勇気が必要であることを体現。セリフがしっかり聞こえてくるのも、芳雄さんの素敵なところ。

ともさかりえさん@ジュリア。感情と感覚を、観客にも思い起こさせる人の1人。思考警察のように見せておいて、一番生々しい場面を担う。髪を下ろした時のあざとさが見もの。女ってこんなに考えてない生き物なのだろうか?!w と思わせてくれる存在。これこそ「生」

神農直隆さん@オブライアン。総じて敵っぽい風貌と言葉なのに、なぜか信じたくなる存在。彼のコトバに振り回される私たち。彼のコトバに置いてけぼりにされる私たち。いまの時代のメディアに近い印象。記憶や情報を操る怖さを見せつけられました

森下能幸さん&宮地雅子さんのパーソンズ夫妻は、流される側の人。生活感を場面に持ち込む。監視社会の中においても、家族は存在し、家族の揉め事は変わらない。この生活感が時として、安息に見えてくるから不思議。

監視社会がテーマとなっているからか、ストーリーが進むに連れて、自分自身が監視側にいるような錯覚が何度も起きて、拷問のシーンでも、顔を背けられなくなる。

戦争は平和
自由は隷属
無知は力

このスローガンを聞く度に、私が何者か・いまどこにいるのか?と問い続けようと思いました。

ビッグブラザーは見ている。
1984年、すべてが監視されている社会。それは「空想」か、それとも「現実」か——。

2017年、アメリカで爆発的に売り上げを伸ばしたジョージ・オーウェルの小説『1984』。すべてが監視、統制される社会を描いた小説を舞台化した本作は、2014年にロンドンにて初演され、現代の社会が抱える問題を鮮烈にあぶり出し、その年のオリヴィエ賞にノミネートされました。17年にはブロードウェイでも上演され、世界的な注目を集めています。言葉、記憶、行動、そして思考までをもコントロールされる社会から抜け出す道はあるのか——。

演出には、新国立劇場で『OPUS/作品』、『星ノ数ホド』を演出し、2016年9月に新国立劇場演劇芸術参与に就任した小川絵梨子があたります。

2020/5/1~ 舞台芸術を未来に繋ぐ基金=Mirai Performing Arts Fund への寄付とさせていただきます😃