2006/08/15 同じ地にて
2004年から毎年、夏のお盆の時期に家族旅行をしている。父、母、妹、そして私の4人で、原則車で移動。
遊園地、キャンプ、山や川でのアクティビティなどのいわゆる夏らしい遊び!というのとは違う、ただただ、父が行きたい日本中の城郭を巡る旅。
当初は連れて行かれるだけだったが、毎年恒例となると子どもでもだんだんと楽しみ方を覚えていき、
カメラで写真を撮ったり、出土品の食器や武器などを見て時代を感じたり、時には日陰に座って天守閣をスケッチしたり。
そういう旅行スタイルを貫き、ちゃっかりしている我々娘ふたりは、旅費を出してもらえることをいいことに旅行にホイホイ着いて行き続け、20年目を突破。7歳が27歳になった。
天守閣だけでなく、今は遺構や石碑があるのみですっていうお城にも足を運ぶ。
特にニッチなお城だと鉢合わせる観光客は少なく、もはや私たちしかいないなんてこともザラにある。快適である。
そんな城郭巡りを長くやっていると、どうしても「あの場所にもう一度行きたい」現象が発生する。
新規で新しくお城を訪問するのも良いが、昔を懐かしんで、また同じところに行きたいねっていう気持ちが生まれるのだ。本州の有名どころの城はほとんど行き尽くしてしまったのだ。
昨今のお城ブームや大河ドラマの影響で各自治体がお城を観光地として綺麗に整備する動きもあり、数年前と違った表情を見られることもよくある。
ならば、思い出深い地にもう一度足を運びたい。
◇
今年の行き先は、未訪問のお城をいくつかと、2006年に一度行ったことのある「七尾城」(石川県七尾市)に決定した。
画角が違いすぎて比較にならないが、17年前とほぼ同じ場所の写真。2006年の方が草ボーボーだったという記憶は正しかったようだ。
山そのものを要塞にした七尾城。こんな山の上まで石を持ってきて積んでっていう過酷な仕事を、よく昔の人はやったもんだなぁと子どもながらに感じた覚え。
山頂。
石碑は変わらずそこにいたし、これからもい続ける。
やっぱり17年も経過していると私の記憶はあやふやだったけれど、「山頂の草むらにバッタがたくさんおって、捕まえて遊んでたで」と記憶する母。
◇
どうせなら、以前行った時と同じ宿に泊まってみるのはどうかという話になり、調べると今でも営業していた。嬉しくなり、宿泊をそこに決めた。
そのお宿では、夕食と翌日の朝食に、旅館ならではの豪華なお食事をいただける。
時を戻そう。
◇
2006年に石川県を訪れた当時の、更に前年の旅行で、4歳(幼稚園年長)だった妹に、母がお子様用の食事を予約した。すると4歳妹が大暴れの大癇癪。
父、母、姉と同じ大人用のものが食べたいと4歳がひっくり返って泣き喚いたのは今でも我が家の歴史に残る大事件。
それもそのはず、妹は2歳児にして人の皿から頂戴した鶏の唐揚げを素手でぱくぱく食べる子だったし、
極めつけは、初めての言葉は「パパ」でも「ママ」でもなく、小袋に入った飴ちゃんを掲げて「あけて」と発した人なのだ。
そんな妹が「みんなと同じものを食べたい」とそれはもう大泣き。なお「みんなと」の発言が重要で、姉である私が大人用の食事をいただいていたのが仇となった。
以後、一切「お子様用」と付くものを頼まなくなったのは言うまでもない。お宿の食事においても必ず大人と同じ量、同じものを。
そんな教訓があるので、2006年の石川でのお宿料理は、初めて全員揃って完璧な旅館料理をいただいた記念の年なのである。もちろん完食した。
17年前にも来ました、と女将さんに伝えると、それはそれはにっこりして「うれしゅうございます」と話してくださった。
◇
こちらの地域は温泉宿が建ち並ぶ場所で、港も近く、ちょっとお散歩すると海を見ることができる。
海には、夏休み中だと思われる子どもと親御さんが釣りを楽しんでいる姿も。
私がカメラ片手に風景を切り取っていると、海の中をぷかぷかと漂うクラゲを見つけた。何か被写体を見つけると、ついシャッターを押してしまう。
頭の4つの丸い模様もはっきり見えてかわいい。濁っているように見えるが実際の水は澄んでいる。
こうして旅を終えた後、17年前の旅行がどうだったかを思い出そうと考え、古いパソコンをひらいて写真フォルダを見た。
そこには、今年やったのと同じように旅館近くの港まで散歩していたことがわかる風景の写真もあった。
遠くに見える橋はもちろん、ベンチの位置まで当時と今年で変わらない。さすがに、木でできているものの劣化や鉄の赤錆、看板の日焼けなどは進んでいるように見受けられた。
本当に17年前も同じ地に足を運んでいたのだなぁ、としみじみしていたら、
クラゲの写真もあった。
やってることが17年前から変わってねぇ!!!!!!!!
しかも撮影日まで一緒の、2006年8月15日だった。古いパソコンを前に大笑い。
時がいくら過ぎても歴史的な建造物や遺構が歴史的価値を残し続けるように、私がクラゲを見つけたらつい写真を撮ってしまうタチなのも変わらないみたいだ。
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